見出し画像

リーガ・エスパニョーラ 2018-19シーズン 第7節 ビジャレアル対レアル・バリャドリード レビュー「ビジャレアルが仕掛ける攻撃の狙いとは」

リーガ・エスパニョーラ 2018-19シーズン第7節、ビジャレアル対レアル・バリャドリードは、0-1でレアル・バリャドリードが勝ちました。

試合のハイライト映像

前節のレビューで、僕は「戦いやすい相手に勝てただけでまだ楽観的にはなれない」と書きました。

前節の3得点は「相手がミスしてくれただけ」

前節のアスレチック・ビルバオ戦は、3-0で勝ちました。6試合で2得点しか奪えなかったチームが3得点したのですから、「もう攻撃は大丈夫」と考えがちですが、僕の考えは違いました。

前節のアスレチック・ビルバオは、ボールを保持し、パスをつなぎながら、攻撃を仕掛けてくるチームでした。ただ、ボールは保持しているけれど、相手の守備を攻略するためのアクションを起こす選手がいないので、ビジャレアルはペナルティエリアの横幅を保ちながら、4-4-2のチームオーガニゼーションで守り、やるべきことをきちんと実行し、相手がミスして得たチャンスを、確実に得点につなげ、3得点を奪うことができました。

ただ、アスレチック・ビルバオ戦を振り返ると、3得点を奪ったものの、相手のミスを着実に得点しただけで、「自分たちが仕掛けて相手を攻略して得点を奪ったわけではない」ということです。

アスレチック・ビルバオ戦はアウェーゲームでしたので、アスレチック・ビルバオが攻撃を仕掛け、ビジャレアルが守る。ビジャレアルが得意とする試合展開になりました。しかし、今回レビューするレアル・バリャドリード戦はホームゲーム。相手チームは守備重視で戦うことが予想されます。ビジャレアルにとっては、前節より戦いにくくなることが予想されました。

ビジャレアルの攻撃時の意図

試合は予想通りの展開になりました。レアル・バリャドリードは「4-4-2」のチームオーガニゼーションで守ります。積極的にFWがボールを奪うようなプレーはしませんが、DFの4人、MFの4人がペナルティエリアの横幅を保ちながら、ビジャレアルの選手にボールを受けるスペースを与えません。

ビジャレアルは守備時は「4-4-2」というチームオーガニゼーションを採用しているのですが、攻撃時は以下のようなチームオーガニゼーションに変化します。

中央のDFはペナルティエリアの横幅に開き、中央のDFの間に2人のMFが立ちます。注目して欲しいのは、FWの位置とFWの近くに位置するMFの位置です。守備時は左右のMFを務める選手が、攻撃時は中央に入ってくるのが、ビジャレアルの特徴です。

このチームオーガニゼーションは、DFと中央のMFとのパス交換から、円滑にサイドと中央を攻撃したいという意図から採用しているのだと思います。中央のMFと中央のDFに左利きの選手を採用していることからも、監督の意図が読み取れます。

このチームオーガニゼーションを保てていれば、中央のDFからは直接FWにパスを出すことができますし、中央のDFにはMFとサイドのDFと、近くに2つのパスコースがあります。サイドのDFはドリブルでタッチライン際を駆け上がってクロスを上げるのが役割ではなく、あくまでDFとMFとのパス交換を円滑にするのが役割なのです。

そして、サイドのMFが中央に入ることで、相手チームが「4-4-2」で守っているならば、相手チームのMFの背後でボールを受けてもらい、中央からボールを運ぼうという意図があるのです。FWはペナルティエリアの幅まで移動した後、ゴール前までボールが運ばれてからは、得点を奪うために、ゴールに対して斜めに動いて、ペナルティエリアに侵入してきます。

この攻撃で得点を奪うには、中央のDF、中央のMF、そして、サイドから中央に侵入するMFとの連携が不可欠です。そして、素早くパス交換しないとチームオーガニゼーションは維持できないので、ボールを正確にコントロールし、速いスピードでパスすることが求められます。

ビジャレアルの課題

今のビジャレアルの課題は、選手が「正確にボールを止められていない」ことです。ボールを止める時に、ボールがバウンドしていたりして、次のアクションに移るのが遅いため、せっかく適切な位置取りをしても、次のアクションに移るのが遅いため、空いたスペースや選手を活用できないのです。そして、シュートチャンスを得点に結び付けられていないのも、ボールが正確に止まっていないため、余裕がないからなのです。

特にフォルナルスは、中央でボールを受ける役割を担っているのですが、できているときと、できていないときがあります。フォルナルスは監督が期待しているMFの選手なのですが、ボールを止めた後の次のアクションが遅く、ターンが遅いので、中央でボールを受けても、ペナルティエリアにボールが運べないのです。

カソルラと同じレベルで他の選手もプレーできたら強いチームになる

実はこの2点の課題が当てはまらない選手がいます。それは、カソルラです。

カソルラだけは、ボールを正確に止め、相手が届かない位置にコントロールできます。ボールをコントロールするスピードと、相手の動きを見て、アクションのテンポをずらし、相手の守備を外し、シュートチャンスを作り出します。カソルラについては、70分前後で交代することが多いのですが、カソルラが交代すると、シュートチャンスが少なくなってしまうのは、カソルラ以上にシュートチャンスを作り出せる選手がいないからなのです。

では、どうすればよいのか。

技術の問題は簡単には解決しないので、シーズンを通して、繰り返しトレーニングすることで改善するしかないと思います。

中央のMFはシーズン序盤に起用していたアルゼンチン人のカセレスが復帰すれば、もう少しパス交換のテンポは上がってくると思います。トレーニングで改善したいのは、パス交換のテンポと、選手がボールを「受ける」動きと、相手を「外す」動きです。試合を見ていると、選手は監督から指示された場所に立つことだけで精一杯で、相手の守備に仕掛けることができていないのです。

相手の守備に仕掛ける動きをいれてからボールを受け、ペナルティエリア内に素早くボールを運んでいく。このトレーニングを繰り返し行い、「まずは相手に仕掛ける」ことを植えつける必要があると思います。戦術も大切ですが、まずは目の前の相手と戦うことです。カソルラのプレーは、今のビジャレアルに必要なことを教えてくれています。他の選手がカソルラと同じレベルでプレーできたら、ビジャレアルはもっと強いチームになるはずです。

ビジャレアルの失点数4は、アトレティコ・マドリーとならんでリーグ最少です。得点が増えれば、必ず上位に上がってくると思います。今は我慢の時期ですが、きちんとやるべきことをやっておかないと、辛いシーズンになってしまいます。踏ん張りどきですが、今後も楽しみにしたいと思います。

※この記事は「投げ銭制」です。気に入って頂けたら、「サポート」ボタンを押していただくか、課金して頂けたら嬉しいです。

この続きをみるには

この続き:0文字
記事を購入する

リーガ・エスパニョーラ 2018-19シーズン 第7節 ビジャレアル対レアル・バリャドリード レビュー「ビジャレアルが仕掛ける攻撃の狙いとは」

西原雄一

200円

この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?気軽にクリエイターを支援できます。

note.user.nickname || note.user.urlname

サポートと激励や感想メッセージありがとうございます! いただいたサポートは移動費や機材補強などにありがたく遣わせていただきます!!

目を揃えよう
1
note有料マガジン「勝ち負けだけじゃないスポーツの楽しみ方」& 公式「スポーツまとめ」管理人 | スポーツアナリティクスジャパン(SAJ)実行委員 | うたのワークショップのお手伝い | 本業はオウンドメディアのプロジェクトマネージャー