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『「理科の授業を形づくるもの(鳴川哲也、東洋館出版社)」を読んで』

11月、校内研究として授業を公開する。研究教科は「理科」。研究テーマは「対話」である。
私は、これまで理科の授業を真面目に考えてしてきていない。
ハテナを見つけて、その解決に向けてワイワイと実験したり、話したりする事は楽しいな。といった具合である。

一昨年には、10年目の代表者授業として理科の授業を公開する事になった。
単元は「6年:水溶液の性質」だった。
その時は困った。2→6→6と担任していた私は、理科の授業を見てはいても、3年近くしていなかったからである。
この時がまさに、「ハテナを見つけて、その解決に向けてワイワイと実験したり、話したりする」ような事しかできなかった。自治体の進めている指導案の書き方に関する研修動画を見たり、理科授業のノウハウ本のようなものを数冊読んだりした。
大きな失敗や後悔があったわけではないが、理科の授業としては満足のいくものではな
今回は、3つのねらいがある。
 ①理科の教科の特性を学ぶ
 ②対話のあり方について提案する
 ③「子どもが”問う”」事を再考する
そのために数冊の本を読んだ。
本稿で取り上げた一冊は、「①理科の教科の特性を学ぶ」である。
ちなみに、本校の研究は教科研究ではない。ではなぜ、教科の特性を学びたいと思ったか?
それは、クラスの子ども達の好きな教科の一つが理科だからである。
そして、子ども達は私と同様に、「ただ楽しい」という理由で好きなのである。
それを変えたい。「学ぶ事って楽しい」と思えるようにできれば、私の専門である算数の授業にも生きるし、当然、学級経営の側面としても有効である。
日々の忙しさの中で、何かを取り上げて追究する事は、大変な事である。今回は、子ども達のために、その大変に挑もうというわけである。
「大変な時は、大きく変わる時」なのである。

本書の筆者は、文部科学省調査官の鳴川先生である。
しかし、その語り口は非常に穏やかで、謙虚である。
読んでいると、純粋に自然が好きなのだと伝わってくる。
「好きこそものの上手なれ」である。
本書では、その”好き”のお裾分けをもらいながら、教科の特性について学ぶ事ができる。
大切な事はたくさん学べた。最も大切を自分の研究の視点から3つに絞った。
 ◎見方・考え方
 ◎科学的
 ◎対話

理科の「見方・考え方」を、理科のメガネと置き換える。
そのメガネをかけると、これまで見てきた同じ風景が違って見える。それが理科の見方考え方を得たという事である。私の解釈を付け加えると、そのメガネをかけて、もう一度事物を見直した時に、何か発見や疑問が生じる事が、理科的に”深い”という事だと思った。
つまり、本書で述べるように、事物に対してゆがみを感じ、ズレが生じる。つまり、誤概念に気づき、新たな概念形成に向けて方法を考え、実践する。そして、考察する事で新しい概念がつくられる。それを知識と呼んでいる。私は、これまで、”知識”で終えていたのだと気づいた。今回の実践では、この”深い”にまで及びたいと思っている。ちなみに、この”深い”の事を”新しい価値”だと、指導要領は述べている(らしい)。
『科学的な解決』とは、『解決したい問題を「実証性」「再現性」「客観性」などに着目しながら解決していく事である。これが小学校理科授業の本質なのではないかと思う。これができていない授業。ここにこだわ過ぎて授業者が介入し過ぎる授業が多いのではないかと思う。真面目な理科授業として、ここにこだわりたいと考えている。

理科での『対話』は、『科学的な問題解決』に依拠する。つまり、『科学的』に解決するためには、対話が必要なのである。理科の授業では、科学的に解決しようというマインドセットを行っている事で、対話に必然性が付与しているのである。
例えば、
どんな実験をすれば良いか話し合い、実験を行う。自分のグループの結果が予想通りだったとする。しかし、自分のグループの結果一つでは、「実証性」「再現性」「客観性」が証明できない。何ケースも必要なのである。
そうであれば、実験についてしっかりと話し合う必要がある。グループによって色んな実験をすれば、証明できなくなってしまう。結果についてしっかりと話し合う必要がある。クラス中の結果を用いて考察せねば意味がないのである。また、再現性を立証しようと思えば、時間何に何回も実験しようとする意欲にもつながる。
このように、理科の本質に近づけば、自ずと『対話』が生じてくる事がわかった。

以上から、私が今回考えている事は2つである。
①「上質な問い」が生じるための手立て
②「科学的な解決」の理解を図る

これらを進めていく事で、子どもの自ら「問う」姿が見られるのではないかと思っている。そして、その「問う力」を算数に限らず、他教科に汎用させていきたいと思っている。


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