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ガレージの精神

僕は IT業界でキャリアをスタートしましたので、就職活動のときは IT企業を回っていました。

インターネットの普及が2000年だとして、僕の新卒が2002年。
IT企業と言っても今のようにGAFA (= Google, Amazon, Facebook, Apple) がまだ台頭する前で、いわゆるハード・ソフトのメーカー系が主流だったように思います。

IBM, 富士通, NEC, hp, Microsoft, Oracle, SAP...
といった面々です。

企業研究をしているうちに気づいたことなんですが、外資系IT企業には、"Garage Spirit" (ガレージの精神) と呼ばれるものがありまして・・・ガレージってつまり庭先にある倉庫のことです。

「すべてはガレージでのものづくりからはじまった」。

大企業になっても、小さなスタートアップのように「ものづくり」への愛着を忘れないことを標榜しているようです。

HPが始まったとされるガレージ

これを当時、学生向けの就職活動中の学生向け採用ページにバン! と出していたのが hp (ヒューレット・パッカード)。
そして、Microsoft や今日のGAFAも、ほとんどが実は「ガレージからはじまった」とされています。

hpやMicrosoftやGAFAのように世界的な巨大テック企業がこのガレージの精神を掲げるところの意味としては、

「俺たちのルーツは小さなガレージからはじまったんだ」
「でっかい会社になっちまったけど、今でもその思想の根幹はものづくりなんだぜ」
「俺たちの気持ちは、小さなガレージでやってたあの頃と何も変わらないんだ」

みたいなことが言いたいんだろう、ということで、日本の伝説的カリスマバンド「BOOWY」が残した超名言、「ライブハウス武道館へようこそ」みたいなロックなかっこよさを感じるんですよね。
(今ここわかる人、少数)


就職活動中当時の僕は、大企業に憧れを持ちながらもこの「ガレージの精神」にすごく共感するところがありまして。

自分の場合だとまず、高校時代のバンドがそれです。
楽器持って友達の家のガレージに籠って、ダラダラと練習したりセッションしたりしなかったり。

何か新しい、すごくいい感じの何かが生まれる日もあれば、
何1つ進まずにただただくっちゃべってふざけ曲で終わる日もある。

そして大学時代は、ボーイスカウトをやっていたんですが。
キャンパス内の外れにある茂みの中、馬場近くに掘っ建て小屋のような「隊舎」があって、そこが僕らの秘密基地。

日がな一日、あーでもないこーでもないと、キャンプの企画や試作をしたり、年間のプログラムを練っている。
雨の日も桜の季節も学祭中も、たまにはそこで寝泊まりもしながら、ひたすら子どもたちのためのプログラム (企画) を作っていました。

大学の敷地内にあった隊舎

こうした時間というのは、特に生産性が高いわけでは決してなくて、むしろ煮詰まってダラダラとした非生産的な時間が長いわけですが・・・
終わりを決めずにただ仲間同士でそうやって何もないところから何かを創っていくということ自体が途方もなく面白くて、それがもうとてもスペシャルな時間なんです。

そして、何かが生まれた瞬間というのがたまらなく快感で、そこからものすごいエネルギーが生まれてくる。

たとえば学園祭前夜などで、興奮しながら時間を忘れて仲間と準備に明け暮れた思い出はないですか?
僕は、何かに没頭してそこから何かを生み出すということに関して、学園祭の頃と仕事とでは本質的に何も変わらないと思っています。

もちろんF&Pだって、小さなマンションの1室から始まっていますし、0号店は「海の家」から始まりました。


この7月、プチ合宿をする機会があったので、ふとこんなことを思い出しました。あえて非効率な時間の使い方をすることで、1Hのオンライン会議では絶対に見えてこないものがそこに現れてくるんですよね。

大した目的も、終わりの時間も決めずに、チームが真っさらな気持ちで籠ってみると、そこに答えが見つかったりするものです。

それがガレージの精神と呼べるものかはわかりませんが、
もし、新しいものをとことん追求して何かを創り出すことに興味のある人は、、、ぜひたまには時間を忘れて一緒に籠りましょ。

(この記事は、2022年7月に社内向けに発信された内容をもとに編集を加えています)


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