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アジト

ひとりで過ごす夜っていいな、と思う。

引っ越してきてから1週間が経った。
「え?」と思うくらい部屋はまだ片付いていないけど(だって暑くて片づける気にならないのだ)、4ヵ月ぶり2度目のひとり暮らし、なかなか満喫できていると思う。

特にいいのは、夜、ひとりきりで過ごせること。

前にひとり暮らしをしていた頃、話し相手がいないのがしんどくて、それでシェアハウスを選んだはずなのに。
いざ東京での生活が始まってみると、驚くほど話し相手を必要としなかった。

平日、ずっと気を張って会社の人と接しているからか、残りの時間はひとりきりになりたくて仕方ない。
ずーっと押し黙って漫画を読んだり本を読んだり、自分だけの世界に浸っていたいのである。

誰とも会話しないなんて、フケンゼン、なのかもしれない。
確かに、今日は買い物には行ったものの特に誰とも話していないし、このまま誰とも話さずに寝るだろう。

でも、他人との関わりを欲しない時もある。
自分のペースでゆっくりできるだけで充分な時が。

他人と関わるためには、まずひとりきりになれる場所が必要なのだと思う。
ひとりきりの、アジト、のような場所。
よりどころのような場所。
英気を養う場所。
誰にも邪魔されない、安全で、安心してひとりでいられる場所が。

その場所でゆっくりと元気を蓄えて、初めて他人と関わることができる。
他人と関わる中で傷つくこともあるけど、帰る場所があると思えば、また外に出ることができる。

東京に来て、ようやく「帰る場所」、「帰りたいと思える場所」ができたかもしれない。
この部屋があるから、わたしはもうどこにでも行ける。
どんなに電車やメトロやバスに乗って遠くに行っても、くたくたに疲れても、この部屋に帰ってきさえすれば、また出かけていけるのだ。

今日も遠くまで買い物に行ったし、明日もまた買い物に行かなくちゃいけない。
でも、またこの部屋に帰って来れるから。
だから安心して、外に出る。

最後までお読みいただきありがとうございます。 これからもたくさん書いていきますので、また会えますように。