日本史と資産形成

いま、大村大次郎氏の著作『「土地と財産」で読み解く日本史』を読んでいます。


日本史の通史を資産形成と家計という点で読み解いている本ですが、いくつか琴線に触れたところをまとめます。


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1.富を渡しても「富を生み出す手段」は独占すること


豊臣秀吉と徳川家康の違いに焦点が当たっています。


秀吉は裸一貫からのし上がったため臣下に莫大な知行地を与えることで支持力としていたため、自分の直轄地はそんなに多くなく、家臣とそこまで大きな差はありませんでした。


一方、三河の土豪だった家康はもともとの家臣がかなりの数で存在したため、大して知行地を割り当てなくても、ほんのちょっとの加増で「糟糠の妻」と言える譜代の家臣たちは満足したため、徳川家の直轄地が膨大なものに膨れ上がりました。


ただ、家康は細川忠興などに黄金100枚を無担保で貸し与えたりするなどして人心掌握をしたということもあり、単なるドケチというわけでもありませんでした。


ここからがミソですが、秀吉と家康で何が違ったかと言えば、秀吉は家臣に「富を生み出す基盤」である土地を知行地として分け与えたのに対し、家康は「富を生み出す基盤」である土地は自分が独占するものの、富そのものは気前よく与えて人心を買うことに努めたということです。


その結果、豊臣家は徳川家康に滅ぼされましたが、膨大な「富を生み出す基盤」を持ちえた徳川家は300年近く自分の覇権を保ちえたということです。


この教訓を生かしますと、自給自足型・生活保障共同体でも「富を生み出す基盤・能力(主に土地と利用権)」は共同体で独占的に所有し所有権は絶対死守して他人に明け渡さず、そして他者の「富を生み出す基盤・能力」の所有権を自分たちのものにしていくことが必要ですが、共同体の持つ富そのもの(生産物や金銭)に関しては影響力を行使するために他者に気前よく与えることも適宜行うべきだ、ということです。


結論としては、豊臣秀吉ではなく、徳川家康方式で経済運営を行う必要があるということです。


つまり、富を生み出す基盤=資産(資本)を間接的に所有して手数料を細々と取るのではなく、直接的に所有してドカンと収入そのものにするということです。

もちろん営利法人だけでなく、農業法人や公益法人など営利法人よりも税制上優位な法人格も徹底的に利用し尽くして節税に努め、政府への「上納金」を限界まで削減して自分の資産に転化させるのは言うまでもありません。


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2.社会の発展の流れを利用して資産を築くこと


日本流の成功法則の第一人者である本多静六博士の資産構築法の肝となる教えの一つに「社会の発展の流れを利用して資産を築く」というものがありました。


本多博士は自分の専門の「林学・山林経営」の知識とスキルを梃に、秩父周辺の開発などの社会の趨勢を見て、師匠のドクトル・ブレンタノに教わった通り、山林の不動産と鉄道会社の株式を通じて莫大な資産を築きました。


今はもちろん社会情勢そのものが変化しているので、単に事実的に猿真似しても上手くいくわけないのは当然ですが、その教えの一般論「社会の発展の流れを利用して資産を築く」という原理から敷衍して、現在の自分の生きている社会に応用すればどのように立ち回るべきか?ということを自分で考えることが大切でしょう。


そこで私が見て取ったのが、東京圏への一極集中による地方、特に中山間地の過疎化という情勢です。


東京圏はすでに人口飽和で限界に達しており、ごく一部の超富裕層が生活水準を吊り上げていることで所得に対する支出の割合がカツカツになるという、いわばフローにおける貧困化が最も激しいと見ています。


その点、そういったグローバリストや超富裕層に見捨てられた地方の過疎地では逆に生活水準はそれなりに高くても、それにかかる費用が非常に安く済むので、収入を確保する手段を作れば、収入と支出の黒字差額を大きくしやすいです。


また、地方の地価自体が下落しており、莫大な土地が非常に廉価で入手できるという利点もあります。


東京人からすれば過疎地なんてゴミ同然でしょうけれども、自給自足農業と自伐型林業そして狩猟採集のスキルを持っている人間からしたら宝の山でしかありません。


ここから、食糧だけでなく、間伐材という半永久的に採取可能なエネルギー資源による火力発電を行うことで、誰かに支払う生活費をほぼゼロにしながら、インターネット経由で都市部に繋げた「不労所得のストロー」で都市部から収入をチューチュー吸い取って資産に転化させていくというやり方が今の時代でかなり有望な手段の一つではないかと思います。


この考えの大元の一つが、OVA版『攻殻機動隊 S.A.C 2nd GIG』の作中で、難民指導者のクゼ・ヒデオが「莫大な活動資金をどうやって調達したのか?」と同志に質問されて答えた内容です。


その答えは、膨大な金融取引で切り捨てられている1円以下の「存在するけど無いものとして扱われている」お金を、全て自分の口座に入ってくるように細工して資金を積み上げた、というものです。


もちろん私はこんな犯罪そのものなリスクを冒すつもりは全くありませんが、「存在するけど無いものとして扱われている」ものを自分の力として活用する、という視点・考え方は全面的に取り入れています。


「地方の過疎地で楽しく自給自足をしながら、ネットを使って都市部に不労所得のストローをぶっ刺して上澄みをかっさらう」ことで、大衆の目が都市部、特に東京に集中している間に、徳川家康のように地方に莫大な「所領」を作って巨大な影響力を持つというのが私の基本戦略です。


もちろんいつまでも都市部からの不労所得に依存するつもりはなく、都市部から吸い取ったもののほとんどを自分の支配領域内での資本に転化させて蓄積することで、都市部から完全に切り離しても自分の持つ資本の自己増殖システムだけで飛び続けられる状態にもっていくつもりです。


話は逸れましたが、社会情勢の動きをどのように自分の資産形成に活用するのか?という視点で立ち回ることが資産形成に必要だということを学びました。


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こういった歴史の流れを経済の視点で見ることだけでなく、そこを「自分事」として考えて、自分がどのように立ち回るのか?ということを考えるヒントの一つにすることも、歴史の学びの一つの効能かなと思います。

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