見出し画像

【緊急】FW考察〜0トップの可能性〜

こんにちは、ニシザワです。
もう散々報道されていますが、ファビオとペドロ・マンジーの2人が契約解除となってしまいました。この件についてここで私見を話しても仕方ないので、今回の考察はFWが3人(負傷離脱中の新太を含めて)いない状況で今後のリーグ戦をどう戦うべきか考察していこうと思います。

(*選手は敬称略です。)


○新たなFWが必要か否か

例の契約解除についての記者会見議事録に「今後FWの補強を考えているか?」という質問がありました。みなさんはどうでしょうか?
私はFWの補強は必要ないと思っています。そもそもFWがいなければ得点力が落ちるというのも前提として間違っていると考えています。簡単に言うと2列目の選手に得点力があれば最前線で囮となってスペースを作るという役割もありますし、本当に強いチームは海外でも得点者が偏っていません。(得点数が均等という意味ではなく、得点者が多くいるということ。)もちろんフィニッシュの際ゴールに近い位置にいるFWに多少は得点が多くなりますが、それは配置上の結果なのです。それでも納得し難い点もあると思いますので、アルビレックスに当てはめてひとつひとつ考察していきます。


○現状のファーストチョイスは?

現在アルビは4-2-3-1を採用しており、FWは一枚となっています。このシステムを継続するかはわかりませんが、前節の27節水戸戦では採用して勝ったのですぐに変えることはないでしょう。このシステムでのFWのファーストチョイスは十中八九鄭大世になると思います。
「それはそうだろ」という声が聞こえてきそうですが、せっかくなので鄭大世の長所・短所について考察してみましょう。

<長所>
・フィジカルの強さ
・ゴール前でのDFとの駆け引きの上手さ
・理不尽なゴール
<短所>
・守備意識の低さ
・オフザボール(ボールを持ってないときの動き)の少なさ

つまり相手のゴール前にどっしりと構えて味方からのアシストを受けられると強みを発揮する一方、前線からのプレスが必要な試合や相手のディフェンスラインをオフザボールによって撹乱することが求められる場合にはあまり輝けないといったところでしょうか。例えば24節町田戦は相手のスタミナが尽き始める時間帯に出たことや、前がかりになるDFラインで1対1の状況を制したことでハットトリックという結果になりました。他方22節甲府戦では5バックの相手にオフザボールが少なかったことで鄭大世自身に良い形でボールが入ることは少なく、後半からファビオに代わったことで流動性が増しました。(結果として鄭大世が動かないことで、DFを一枚ピン留めできていたというメリットもあった。)

さてここまでの考察でお分かりいただけたと思いますが、鄭大世という選手は得手不得手がハッキリしており条件を整えれば流石というべき力を発揮してくれます。ただどうしても鄭大世と相性が悪い相手がいます。それがゴール前にベタ引きになる守備です。この場合、鄭大世が封殺される可能性が高いと思いますし、クロスを放り込んでも現状のアルビの2列目(至恩、高木、中島)は空中戦に勝てるほど上背がありません。またそれとは別にやはり鄭大世1トップ以外にもオプションとして新しい形は持っているべきだと思います。

そこで私が考えたのが「中島0トップ」です!

…はい、記事を書く前に前節の水戸戦の後半でやられました(泣)。友人とテレビ観戦していて「中島0トップありだよな」と言っていたらやられました。前々回の「可変式3バック」といい、記事書くちょっと前にアルベルト監督が実践してしまうんですよね…。こうなると私と監督の頭の中はそこまで変わらないのではとも思ってしまいます、どこかのチームの方はアナリストとして私を雇いませんか?(笑)
さてさて、冗談はこれくらいにして考察に入りましょうか。


