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おみくじ

大体、初詣の時におみくじを引くことが多い。学生時代はよく京都に二年参りしていたが、そこではよく大吉を引いていた。お正月には凶を減らし、吉を増やすという話を聞いたことがある。京都の神様に機嫌よくもてなされていたということかもしれない。大学受験の時には北野天満宮にお参りしに行って、絵馬など書いたりしたものだが、その時のおみくじもやはり大吉だった。

大学卒業後はもう今は閉院してなくなってしまったけれど、ある病院で正月に当直することがよくあった。何事もなく仕事が終わってそれから近くの大きな神社に初詣に行ったのだが、そこでおみくじを引いた時には見事に凶ばかり引き当てた。隣では吉とか大吉を引いている人がたくさんいるので自分だけ凶を引いた理由はよくわからない。数年前にたまたま近くを訪れたことがあり、初詣ではなかったけれど、久しぶりにおみくじを引いてみたがやっぱり凶を引き当てた。おみくじにも相性というものがあるのかもしれない。

その後は結婚して子供ができたこともあり、近くのお寺や神社で初詣をして、おみくじを引くこともあるが吉であったり凶であったり様々である。

一つだけ印象に残っているおみくじがある。それはもう十年以上前のことだと思う。夏休みにふらりと一人で京都に行った時のこと。パワースポットとかが人気になり始めた時期で、「そういえば義経は鞍馬天狗に稽古をつけてもらっていたんだよなあ」と思いながら気ままに鞍馬の方に向かうと夏でもあり川床料理で混み合っていた。鞍馬寺に向かおうと思っていたのだが道を間違えたようで、川沿いにどんどん登ってゆくと、ついには川床料理屋もなくなって川だけになり、空気も澄んできた感じで気分よく登ってゆくと神社があった。

せっかくここまできたのだからとお参りをして帰ろうとして振り返るとおみくじを売っているのに気づいた。よくある箱をガラガラと振って出てきた棒に数字が書いてあるおみくじではなくて上から紙を取ってゆくタイプだったと思う。

お金を払ってさあ紙を取ろうとすると静電気のようなものが走って紙が手に吸い付いてきたような感触であった。おみくじの紙をよく見ると一番の大吉であった。「えっ?えっ?」ていう感じでよくわからなかったけれど、気分も良かったので一緒に御守りを買って帰ってきた。今もそのお守りは自室に置いてある。

それだけの話である。オチも特にない。

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