夢の中の涙
夢の中で泣いていた。
それは私ではなく、かといってほかの誰かでもない。
夢の中の物語の登場人物として、私は泣いていた。
なぜ泣いていたのかは、起きた直後から、凄まじい速さで解像度を失い、これを書く頃にはほとんど分からなくなった。
それでも私が、いや私と一体化した誰かは、別の誰かを守るために泣いていた。
そして、その別の誰かの価値観は、きっと私が大事にしたいものだったんだろう。
私は昔から、自分の奥深くに閉じ込めてしまっている本音に触れると涙が出てくるところがある。
そこに触れるのは容易ではなく、普通に生活していると、あらゆるガードがかかっていて、触れることができない。
だけどたまに、感情が著しく昂ったときや夢の中の出来事がきっかけで、それに触れられることがある。
今日の夢はきっとそれに触れるものだった。
たぶんここ数日、ストレスが強くかかる出来事が続いていたからだろう。今も不安がある。今日はそれを少しだけ解消できたので、その分ガードが緩んだのかもしれない。
本音を守るガードは人によって厚みが違うのだと思う。あまりガードが無い人もいて、言いたいことを言える人もいる。私のようにガードが何重にも重なっていて、もはやそれが普通になっていて、本音が何なのかすら分からなくなっている人もいるだろう。
そういう人でも、たまにそのガードが緩むことがある。
そのチャンスは逃さないほうがいいかもしれない。
自分を知る、大きなチャンスだから。
いい子をして、閉じ込めてしまっている本音100%の自分がそこにいるから。
泣くことは決して悪いことじゃない。
その涙の一滴一滴は、あなた自身だ。紛うことなきあなた自身なのだ。
これを今書かなきゃ、ガードが戻った私は本音をまた忘れてしまうからと思って、急いで書きました。
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