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Otter活用術:国際会議を乗り切る

国際会議に出たとき、外国語を完璧に聞き取るのは大変です。

筆者は、以前は外務省所管のシンクタンクに勤務していました。そのシンクタンクから派遣され参加した国際会議にでるたび、内容の要約を作成する必要がありました。そのためには、セッションを全て聞いてメモを取らねばならなかったのですが、これは本当に大変でした。

たとえば、時差ボケでセッションに集中できない。セッション中に別の業務が急に入って、そもそもセッションに参加できない。マイクが壊れて発言が聞こえない……といったトラブルに見舞われました。さらに、日本に帰ってから録音データを聞き直して確認しつつ、会議の要約を作成するというのは(正直なところ)かなり面倒でした。

Otterってなに?

いまはOtter Voice Meeting Notesがあるので、テープ起こし作業は以前ほど大変ではありません。Otterは録音した音声を自動的にテキスト化してくれるアプリです。このアプリ、一か月600時間まで無料で、それ以上は有料となります。これをスマホに導入すれば、スマホをボイスレコーダー兼テキスト作成機として使用できるわけです。

以下の画面をみてわかるように、音声やテキストをエクスポートすることなども可能です。

Otter、今のところ英語対応バージョンしか作られていないのが残念ですが、これを使えば、少なくとも英語で作業する際には、上記のような苦労を軽減することが可能です。

OtterでJimmy Kimmel Live!を録音して実際に実験してみましょう。冒頭から40秒程度をOtterを使って録音したものです。上が番組そのもの、下に示してあるのが、Otterのテキストデータ画像です。 

完璧にはいきません。まず、文章の切れ目が自動的に区切られません。また、固有名詞の多くが抜けます(赤字の部分が、Otterで聴き取れなかった部分です)。観客の歓声と重なった会話部分などは、音声が重複するせいか、聴き取れないことが多いようです。でも、概ねきちんと録音・テキスト化されていることが確認できます。抜けている箇所があったとしても、大まかにでも自動的に聞き取ってテキスト化してくれれば、あとの作業はテキスト化された文章の人力補正で済むので、かなり楽ですよね。

いろいろな応用の可能性

筆者は国際学会の場でもOtterを使っています。国際学会では、研究者は世界中からやってくる同業者相手に、自らの研究成果を英語で報告し、コメンテーターの先生から英語でコメントをもらいます。聴衆からもQ&Aを受け取ります。それらのフィードバックを論文に反映させていくわけです。

Otterで学会の質問やコメントを録音しておくと、やはり便利に感じます。学会では、相手の質問やコメントを聞き漏らしてしまったり、その場では相手の意図するところが理解できなかったりすることもあります。学会後、帰路の機中でOtterで質問を聞き直し(見直し?)ていると、それらが理解できるようになったり、当初気が付かなかった論点が頭に浮かんできたりします。また、Otterを後日確認することで、コメンテーターにメールでフォローや追加質問をすることも容易です。

Otterは国際会議・国際学会、英語でのインタビューなど以外にも、いろいろな使い道を想定できます。

たとえば、研究に使うなら、テープ起こしが存在しない古い英語のオーラル・ヒストリーや政治家の演説のテキスト化などに使えそうです。あるいは日々の学習で活用するなら、日本語字幕がないニュースなどを録音して、テキストを見ながら聞き取りの練習をするとか。趣味なら、好きなアーチストの歌詞を聞き取るのとかにも使えそうです。以下のようなWord Cloudも自動で作れます。

これ以外にも、きっといろいろな使い方ができるはずです。ぜひ、自分なりのやり方で活用法を広げてみてください。

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