○「0トップ」とは

そもそも「0トップ」というシステムをみなさんはご存知でしょうか?言葉だけは聞いたことがある人もいるかもしれませんね。改めて「0トップ」について説明します。

「0トップ」
純粋なセンターフォワードを前線に置かない布陣。例えば攻撃的MFやWGなどが務めることが多い。

言葉で表すとこんな感じでしょうか。アルビで言えばたまにシルビーニョが2トップの一角に入ることがありましたが、あれの1トップバージョンと思っていただければいいです。
さて、この「0トップ」昔からあったものですが近年このシステムで席巻したのが、アルベルト監督がアカデミーにいたときのバルセロナの監督、ペップ・グアルディオラ(現マンチェスター・シティ監督)です。そのためアルベルト監督の頭の中にも「0トップ」の発想はあると思います。実際前節も後半途中からとはいえやっていました。

では「0トップ」はどのように機能するのか、下の画像を見てください。

画像1

このようにCBも中盤も捕まえにいきづらい曖昧なエリアに下りることでボールを引き出し、攻撃を展開します。もし相手DFが捕まえに来るようならどこかにギャップが生まれることになるので、そこを狙いにいきます。「0トップ」に必要な要素は①中盤でパスワークに絡めるテクニック、②自由を与えると脅威になる得点力、です。この2つに関しては中島が持っていることに疑いはないと思います。特にここ最近は実際にゴールも決めていることで相手としては気にしたい存在でしょう。

お気づきだとは思いますが、上の画像ではバルセロナ仕様の4-1-2-3の「0トップ」になっています。この場合両ウイングの裏抜けが鍵になるのですが、アルビの4-2-3-1ではサイドハーフがその役割を担う、では面白くないですしそもそも選手の特性も違います。では、アルビ式の「0トップ」を考察していきましょう。


○アルビ式「中島0トップ」

百聞は一見にしかずということで、下のシステム図をどうぞ。

画像2

はい、どうでしょうか。私の記事を読んでくれた人には伝わると思いますが、システムを作るうえで私が考えていることは、①選手の適材適所、②5レーンを整備し幅をとる、③カウンターのリスク管理、です。両サイドの至恩、大本は例のごとく幅をとり大外のレーンにサイドバックをピン留めします。ちなみにこの2人の場合独力での突破力もあるので場合によっては1対1を仕掛けるというのもアリですね。そして中島が作ったスペース、左のハーフスペースは高木、右のハーフスペースは田上にとらせてみました。「田上⁈」と思った方も多いと思いますが、高校時代FWだったこともあり攻撃性能はなかなかのものですし、最近の得点機に絡む機会の多さを見ても良いのではないでしょうか。あと守備時の対応を考えると田上より福田がフィルターになった方が安心する気がします。(本職のDFに対してどうなんだとも思いますが…)
他には明確なフィニッシャーがいないことで的を絞りづらいという効果もありますね。もともとアルビは得点者がある程度バラついていますし、いい意味で強力なエゴを出す選手がいない以上、なかなか効果的な戦術だと思います。


○達也と矢村というチョイス

こういうことを書くと他のFW、例えば達也や矢村に対してリスペクトがないと思う人もいるかもしれません。しかしこれはあくまでひとつのオプションであり、中島の役割を他の人にやらせようとするのは無理な話です。そもそもシステムというのは選手基準にするものであり、選手をシステムに当てはまるのではなく、選手の適正を見てシステムを作るべきだと考えています。つまり達也や矢村を活かすシステムはまた別のものであり、今回の「0トップ」システムとは切り離して考えるべきです。補足すると、達也や矢村は鄭大世との2トップで、鄭大世の周りを衛星的に動くセカンドストライカーの役割が一番だと考えています。そのため、他のFWが必要ないという理由でないのは理解してもらいたいと思います。現状の出場機会を考えるといきなりこの2人が主軸になるとは考えづらいので今回は省略させてもらいました。今後プレー時間が増えて今季の考察をするための材料がそろったら改めてやろうと思います。


○終わりに

ここから先のリーグ戦はさらなる総力戦となり、出場機会の少なかった選手が多くチャンスを得る可能性もあります。今回考察した「0トップ」以外にも新たなシステムが生まれる可能性はあります。同じフォーメーションでも選手の配置が変われば戦術も変わります。だからこそ私は今まで「フォーメーション(初期配置)」ではなく「システム(戦術や動きも含めたもの)」として書いてきました。新しい「システム」が生まれたとき、選手の特性に合っているか注目してみましょう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?