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マーダーミステリーにおける犯人COの是非

マーダーミステリーで犯人が自ら犯人だと名乗り出る(犯人COする)ことの是非について考察しました。
まず結論からお伝えすると「基本的に全体の場で犯人がCOすることはNG」だと考えています。

マーダーミステリーは犯人探し

マーダーミステリーは担当キャラクターのロールプレイ、物語への没入、個人目標の達成など、さまざまな要素がありますが、根本にあるのは「犯人探し」であり、犯人陣営 vs 非犯人陣営によるチーム制の対戦ゲームということです。
ほかのどの要素が欠けていたとしても「犯人探し」がないマーダーミステリーはありません。
つまり犯人側は見つからないことがゲームの主目的であり、犯人以外は犯人を見つけることが主目的です。
したがって犯人が全員に対して名乗り出ることは「自分の目的を放棄する」ということになります。
自分が敗北するだけでは済みません。ほかのプレイヤーは勝ちを譲られることになりますが、勝敗がマーダーミステリーの楽しみのすべてではありません。迷いながら推理するという過程こそが面白いのであって、その楽しみを奪うことになります。
しかもマーダーミステリーでは同じ作品は一度しかプレイできませんから、その人の一生にとってたった一度の機会を失わせます。
だからこそNG行為なのです。

もちろんルールで禁止されてはいません。それはゲームをプレイするにあたって、プレイヤーは自分の目的を達成するために全力を尽くすことが前提となっているからです。
サッカーでオウンゴールする、ババ抜きでジョーカーを相手に見せる、人狼ゲームですべての人狼がCOするといった行為もルールで禁止されていませんが、プレイヤーは勝利を目指すことが当然であり、それに反する行為をしないのが所与の条件だからです。

犯人COが認められる状況はあるのか

「基本的に」と但し書きを付けたのは、犯人が名乗り出ることが認められる状況もあるからです。
一つは全体で公表することがゲームシステムで想定されている場合です。この場合、犯人探しからのルールチェンジを伴うことがほとんどです。
犯人探し以外の目的をプレイヤーが目指すことで、犯人探しが絶対のルールでなくなるパターンで、既存作品でもいくつか該当するものがあります。

もう一つは密談中に仲間へ伝える場合です。犯人を手助けすることが目的のキャラクター(いわゆる狂人ポジション)に対し、自分が味方であるとはっきり伝達するためです。
これも犯人として見つからないため、自分の目的を達成するための行為であり、システムで想定されているムーブでもあります。
実は仲間ではなかったという場合もありえるでしょうが、リスクを取った上での行動であり、目的を放棄しているわけではありません。

それでもボクはやっている

自分以外には犯人候補が一人もおらず、全員から犯人だと確信を持たれている場合はどうでしょうか。
針のむしろに耐えきれずに自白してしまって、ロールプレイに専念するというのは確かにNGではありません。
ただし「投了」であること(=ゲームを放棄する)はよく肝に銘じる必要があります。

本人の印象では完全に追い詰められていると感じていても、実は犯人を確信しているのは数人だけで、逆転できるチャンスがあるというのはよくあることです。
実際にそのような場面を何度も目にしてきました。
そのような状況で犯人COしてしまうと自分が負けるだけでなく、推理で迷っている人の楽しみを奪うことになってしまいます。
あきらめたらそこで試合終了というのは至言で、最後まで粘るのが基本です。

とはいえ、時には本当ににっちもさっちもいかないときがあるでしょう。その際は仕方ありません。
ただ奇抜なプレイを行ったわけでもないのにそういった状況になるとしたら、それはプレイしている作品のゲームバランスが悪いのが原因です。

狂人(犯人の味方だが犯人ではないキャラクター)のフリをするため、犯人が犯人COするというのはどうでしょうか。
「犯人が自分から犯人と名乗るはずがない。真犯人を庇うために自分が犯人になろうとしている犯人の味方に違いない」と思い込ませるという戦術です。
メタ思考に頼った戦術ではあるものの、そのまま犯人として捕まるよりはマシという窮余の策という意味では、目的を放棄しているわけではないので絶対にNGとは言えません。

ただやはり苦し紛れの策であって、マナー上は大して疑われてもいないのに取る作戦ではないでしょう。
さまざまな証拠から論理的な推理で犯人を導き出すというのが犯人探しの本来の楽しみ方であり、狂人と捉えるか捉えないかというメタ的な2択で悩むゲームではありません。
またメタ思考でいえば、狂人役がいる作品では狂人は絶対に犯人たり得ない証拠が出てくるものです。
そうでないと本物の狂人が犯人のフリをした場合にほかのプレイヤーに見分けがつけられず、犯人探しが破綻してしまうからです。その意味でも犯人が犯人COして狂人のフリをするのは悪手となります。

非常にシンプルにいえば、ゲームの面白さを台無しにする行為は行ってはいけないという至極当然なことに行きつきます。

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