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各務 太郎『デザイン思考の先を行くもの』、読了。

本屋さんで見かけて、なんとなく気になって手にとった本。

もうなんていうか、本当の意味で「ザ・デザイナー!!」って感じの発想満載で、夢中になって読破してしまうような本でした!

こんな人にオススメ
☑ デザインとは…?の問に頭を悩ませているデザイナー
☑ デザインとアートの違いとは?にハラオチしたい人
☑ 楽しく自分らしいアイデアが思いつけるようになりたい人

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FAVORITE WORDS

ここからは私がメモに残したい文章を引用し、コメントを記します。

例えば作曲家がジェットコースターに乗ったら、その上下運動やスピードの緩急がメロディに「感じてきてしまう」かもしれない。パティシエがドバイの面白い建築物を見たら、新しいケーキのフォルムに「見えてきてしまう」かもしれない。

ハーバードのデザイン教育は今、「個人の見立てる力」こそが1番重要な要素と考えている。

これを「見立て」と呼んだことが意外ではあったが、まさに芸術という表象はこのようにできているよなと納得。

更にここで「個人の」と言及しているのは、実体験に基づく根拠こそがオリジナリティになるという思想の顕れ。

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「少ない予算の中で工夫(妥協)すること」を美徳とする日本
「アイデアを100%実現すること」をクリエイティブの定義とする欧米

私はTLに流れてきた下記ツイートにあまり共感できなかったんだけど、

欧米と日本ではそもそもの目標地点とスタートが違う。その違いを明確に認識しておくべきではある。

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デザインのはじまりは、シンプルに「新しい視点の提供」。

これは本当にその通り。事実、「デザインの依頼」として受けて、実際は「これを使えばよいのでは?」というアイデアだけで解決するものも多い。

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デザインは目的の表現。
それが素晴らしいものであれば、後に「芸術」と呼ばれることもある。

デザインとはあくまでも「問題解決」という目的の追求であり、その目的を究極的に突き詰めていくことで、結果的に、無駄が削ぎ落とされた美しいものができてしまうことがある。

そう。物事には順序がある。美しいものを作ろうとしたんじゃない、結果としてできたのだ。っていう。

あまりにも納得過ぎて、この一文は深く心のメモに刻みました。

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デザインとセンスは一切関係ないと述べてきたが、もし「デザインのセンス」と呼べるものがあるとすれば、それは「不便と感じる頻度」ではないかと思う。

これにも納得。私は自分にデザイン(スタイリング)のセンスがあるとは思っていないけど、とにかく不便や不満を感じる頻度だけは人並み外れて多い。そのたびに解決策を模索して過ごしているのだから、それは人よりアイデアが豊富でも不思議はない。

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アイデアの凄みというのは、クライアントから要求されたオリエンテーション(問題)とアイデア(答え)とのギャップにこそ存在する。
世の中を変えるような革新的なアイデアは、アイデアを最初に思いついた人の極めて個人的な主観や見立てに基づくべきであり、そうすることで他社には容易には理解できないシークレットなものが生まれる。
「シークレット」これは、その個人にしか思いつかないアイデアということであり、他人が容易に参入障壁の高いアイデアである可能性が高い。

もう…なんでこんなにキレイに私が思ってたことを言葉にしてくれるの?ってくらい素敵な言葉の数々。

ほんっとおっしゃる通り。そして他者評価によると、どうやら私はこの「シークレットなアイデア」というのを発想する頻度が圧倒的に高いらしい。

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その場所には複数人いるにはいるのだが、結局は個人作業を行うことになる。アイデアというのは何人かの脳に同時に思い浮かぶことはない、結局最後は誰かが思いついているのである。

超タイムリーに先日同じ内容をツイートしてた。

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OTHER KEYWORD MEMO

デザイン思考とは、TechnologyCenteredからHumanCenteredへ遷移する時代の文脈で注目を集めた概念。

本書では「デザイン」を問題解決そのもののことを指しており、表面的な「装飾」を意味するいわゆるカタカタデザインのことをスタイリングと呼び分けている。

スペキュラティブ・デザインの代表例。
人工膀胱Shenu。

枯れた技術の水平思考

手札を見せ合う

物理的因数分解/時間的因数分解。
※アイデア出し手法の文脈で出てきたキーワード。

スプツニコにせよソイレントにせよ、spiberにせよ、私が過去にピンポイントで検索をかけたものばかりが事例として挙がっていたのが興味深かった。

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まだこの本を読んでいない人へ

論旨と離れた部分ばっかりピックアップしちゃった気もするけど、本の趣旨としては2点。

・デザイン思考はイノベーションを生まない。イノベーションを生むのは見立てる力。
・未来からの逆算力(バックキャスティング)で生まれたデザインは、現在の問題を解決しない。しかし良き問題提起を投げかけることで、今の在り方を思考するきっかけとなりうる。

って感じのことが書かれています。

著者が元々コピーライターとしても活躍されていた影響からか、紡がれる言葉が全部、完結で的確でめちゃめちゃ美しい良書。
デザイナー必読の本です✨読んで感想聞かせてね!(*´艸`*)

書いた人:あそび屋Kai

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