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ないなら自分で作ればいい。

高校時代にネイルブランドを作りました。これはその時の一連の体験の回想録です。

 目次 
 ・時代背景
 ・ネイルチップ制作
  - デザイン
 ・WEBサイトで販売
  - 
WEBサイト作り
  - 文章作成(ライティング・ネーミング)
  - 写真撮影(スタイリング)
  - マーケティング
  - 商品設計
  - マネタイズ
  - パッケージング
  - 郵送手続き
  - 即売会
 ・まとめ

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時代背景

これは、私が高校生だった頃のお話。
小学生からヴィジュアル系一筋だった私は、かわいいものよりカッコいいものが大好き。

当時流行っていたネイルチップも、ハートやリボンを散りばめたピンクのゴテゴテしたものには少しも惹かれず、かわりに私が欲していたのは骸骨や蜘蛛の巣が書かれた”カッコいい”ネイルでした。

今ではそういったデザインのネイルやネイルシールもカンタンに手に入りますが、当時は本当にどこを見渡しても存在しなかったのです。

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ネイルチップ制作

実家が看板屋だった私は子供の頃から「ないものは作ればいい」精神の持ち主。毎日親がPCでデザインを作り、看板を制作しては取り付けに行く一連の作業を目の当たりにしていたためか、なにかを「作る」ということへの心理ハードルがほぼ皆無だったと言っても良いでしょう。

当時、腰にジャラジャラとチェーンを付けたり囲みメイクを施してビジュアル系のライブハウス通いをしていた私は「かっこいいネイルをつけてライブに行きたい!」と思うようになります。私のネイルチップ制作はそんな文脈でスタートしました。

■ 手描きで作ったネイルチップデザイン 

どうでしょう。今見てもなかなか素敵にできているのではと思います。今思えば私の凝り性とデザイン好きは、この頃にはすでに発症していたんですね。
メンズ寄りのいかついファッションが好きだった自分用のネイルの他、ゴス好きの姉用のネイルも作っていたため、メンズラインやゴスラインなど、いくつかに系統分けしたデザインを作るようになりました。

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WEBサイトで販売

さて、凝りに凝って制作したネイルチップをライブに付けていくと…。戦略は大成功。周りのバンギャたちから「なにそれめっちゃかわいい!!」とそれはもう褒めそやされました。あまりにも「自分も作ってほしい!!」という依頼が殺到したので、私はネイルチップの販売を始めることにしました。

ただ、当時高校生だった私は面と向かってお金の話をするのが恥ずかしかったため、また、「これだけ自分の周りに欲しがる人がいるのなら、他にもマーケットがあるのでは?」と感じた私はWEBサイトを作ってオンライン販売を始めることに決めます。

【 WEBサイト作り 】…………………
高校生だった当時、私にはWEB制作の知識が一切なかったわけですが、幸い実家が看板屋なおかげで、方法を学べる環境にはありました。
PCは仕事用のものが借りられましたし、親戚経由でホームページビルダーというソフトが手に入ったため、あとはただただ実践あるのみです。

当時作成したホームページを今見たらさぞダサくて面白いのではと思うのですが…画像に残っていないことが悔やまれます。

【 文章作成(ライティング・ネーミング) 】…………………
WEBサイトを作るにあたって困ったのは、ページのタイトルや商品名、商品説明…などなどWEBを作るためには大量の画像や文言が必要だという事実。仕事としてデザイナーをやっている今でもよく直面する問題ですが、これって当事者にならないとなかなか意識しないんですよね。。

V系バンドのタイトルをもじって
蜘蛛の意図/BLOODY WEDDING/ANARCHEY/残…etc
のネーミングを冠した作品を公開したのでした。

この時に散々文章や商品名を考えに考えた経験が、今のブランディングへの意識に繋がっているのでは。なんて気がしています。

【 写真撮影(スタイリング) 】…………………
初めてコンデジで商品撮影を行なったのもこの時でした。

■ 当時撮った写真たち

世界観を出すためにアクセサリーを散りばめたり、小道具に小瓶や羽根を使ったり…。コンビニくらいでしかバイトをしたことのなかった私が、よくもまぁそれだけ工夫したなぁと、昔の自分に感心しています。

【 マーケティング 】…………………………………………………………
さて、サイトを作ったはいいものの、商品を販売するにはマーケティングをしなければなりません。SEO対策のSの字も知らない中、キーワードに配慮したり、mixiのヴィジュアル系コミュニティに発信してみたり。まだまだネットも普及したての頃でしたから、身バレやネット上のリスクなどに怯えながらも思いつく限りのマーケティングにトライしました。

