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1日の終わりを「感謝」で締めくくる──マインドフルネスの12の練習 WEEK8

photo by Kevin Butz/unsplash

『「今、ここ」に意識を集中する練習 心を強くやわらかくする「マインドフルネス」入門』(ジャン・チョーズン・ベイズ著)から、日常生活の中でできるマインドフルネスの練習を紹介する8回目。

ネガティブな感情の連鎖を断ち切るには、感謝の気持ちを周囲の人に表現すること。毎日の終わりに実践してみませんか?

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(本書PARTⅡ マインドフルネスを日常で実践する53の練習 より)

WEEK8──1日の終わりを「感謝」で締めくくる

どんな練習?

1日の終わりに、その日にあったことで、「ありがたい」と思うことを少なくとも5つ書き出します。1週間の終わりに、それを友人やパートナーなどに聞いてもらいます。

取り組むコツ

メモ帳と鉛筆かペンを、ベッドの脇や枕の上に置いておきます。夜ベッドに入るときに、「感謝のリスト」を書き、それから横になって眠りにつきます。

この練習による気づき

この練習を始めるときには、多くの人が「感謝することが毎日5つもあるだろうか……」と心配します。でも、やってみると、書くことがたくさんあることに驚きます。長いこと忘れられていた蛇口を開けたみたいに、あとからあとから流れ出てくるのです。昼のあいだも、「今夜、このことをリストに書こう」と頭のなかでメモするようになるでしょう。すると、周りのことに常に感謝するようになり、心の姿勢が好ましい方向に変化していきます。

「幸福」について研究している心理学者のソニア・リュボミアスキーによれば、幸福感の40パーセントは、自らの行動によって決まるそうです。「『感謝の日記』をつけ、自分に親切にしてくれた人に常に感謝を表すようにすると、幸福感が大幅に向上し、抑うつ感が減る」と言います。

みなさんの周りにも、いつも感謝の気持ちを自然に表す人がいるでしょう。そういう人のそばにいると、こちらも元気になって、1日が楽しいものになります。釈迦は「心を養う」ということを語っています。これは不健全な感情や思考を弱め、健全な感情や思考を強化することです。

感情はエネルギーをもった現象です。どんなものもエネルギーを与えれば成長します。感謝の心を養う努力は、一見すると人為的に思えるかもしれませんが、感謝する姿勢が自然に身についてきます(そして逆に、嫉妬や批判などのネガティブな心の状態を養っていけば、それが自分そのものになっていきます)。

深い教訓

私たちの心は、ネガティブなことに磁石のように引きつけられます。つらい思い出を引っ張り出して、くよくよと思い悩みます。「あのとき、ああしておきさえすれば……。そうしたら○○になったかもしれない」と頭のなかで実際とは異なる結果を思い浮かべて悔やむのです。しかし、過去はすでに通りすぎたのです。どうやっても結果は変わりません。変えられるのは自分自身だけで、しかもそれができるのは「今」という瞬間だけです。

心はまた、この先起きるかもしれない悪いことを思い浮かべます。「経済が崩壊し──食料不足が起き――銃をもった人たちが家を襲いにくるかも……」。心は自分を危険から守ために心配するのが仕事だと思っています。しかし、そのために、恐怖に駆られていっそう緊張してしまうのです。

心は、「過去でも未来でも、よいことなんかどうでもいい。よいことは無害なのだから気にかける必要がない。悪いことの可能性を考えることが大事なんだ」と言うでしょう。

メディアはこのことをちゃんと承知しています。だからニュースの内容は、ほとんどがネガティブなのです。「この新しいリスクに注意!」「こんな恐ろしいことが今起きていて、またこれからいつ起こるかわかりません」とニュースは騒ぎ立てます。現代人はこの手の話題を求めて、新聞を買ったり、ニュースを見たりします。

しかしネガティブ中毒がさらに広まれば、不安や抑うつ感情が蔓延します。苦悩を待っていれば苦悩がやってきます。結局、心配した通りに不幸になるだけです。

1日の終わりの「感謝の練習」は、不幸を呼び寄せる心の習慣に対して解毒剤の働きをします。日々の、多くのポジティブなことやありがたいことに光を当ててくれるので、思考の流れがポジティブに方向転換します。この練習をしている人は、人生に起きるほとんどの出来事のなかから、常に「いい面」を見出すことができるようになります。

自分を変える言葉
どんなに落ち込んでいるときでも、たった1つでいいから、感謝できることを探してみよう


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