見出し画像

「時間がない」はあり得ない

突然ですが、「合格しやすい子と合格しにくい子の違い」を知っていますか?
ドラゴン桜11巻で紹介された話ですが、桜木が「受験に合格するタイプと落ちるタイプははっきり分かれている」と語ったのです。

この話、マジで本当にその通りだなって最近よく思うのです。

例えば、僕は偏差値が低いところから勉強して東大を目指す生徒を何人も持っています。その中には、部活で忙しい子・バイトしなければならない子・身体的な理由で長時間勉強ができない子、様々な子がいます。
でも面白いことに、「勉強可能時間」と「成績」って、面白いくらいに比例しないんです。
例えば、高校3年生で、部活も何もやっていない子がいます。帰ってくるのは16時で、休日も何もありません。
でも、その子よりも、部活で家に帰るのが20時の子の方が勉強時間が長いし成績も上がっているんです。
両者に、要領の良さとか地頭とかIQとか、そういう違いはありません。でも、事実として、勉強できる時間が少ない子の方が勉強しているんですよね。
そして、家に帰るのが20時の子とお話ししていて驚いたのが、話の最後に「お時間取らせてしまってごめんなさい!」と言ってくることでした。たった10分質問に対応しただけでも、「貴重なお時間ありがとうございます」と言ってくるんです。

忙しい人の1時間

忙しい人の1時間と、忙しくない人の1時間というのは全然違います。
忙しい人の1時間は、時間がない中での1時間だから「これをやる!」と決めたらそのためだけに時間を使えて、絶対に無駄にしない。目的がしっかりしているから勉強する場合にも身が入る。
逆に、忙しくない人の1時間は、時間の大切さがわかっていないからダラけてしまう。ダラダラして、目的もないまま勉強してしまう。
よく、夏休みに予備校の自習室に朝から晩までずっといて、勉強時間を友達に自慢する「自習室の主」みたいな子がいます。昔は僕もそういう人間の一人でした。でもそういう子って、「時間を稼ぐこと」にばかり頭が及んでいて、時間の大切さがわかっていない。「勉強時間がたくさんあるから成績が上がるだろう」という短絡的な思考の中にいるので、絶対に成績が上がらないのです。

【漫画「エンゼルバンク」より抜粋】

与えられることに慣れてしまっている

僕はよく、忙しくない子のことを思います。どうしてこの子は、忙しいはずの子よりも勉強できないんだろう?と。
彼ら彼女らにとっての全力と、忙しい人の全力とは質が全然違います。彼ら彼女らは、「全力で勉強してる?」と聞くと「はい」と答えます。でも、「じゃあ、最近勉強時間が落ちてるのはなぜ?」と聞くと、「なんか最近体調が悪くて」「〇〇で忙しくて」と言って、勉強できない言い訳をします。
多分、与えられることに慣れ過ぎてしまったんだろうなと思うんです。何も自分でつかもうとしてこなかったんだろうなと思うんです。だから、自分の全力を知らず、自分の本気も知らない。自分の選択じゃないから言い訳ができてしまうし、「忙しくて時間がない」に逃げられる。1時間の価値を、目的との距離を、知らないのだと思うのです。
なんでそう思うかというと、自分がかつて同じような人間だったからです。他人から言われたことをやって、自分で目的を持って何かに熱中して全力を尽くすことをしてこなかった。自分の世界なんて持ってなくて、本気になれる何かもなくて、そうやって戦って負けることに慣れてしまっていた。与えられることに慣れすぎてしまっていた。だから僕は偏差値35だったんです。


これから、夏が来ます

夏は受験の天王山だと昔から言いますね。それは勉強のために確保できる時間がたくさんあるからです。
でも、時間がある分、目的を失って、「勉強時間を稼ぐこと」に逃げたり、自分の本気から逃げたりしがちです。そうやって脱落する受験生のなんと多いことか。

今年の夏は、一人でも多くの受験生が、自分の「本気」と向き合うことを願うばかりです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?