その甲斐あってか、月に数件レベルではありますが、ネイル作成の依頼が入るようになっていきます。
そうなってくると困るのが、商品設計やパッケージング問題。

【 商品設計 】…………………………………………………………
自分用のネイルであれば問題ありませんが、商品となってくると途端に話はややこしくなります。人によって指の太さや爪の形状が異なるため、ひとりひとりに合ったサイズで作成する必要が出てくるのです。

この時は念入りにリサーチを行ない(高校生だったので、教室で色々な人に爪のサイズを測らせてもらったり、世のネイルチップがどのようなサイズ展開で販売されているかを調べにでかけました)、更に頭をフル回転させて、結果的に14本セットSMLでのサイズ展開をすることにしました。
1枚1枚手作りの手間を考えれば、本当は無駄に4本も作るのは嫌だったんですけどね…。

そんな経緯から「ネイルチップづくりは時間がかかるな…」と考えた私は、ステーショナリーづくりにも手を出すのですが…ちょっと話が脱線しそうなので、ここでは割愛します。

【マネタイズ】…………………………………………………………
当時は高校生だったこともあり、世間一般の「高い」「安い」基準がわからず、金額設定にはとても苦しみました。
これは大人になった今でも感じますが、日本はクリエーションにお金を払う文化が根づいていないこともあって、クリエイターも自分のスキルを低く見積もってしまいがちですよね。

当時の自分にひと声かけるなら「高いか安いかの判断をするのはアナタじゃない、お客様だ。判断されるのを恐れず、自信をもって値付けせよ。」…かな。

銀行口座もろくに使ったことのない時代だったため、このあたりは(お客様からの振込確認方法なども含めて)当時自営業の親にめちゃめちゃ相談に乗ってもらいました。とても感謝しています。

【 パッケージング 】…………………………………………………………
さて、オンライン販売となると別の問題も出てきます。商品手渡しなら楽ちんですが、郵送の場合、パッケージ方法にもこだわりたいところ。ここでもまたまた凝り性を発揮して、封蝋とかに手を出し始めるわけです。ちなみに、封蝋っていうのはこんなやつ(笑)

今思うと、完全にハイブランドとかのパッケージングをお手本にしていて、費用対効果に見合わない道楽状態でした。
コスト削減とか安く作って高く売る的な発想が欠落していたなぁと今では少し反省しています。楽しかったですけど(笑)

【郵送手続き】…………………………………………………………
当時の失敗談で、一度支払いを受ける前に郵送手続きを行なってしまったことがあり、その時はお客様から「あの、商品届いたんですけど!すみませんまだお支払してなくて💦あの!すぐ支払いますね!!」みたいな電話がかかってきてしまいました(笑)
振込確認を怠って商品発送してしまった自分にも失笑ですし、特定商取引法の関係で掲載しなければならかったため仕方なく掲載した個人携帯番号だったので、結構ドギマギしながら対応したのを覚えています。

正しいフローは
受注依頼を受けて→商品を作って→支払いを受けて→郵送手続きの流れ。
このフローの中で、私はつくづく事務作業がキライなんだということを思い知りました。

メール対応や封入作業はまだ良いのですが「宛先を書いて郵便ポストに投函」がとてつもなく面倒くさかったため、「自分にはオンライン物販は向かない」ということに早い段階で気付くことができました。

【おまけ:即売会】…………………………………………………………
当時から好奇心旺盛だった私は、興味本位でヴィジュアル系向けの即売会というものに参加してみたことがありました。
結果は惨敗(笑)周りを見渡すと(当然といえば当然ですが)出店しているのは実店舗も持っていたり、コスプレイヤーとして有名な方だったりする大人ばかり。世の中はそんなに甘くない…ということを知れた良い経験でした。

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まとめ

同じことを今やったらもっと上手にビジネス化はできるでしょう。
ただ、これだけ自由に、かつ凝りに凝ったブランディングができるかというと少し疑問があります。

今思うと、通っていた高校が新宿にあったのも良かったんでしょうね。雑貨にしても何にしても、最先端の流行をいつでも目にすることができていたので。
とことんクオリティにこだわる体質はこの時代があったからこそ出来上がったのだと思うと、とてもいい経験だったと思います。

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 教訓 
 ・生産コストに見合う値付け感覚大事!
 ・量産体制を敷く(薄利多売)か、圧倒的クオリティでハイブランド化するかの判断大事!
当時感じたこと 
 ・作りたくて作ったものがお金になるのって楽しい
 ・エンドユーザーと直接言葉を交わして褒められるのって嬉しい
 ・平面やデジタルでの演出は得意だけれど、ディスプレイを作るのって色々準備が必要で難しい

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この経験は10数年前の話ですが、実はまだ当時作ったものたちの在庫を手元に抱えていたりしますw

ちょっと自分でも何作ったか把握していない部分があるので、近々どこかにギャラリーを作ろうかな。ほしい!という方がいらっしゃいましたら郵送しますので、ぜひコメント下さい。

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