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セルジオナバーロとリージョに関する対話から考えた「ジャズのようなサッカー」

昨晩FC今治 アカデミー・メソッド U-15監督の渡辺憲司さんとZoomで3時間近くお話させて頂きました。渡辺さんは実は2015年頃から僕のブログを呼んでくださっている読者の一人。実際にお会いしてお話したのは1度だけですが、僕が今治を訪れた時は一緒にFC今治の試合を観たり(隣に小野剛さんもいました)、SNSを通じて交流が続いております。

渡辺さんは今年1月にビジャレアルに訪問しています。僕が2月に訪問しているので、一足先に訪れていることになります。実は僕が「行きましょうよ」としつこく誘ったら、渡辺さんは行く気になったもののスケジュールが合わず、結果的に渡辺さんが先に行くことに。

「ぶらりビジャレアル」というイベントで、渡辺さんがどう感じたかを聞いてみたかったのですが、配信トラブルのせいで上手く聞けなかったので、このタイミングでお話を聞いてみたかったのです。

あと渡辺さんがホッケー選手の三浦優希さんといろいろお話しているようで、その話も聞いてみたかった。三浦選手は都合がつかなかったのですが、次回は3人でお話したいですね。

僕からいろいろ聞きたいことがあったのですが、渡辺さんは質問上手、聞き上手なんです。久しぶりにお話するので、そのことを忘れていました。結局僕ばかり話すことになってしまいました。

セルジオ・ナバーロの好奇心の源

渡辺さんに質問されたのは、レバンテUDのセルジオ・ナバーロ、そしてヴィッセル神戸の監督を務めていたリージョについての話でした。

セルジオ・ナバーロについては、Barca Innovation Hubが配信したアナリストのトークイベントに登壇していたので、その時の感想も書いています。

セルジオ・ナバーロはnoteにも書きましたが、Barca Innovation Hubの担当者からも「Innovator」と紹介されるなど、セルジオ・ナバーロは「非常識な人」として扱われているのだと思います。

僕はレバンテUDのサッカーを觀たとき「これは他とは全く違う」と感じたので、渡辺さんにも「レバンテUDチェックしてみてください」とおすすめしたりしました。

セルジオ・ナバーロについてはnoteに書いたのですが、僕がセルジオ・ナバーロで最も印象に残っているのは「眼」です。眼がキラキラしているのです。あんなに好奇心旺盛で眼がキラキラしている人を初めて見ました。

セルジオ・ナバーロという人物は、たぶん「人」や「見たこともないもの」に興味があるのだと思います。「人」が生み出す「予測不可能なもの」といってもいいかもしれません。だからセルジオ・ナバーロが変えたビジャレアルのメソッドには「マニュアル」がありません。近年のサッカーは再現性を追求するのがトレンドなので、再現性より予測不可能なものを追求するセルジオ・ナバーロの取り組みは、トレンドとは真逆です。

しかしレバンテUDは2019-20シーズンの中断前の順位が13位。レアル・マドリーやFCバルセロナといったチームに勝利をおさめ、FCバルセロナにいたってはアウェーで勝ち点3を挙げています。結果も残しているのです。

指導者は「これをやってほしい」といったメニューであったり、タスクをどうしても渡してしまいがちです。何もやっていないと言われるのが怖いし、自分が想像できない状況になるのが怖いからです。アウトプットを作ってコントロールしたくなるし、自分自身の感覚を言語で可視化したい。そう感じる人が多いのだと思います。

ただ、セルジオ・ナバーロはそれをしません。本人に聞いたら「自分はマニュアル人間だった」と言っているので、マニュアルが作れないというわけではありません。でもやらない。なぜ、それができるのか。

譜面通りに演奏するサッカーに興味はない

僕の仮説ですが、セルジオ・ナバーロは「システム」ではなく「人間」を信じているのだと思います。完全にコントロールできるものではなく、自分が理解できない「何か」が生まれることを信じている人。そんな話をしました。たぶんセルジオ・ナバーロは「システム」の話をしたら、システムが得意な指導者より知識豊富に喋れると思います。ただ、彼は敢えてそれをしない。それは「譜面通りにサッカーやるようなものだ」と思っているからだと思います。

音楽に例えると、細かくどのタイミングで、どの音を演奏するか。譜面によって完全に調和をコントロールするクラシックのような音楽の良さもあります。ただ曲は決まっているけど、フレーズやテンポは演奏しながら変わるジャズも音楽です。譜面通りに演奏したり、コンピューターでテンポやフレーズをコントロールする音楽が現在のトレンドだとしたら、セルジオ・ナバーロがやりたい音楽は「ジャズ」なのだと思います。ジャンルが違うのです。

僕は「ジャズ」のような音楽が好みです。「ジャズ」をやるには、高い演奏技術と併せて音楽への深い理解が必要です。風間さんが「技術」のことを説くのは、ジャズを演奏するのに技術が必要なだけです。風間さん、セルジオ・ナバーロ、ファン・マヌエル・リージョ、そしてオシムさん。彼らはジャズのようなサッカーを好む監督だったと、僕は考えています。

どうやったら、セルジオ・ナバーロやリージョやオシムさんや風間さんみたいな指導者によるサッカーが見れるのか。僕自身の最近の興味はここにあります。

スポーツの問題をスポーツで解決しない

僕なりの解決策は「視野・視座・視点を切り替えて考えられること」だと思います。サッカーのことを、サッカーだけで考えている人が多い。これは僕が普段仕事しているデジタルエージェンシーでも同じです。仕事の問題は、別のカテゴリの取り組みや知識が解決してくれることがたくさんあります。自分の経っている場所、見ている場所を切り替え、適応する。僕はこうすることで、ストレスを軽減し、多くの仕事の問題を解決してきました。

僕は普通だと思っていたのですが、渡辺さんに言わせると「そんな人は少ない」のだそうです。僕の強みはサッカーも、バスケットボールも、ラグビーも話せるし、陸上の人とも話せることです。そして本業はデジタルエージェンシーのプロジェクトマネージャーです。ビジネスのことも、メディアのことも少しは分かります。

だからこそ、スポーツのことはスポーツ以外の視点を持ち込み、ビジネスのことにはスポーツやカルチャーの視点を持ち込む方法を共感できる人と考えたい。そんなことを考え、noteのサークルを立ち上げました。

渡辺さんにも加入いただいたnoteのサークルですが、フットサル選手の星翔太選手、ワシントン・ウィザーズの新川さんといったメンバーも参加してくれることになりました。ぜひご参加頂けたら嬉しいです。

最後は宣伝みたいになってしまいましたが、久々にサッカーの話ができて楽しかったです。渡辺さん、遅い時間までありがとうございました。


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