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024 「”deserve”という英単語」について

英語のあいさつで、”How are you?”というのは普通に使われている。
ただ、中学校の英語の授業で習ったように”I’m fine, thank you. And you?”なんてことを言っている人をぼくは見たことがない。だいたいは”Good”などと短く言うだけだ。ぼくはこのやりとりが苦手で、”Good”だけ答えることがなんとも気持ちが悪いのだ。でも、”I’m fine, thank you. And you?”というのももっといやだ。
ぼくはずっと、この”How are you?”への返しに何と答えればいいのかをずっと考えていた。

そんなとき、Podcastのある番組で、ベストな返しを聞いた。その番組はおそらくアメリカでラジオ番組として放送されているもののPodcast版だと思う。その番組のパーソナリティは、電話相談のコーナーで、視聴者と電話で話すときに”How are you?”と言われたら、かならず”Better than I deserve!”と返す。
ぼくは、これだ!と思った。

“deserve”は英語では動詞なのだが、これに対応する日本語の動詞はない。辞書で調べると「〜を受けるに値する」などと書かれている。”Better than I deserve!”をかなり意訳気味に日本語にすると「ぼくの普段のおこないの割にはいい感じだよ!」といったところか。

ぼくはこれが気に入って、何度か使ってみたことがある。一緒に仕事している英語が母国語ではない人(日本語は話せないのでぼくとは英語で話す)が”How are you?”と言ってきたときに、ここぞとばかりに”Better than I deserve!”と答えてみた。すると、やはり彼にとってもその言い回しは面白かったようで、笑った後、「その言い回しは日本語的なものなのか?」と真顔で聞いてきた。確かに日本人独特の謙遜のようにも取られそうだが、ぼくはどちらかというとやや悪ぶっているような印象を受けるのだが。

さて、話は変わるが、ぼくの友達で、ヨーロッパのある国に亡命したある国の難民がいる。(亡命元と亡命先は伏せておく)
彼の両親は、彼が幼い頃に、戦火を避けて今の国に亡命したのだ。それは命からがらだったと思う。今は彼とその家族は自由を得て、ぼくが知る限りは楽しく暮らしている。世界中を旅したり、おいしい食べ物を食べたりもしている。
彼は一度両親、妹を連れて日本にも旅行で来たことがある。そのときにぼくは家族全員を、海外からの観光客は知らないような老舗のお店に連れて行った。これはかなり嬉しかったようで、今度彼らの国を旅するときは家に招待します、とまで言ってくれた。実際にぼくはその数年後、彼らのホームパーティーに招待してもらって、美味しい食べ物やお酒をごちそうになったのだが。

先日、あるSNSで、その両親が「今、プーケットに旅行している、ヨーロッパや他の地域はまだまだ寒いでしょうが、ここは温かい!」と自慢げに書いていた。亡命元の国の言葉で。ぼくはGoogle翻訳を使って、その言葉で「うらやましい!」とだけ返した。

と、こういうことがもしYa◯oo Newsの記事になったとしたら(ニュースの記事になるような内容ではないが)、きっとひどいコメントが、しかも皆同じことを書くことだろうと思う。あそこにコメントを書く人たちはとにかく人に厳しく、そして自分だけが独自のことを言っている、と思い込んでいる。

ぼくは、戦火を逃れた地で幸せに暮らしている彼と彼の家族に対して言いたい。

You deserve it.
あなたたちは人生を思う存分謳歌すればいい。


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