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【書評①】『愛×数学×短歌』

私は本を読むのが好きで、休日には本屋か図書館には必ず寄って本を読んでいる。最近は社会・経済などの評論系の本を読むことが多かったので、久しぶりに小説を読もうと図書館に行った。いつものように小説コーナーへ行くと、ある本の表紙のビジュアルとタイトルに目が止まった。

それは、
『愛×数学×短歌』

概要

この本は2016年に、作者がTwitterで「愛と数学の短歌コンテスト」を実施して、そこで集まった200種以上の「数学短歌」を中心に掲載されている。さらに、数学にあまり触れていなかった読者のために、ページの下部に数学の解説を付記している。

ポイント① 数学が恋愛感情をうまく表現している

恋愛感情を直接的な言葉で表現するのはなかなか難しいもの。精々『胸がドキドキする』『(好きな人にしか)目がいかない』といった身体的な現象からでしか表現できない。ほとんどは何かに例えて表現している。今回は数学の公式や定理を使って恋愛感情を表現しているが、どの作品(短歌)もうまく表現されていた。例えば、

足すだけが計算じゃないあの子にも
たまには割って掛け引きもして

横山明日希

この短歌は、「恋愛はただアプローチ(足す)だけすればいいわけじゃない。時にはアプローチのみという手段を切って(割って)、一歩引いてまたアプローチする(掛け引き)こともあるよ」という、複雑な恋愛テクニックをうまく表現している!やはり恋愛は、公式で決められたことだけすればいいわけではないということが分かる。

ポイント② ためになるのは恋愛だけではない

本にはたくさんの恋愛感情が短歌で表現されているが、この本は読者の恋愛感情を思い出させたり、想起させたりするだけではない。この本で、数学の知識を学ぶ時こともできるのだ。例えば、

短歌)
「君が僕を好きではないと仮定する。」
恐る恐る矛盾を探す

たじたじ

数学知識)
証明したいこととは逆の条件が成り立つことを仮定して、その過程の矛盾を見つけることで、論理が成り立つことを証明する方法を「背理法」という。


上記から短歌では)※ここからは筆者の解説です
「君(彼女)は僕のことが好きなのか?」ということを「背理法」で確かめたい。その時、証明したいことの逆である「君(彼女)は僕のことが好きではない」と仮定する。僕のことが好きではないということに対する矛盾が見つかれば、証明したいことは正しいこととなるのだが、逆のことが当てはまってしまうと証明が成立しなくなってしまう。それが怖く、すぐに矛盾を探すことをためらってしまうという「僕」の気持ちを表現している。

上記のように、短歌の文字と数学知識を組み合わせれば、複雑な恋愛感情も理解しやすくなる。数学の知識が疎いなと感じている人も、恋愛を中心に本から感じ取り、ついでに数学の知識も自分の中に取り入れようと思えば、正面から数学を勉強するよりも頭に残りやすい(かも)。

まとめ

以上、この本のおすすめなポイント・読み方について紹介してきた。恋愛・数学・短歌という3つのジャンルを、1つの本から感じ取り・学べるという優れた本であるので、書店や図書館であればぜひ手に取ってほしい!

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