見出し画像

触覚の立て方

大学院のゼミ生が京都に来るということで、2日間一緒に京都を回った。

今まで授業もリモートで会う機会がなかった為、今回が初めてリアルで会うことになる。とはいえ、オンラインでディスカッションなどをやってきた事もあり、「初めまして」感はほとんどない。

初日は大学を案内した。窓口やざっくりと構内を案内した後、少し裏手の山を案内する。
そこには農園があり、たまたま管理の人がいたこともあって育てている野菜について一通り紹介してもらった。その後、赤じそ茶まで頂き野菜作りや米作り、様々な話を聞けた。

私もこの大学に4年いたが、農園の存在は知っていたものの、手前を通りすぎるぐらいだった。しかし、一緒にいたゼミ生の彼女は管理の人が出てきた時に「見ていいですか~?」と言ってどんどん話を聞いていく。どんどん写真も撮る。匂いも嗅ぐ。彼女のアグレッシブさに感動していた。

夜ご飯を食べる時に、少し気になったイタリアンのお店に入った。入った扉のすぐ右にあったカウンターを案内された。立ち飲みっぽい感じで私の背後にはトイレの扉があった。その様子を見た彼女は「別のところ行こう」と言い、最終的にはゆったりとした別のお店でご飯を食べた。私は流されるままに受け入れる事が多いので、その時彼女の気遣いに感動した。

2日目は西陣のお寺を訪れる。そのお寺の雰囲気、本堂、仏像が好きで私がよく行くお寺だった。ゆっくりお寺を見て回った後に、彼女はお母さんにお土産としてお茶を買いたいらしく、すぐそこのお茶やさんに入った。
お茶やさんで接客してくれたおばあちゃんは、この地域の話やお寺の話を沢山してくれて、お茶まで頂いた。

今まで何度も行った事がある場所でも、その近くのお茶やさんに入っておばあちゃんの話を聞きながら茶葉を買うことなんてなかった。農園と同じで、そこでしか体験できない事が沢山あった。きっと彼女は何か持ってるに違いない。そう確信して、京都駅に向かうバスではいつもどうやって旅をしてるのかアレコレ聞いた。

私は旅をする時はビビりな為、ネットで沢山調べて行く先やお店を決める事が多い。しかし、彼女はあまりそういう事はせず、その場でお店の様子や雰囲気を見て決めるそうだ。なるほど、これは触覚だなと感じた。それと同時に以前大学院の先輩が言っていたネットの情報によって分かった気になる、という事はこういう事なのだろうとも感じた。

感覚が大事である事をオンラインでディスカッションしていた時から彼女を通じて考えさせられたが、リアルで会うとより強く感じる。

京都駅で彼女が新幹線に乗る前に、お土産に阿闍梨餅をおすすめした。彼女はお父さんに五個入りを買うね~と言って、レジに並ぶ。私は少し離れた所で待っていた。すると、阿闍梨餅を買った彼女が私に購入した阿闍梨餅を2つくれた。
その時の彼女は眩しすぎるほど光輝いていた。

2日間京都を回り、次の日からは城崎に行く予定だった。今週は特にメダカをじっくり見ることが出来ていない。朝一に様子を見て、餌をあげて、それだけだった。

朝早い電車に乗る為、朝の6時ごろにメダカの様子を見る。「明後日の朝までいないけど、元気にしてるんだよ~」と声をかける。
新芽のアナカリスは新しい容器に移った。

こういう日は朝日が眩しい。

100円からサポートを受け付けております。こちらの記事が気に入った方は、サポートして頂けると幸いです。よろしくお願いします!