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【本の紹介】あるノルウェー大工の日記

本書は書名の通りで、とあるノルウェーの大工さんが書いた日記である。日記ではあるが、大工仕事に関する創意工夫やこだわり、仲間との関わりや顧客との関わりなどに対する筆者の考えが克明に記されている。

大工仕事に関しての職人としてのこだわりが記されている。ここからフリーランスの人はもとより、仕事に対する姿勢について何らかのヒントがほしいと考えているビジネスマン・物作りに関わる方々は、本書から何か得るものがあると思う。また生粋のビジネス書ではなくエッセイなので、単に読み物として読んでも面白い。

仕事の進め方や案件の受注、細かい部分になってくると階段の作り方から大工工事に関する設計に対する考え方、使用する建築材の選定から適用などといった事柄に関して著者の考え方やこだわり、他の施工者とのギャップなどが記されている。実際に家を建てる場合に結構参考になりそうでもある。

また、仲間との関係構築、仕事での連携や信頼関係、部材業者との関わり合いなどについて、そのやりとりや連携方法、実作業中の連携などについても色々と記されている。読んでいるとその場の空気や雰囲気が感じられるようで楽しい。

「私は良いことも悪いことも、正直に自分が見たままに(顧客に)伝えたいと思う方だ」

という本書前半の記述から、著者の仕事に対する誠実さがうかがえる。また続いて

「懸案事項を早い段階で(顧客に)知ってほしいが、今話せばこの仕事を得られるチャンスが減ってしまう」

という記述から、現実のジレンマやコミュニケーションを取るタイミングに悩んでいるのが読み取れる。実際のビジネスでもこういった判断を求められる事は多いだけに、大いに共感できる。

詳細に読んでいくと、著者の職人としての考え方や生きるスタイルが色々な粒度で読み取れる。これらの中にビジネスに対するヒントが多く見られるのは当然と言えば当然なのだろうが、それにしても真摯に仕事や顧客・仲間とのコミュニケーションに向かい合う姿勢は一服の清涼剤になるとともに、大いに反省点や参考になる所もあると思う。

記述事態は日記形式なので堅苦しくは無い。機会があれば、是非手にとって読んで見てほしいと思う一冊である。


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