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Q9.緊急事態条項の是非について

コロナ禍は、私たちの社会が不測の事態に対応しきれない状況をまざまざと見せつけました。諸外国では次々と軍を動員したロックダウンが実施される一方、わが国では「お願い」「自粛要請」等にとどまった結果、私たち一人ひとりの意識によって現在もマスク着用など感染対策への努力が続いています。

憲法を改正し、諸外国のように政府に強制力を持たせること等ができる仕組みづくり(いわゆる「緊急事態条項」)の必要性も議論され始めました。しかしながらこれについては、法整備の不備を憲法に転嫁している、という見方も可能です。

(問)憲法を改正し緊急事態条項を設けることは必要でしょうか。貴党の考え方に最も近いものを1つ選択し、具体的な背景や取り組みがあれば記載してください。

憲法改正を経た緊急事態条項の導入は
・必要
・不要
・その他

調査の結果、各政党が選択した選択項目と詳細は下記の通り。

1.自由民主党「必要」

わが国では有史以来、巨大地震や津波が発生しており、南海トラフ地震や首都直下型地震についても、迅速に対処することが求められています。そのため、国民の生命と財産の保護の観点から、憲法に「緊急事態対応」の規定を設けます。

2.立憲民主党「不要」

我が国では自然災害、感染症、武力攻撃、内乱やテロなどそれぞれ基本法制が整備され、法律に基づき緊急事態に対応が可能です。にもかかわらず、与党が緊急事態条項導入を主張することには反対です。政府が自ら緊急事態を認定すれば、緊急政令で国民の権利を制限し義務を課すことが可能になるからです。すると時の政権は議員任期を延長し、政権維持を図ることができてしまいます。独裁的権限を政府に与えることは、民主主義を弱体化させます。緊急事態にあたっての対応は、国会の議決によるべきです。

3.公明党「その他」

現行憲法にも、営業の自由や移動の自由、財産権の内容などに、公共の福祉による制約があることが規定されています。国家の緊急時といってもさまざまな事態があり、それぞれの危機管理法制の中で私権に対する一定の制約とその手続、必要な補償規定等を具体的に整備していくしかないと考えます。また、不測の事態にも対応できるよう、政令委任ができる範囲をあらかじめ法律の中に規定すべきです。

4.日本維新の会「必要」

他国による武力攻撃、内乱・テロ、大規模自然災害、および感染症の蔓延などの緊急事態に対応するための緊急事態条項を憲法に創設します。その際、濫用を抑止する 観点から、緊急事態条項の発動には憲法裁判所の承認が必要であることを明記します。

5.国民民主党「必要」

コロナ禍で顕在化した憲法上の課題を解決する観点から、緊急時における行政府の権限を統制するための緊急事態条項を創設し、いかなる場合であっても、立法府の機能を維持できるようにします。とりわけ、国会議員の任期満了時に、①外国からの武力攻撃、②内乱・テロ、③大規模災害、④感染症の大規模まん延の緊急事態が発生し、選挙ができなくなった場合に、議員任期の特例延長を認める規定を創設します。

6.日本共産党「不要」

自民党改憲案は、「国会による法律の制定を待ついとまがない」場合は、内閣は政令を制定できるという内容です。内閣の権限を強化し、国民の権利を制限し、民主主義の機能を停止させる恐れが強いものです。戦前の日本、ドイツでは、こうした権限の適用が拡大され、独裁に道を開きました。日本国憲法で「緊急事態条項」を設けなかったのは、痛苦の経験を踏まえたものです。コロナ対策などは、法律の対応で十分可能です。

7.れいわ新選組「回答無し」

期日までに、本アンケートへの回答がありませんでした。

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