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9 ストックホルムの滞在をもっと長くすればよかった

2019/7/9 ストックホルム

ストックホルムに着いて3日目。定刻の朝8時半に目覚めた。朝食の準備をしていると、カローラが「食後にダイニングでコーヒーを一緒にどう?」と誘ってくれた。

「スウェーデンではコーヒーを飲みながらお話をして、お互いのことをわかり合うのよ」

OKの返事をして、食事が終わってからカローラがいる2階へ声を掛けた。降りてきたカローラとダイニングテーブルに向かい合わせで座り、1時間くらい話をした。

自宅で自営業をしているカローラは、ガーデン・プロデュースを仕事にしている。設計から素材選び、草木の刈り込みもやる。「良い仕事だね」と話すと「春と夏はね」と返事をした。

「スウェーデンの長い冬は、草木の元気がなくなってガーデンの仕事もほとんどなくなるのよ。だから冬の間は、スペイン南部のアパートメントで過ごすの」

それはそれで、すごく素敵な生活だ。スペインのアパートメントは、スウェーデンにいる春夏の間はエアビーアンドビーで旅行者に貸しているそう。快活で賢い。カローラは魅力的な女性だ。

話している途中でカローラのスマホの発信音が鳴った。
「ごめんね、この電話は出なきゃいけないの。またあとでお話をしましょう」

コーヒーのお礼を言って自分の部屋へ戻ると、カローラから「よかったら今日の夕食を一緒に食べましょう」とメッセが入った。「喜んで」と返事をした。

明日はコペンハーゲンへ移動するため、スウェーデンの滞在は今日が実質最終日。だけど天気はあいにく曇り空だった。しかも気温が14度とかなり低い。夏でこれほど涼しいのは珍しいらしい。

ともかくいつものようにカメラを持って出かけることにする。目的地は、ストックホルム市立図書館。

最寄り駅で降りて、写真を撮りながらゆっくり歩いていく。かなり気温は低いが、雨が降らないだけましだ。ポケットに手を入れて寒さをしのぎながら、色の組み合わせや構図の良さそうなところでシャッターを切った。

図書館の作りはかなり古いようだった。入り口の説明書きを読むと、建立は1928年3月とある。建て替えをしてきているだろうが、がっしりしている風情は数百年後に来たとしても同じ場所で悠然と建っていそうである。

階段を上って中央の円形フロアに入る。3階建ての書架に隙間なく本が詰められていて、中心に立つと壁沿い360度並んだ本から囲まれることになった。本好きにとって何とも言えない美しい光景だ。

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