宇宙料理人

 地球を眺めながら、俺は米をといでいる。
 テレビからは、静止軌道ステーション爆破予告についてのニュースがひっきりなしに流れ続けている。
 店の外はガランとしている。それも当然だろう。この店は、静止軌道ステーション内にあるのだから。
 今頃、軌道エレベーターには、避難しようとしている連中が押しかけているだろう。今から慌てて地球に降りようとしたところで、爆破予告時間までに避難は不可能だ。
 もしかすると、今日、俺は死ぬかもしれないなと考えると、いつもよりも地球が綺麗に見えた。
 さて晩ごはんは何にしよう、と思案に暮れていると、店のドアが開く音がした。そこには、後輩の神谷零がいた。俺は、
「事件は解決できそうか?」
 と、名探偵に問いかけた。
「ええ、もちろん。でも、爆弾を見つける前に腹ごしらえをしないと。いつものをお願いします、先輩」
 俺は、はいはい、と答えて、オムライスを作る準備を始めた。【続く】

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