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3度楽しめるコーヒー豆

毎朝、朝ご飯を食べた後にカフェオレを飲む。
コーヒーが好きだからというより、眠くならないように。

元々はドリップコーヒーが大好きだったのだけど、いつの頃からか少し飲んだだけでカフェインが過剰に効くようになってしまった。
夕方以降に飲むと夜通し眠れなくなってしまうし、そわそわ、どきどきして集中できなくなってしまう。

ドリップコーヒーを飲むのは、朝だけのお楽しみ。
と言ってもどうせミルクを入れるし、眠気覚ましが目的だから、スーパーでいちばん安いドリップコーヒーを飲んでいる。

◇◇◇

とはいえ、ずっと同じものを飲んでいると変化を付けたくなるもので。
買い置きがなくなるタイミングで、気分転換を兼ねて家の近くのお店でコーヒー豆を買ってみることにした。

挽いた豆でもいいけれど、少しでも挽いてからの時間が短い方がおいしい。
ハンドドリップ用にとはりきって買った月兎印のケトルは実家の父に譲ったけれど、ミルやコーヒープレスはまだ手元にあるから、久しぶりに使おうかと思った。

いつも買い物に行くスーパーの近くに、白を基調としたおしゃれなコーヒー豆のお店があることは知っていた。
まだ入ったことは無かったけれど、これを機にあそこに行ってみようと前の晩からわくわくしていた。

◇◇◇

うきうきとお店の前まで行くと、ぺらりと張り紙。

”5月31日まで店頭での販売はお休みします”

えっ。

中に灯りがついていて、店員さんが動き回っているけれど、オンラインショップ向けの作業をしているだけのようだった。
さすがに休みのところを無理やり押し掛けるわけにもいかないし、しょんぼりと歩いていたら、どこからかコーヒー豆を焙煎している香りがした。

◇◇◇

香りの出所は、元々来ようと思っていたお店から数mも離れていないお店。
入り口からそうっとのぞき込むと、営業しているみたい。

正直いって店構えは庶民的で、いかにも「この街一筋〇十年」という感じ。
小さなお店で、中にはおじさんとおじいさんの間くらいの年齢の店員さんがいた。

少し迷ったけれど、もうコーヒー豆を挽く気分になっていたので、思い切ってそのお店に入ってみた。

一目で見渡せる店内には、所狭しとコーヒー豆が並んでいる。
右側には、小さめの焙煎機が鎮座している。
豆がすべて生豆だから、買った側から焙煎してくれるスタイルみたいだ。

カフェオレに合いそうな豆を探すべく、ポップに書かれた味わいの説明やチャートをじーっと見ていたら、声を掛けられた。

よかったら、どうぞ

店員さんの手には、ブラックコーヒーの入った小さな紙コップ。
週末だからと寝すぎて頭がぼーっとしていたから、「ありがとうございます」と受け取ってひと口。
うん、濃い目だけどまろやかで、おいしい。

試飲をもらったついでにコーヒー豆を頼むと、すぐに焙煎してくれた。
あっという間に色づいていく豆を見ていると、店の前で嗅いだ香ばしい香りがしてくる。

”こういう小さい機械はあんまりないんですよ。普通は業務用の、もっと大きなやつばっかりで”

店員さんが説明してくれる。
確かにわたしも、焙煎しているところを見るのは初めてだった。

”コーヒー好きなんですか?”

お喋り好きなのか、どんどん話しかけてくれる。
この辺に引っ越してきたこと、朝にコーヒーを飲むことなんかを話した。
店員さんはわたしと話しながら焙煎の終わった豆の中から粒の揃っていない豆を抜き出す作業まで手際よく終わらせていて、あんまり時間が掛かった感じもせずにお会計が終わった。

”今日飲んじゃってもいいですけど、この豆は2,3日寝かせるのがおすすめですよ”

親切にもそう教えてくれて、”また来ますね”と言って店を出た。

◇◇◇

アドバイス通り、豆はまだ飲まないで寝かせてある。
今日の夜、晩ご飯を食べたら明日の朝の分を挽こうと思っている。
だしパックに入れて水出しにする予定だ。

いつもこんな風にコーヒーを楽しめるとは限らないけど、たまにはこういうのもいいね。
豆を買う時、挽く時、飲む時と3度楽しいなんて、コーヒーって長い間楽しめるものなんだな。




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