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車屋紳太郎はいつまで「マイペース」を貫くつもりなのか

いきなりで申し訳ないけれど、2018年シーズンの谷口彰悟のプレーは素晴らしい。文句の付け所がない。

2017年シーズンにDFとして7得点を挙げ、川崎フロンターレの優勝に貢献したDFに対して、僕は一貫して厳しいことを書いてきたので、急に褒めて気持ち悪いと思う人もいるかもしれませんが、素晴らしい選手を素晴らしいと褒めて何が悪いのだ。

谷口の強みとして多くの人が思い浮かべるのは、JリーグのDFとしてはNo1だと思うボールを扱う技術です。

イニエスタが加入した後のヴィッセル神戸の試合を見て、イニエスタがわずかな動きで相手の守備を外したのに、パスが出せないヴィッセル神戸のDFのプレーを見ながら、「谷口だったらパス出せるのに」と思ったのは、僕だけではないはずです。ボールを相手に奪われず、相手ゴール方向に運び、正確に味方に届ける技術は、Jリーグでは抜きん出ています。

谷口の異常なタフさが川崎フロンターレを支えている

ただ、谷口の本当の強みは、ボールを扱う技術ではない。僕は谷口の本当の強みは、「試合に出続けるタフさ」と「課題を設定し試合でトライできる」ことだと思っています。

2014年に川崎フロンターレに加入し、30試合に出場。2015年以降は当たり前のように、全試合出場。2018年シーズンも、超過密日程で開催されているJリーグでフルタイム出場。プロになって4年半で、すでにリーグ戦149試合に出場って、こんなにタフな選手いません。

試合に出場できないほどの怪我をしないだけでなく、多少の怪我であっても試合に出続けるタフさが、どれだけ川崎フロンターレにとってありがたく、どれだけチームを支えてきたか。そのことにサポーターが本当に気づくのは、谷口が怪我をし、海外に移籍した時だと思います。人は「当たり前」のありがたみに気がつくのは、いなくなったときだからです。

谷口が取り組んでいる「ボールを奪う」プレー

谷口という選手は、試合に出ながら成長してきた選手です。クロスで、ロングパスで、ドリブルで振り切られて失点するたびに、グッと悔しさを噛み殺す谷口の姿を思い出します。何度も失敗を積み重ねながら、谷口は少しずつプレーのレベルを上げていきました。

2018年シーズンが始まってから、谷口のプレーを見ていて、明らかにこれまでと意識して変えていると感じることがありました。それは、「ボールを奪うときのアクションの強度を高める」ことを意識しているな、ということです。谷口はこれまで相手がアクションを起こすのを「待って」からボールを奪うプレーをしていました。

しかし、それではボールを奪う位置が自陣ゴール付近に下がってしまい、再び攻撃を開始する位置が下がってしまいます。できるだけ攻撃を開始する位置を相手ゴール近くにするため、ボールを奪うときのアクションの強度を上げ、一気にボールを奪う。このプレーは、ボールを奪えなかったときにピンチになるというリスクが伴いますが、2018年シーズンの谷口は、ボールを一気に奪うプレーを意識しているのが伝わってきます。

なぜ、ボールを一気に奪うために、アクションの強度を上げたのか。僕が想像するに、谷口の頭の中には「日本代表」があったからだと思います。ハリルホジッチはボールを奪う時のアクションの強度を高めることを、常に要求していました。谷口は日本代表に選ばれるにはどうしたらよいかを考え、自分に足りない部分として、「ボールを奪うときのアクションの強度」だと感じたような気がします。

ただ、第9節の鹿島アントラーズ戦を見ていて、谷口と昌子と植田のプレーを比較すると、谷口のボールを奪うときの強度は、昌子や植田に比べて、まだまだ劣っているとも感じました。ボールを奪うアクションを重視するなら、谷口はワールドカップの日本代表には選ばれないだろうな。僕は谷口に選ばれて欲しいと思いつつ、こう感じていました。

谷口の「ボールを奪うときのアクションの強度を高める」という取り組みは続いています。Jリーグ再開後も、ジェイやファンマといった身体の強いFWに対して、強く身体を当てて、ボールを奪おうとする谷口の姿がありました。相手に振り切られ、ターンされる場面があっても、次のプレーでは反省を活かして奪い返す。そんな谷口のプレーからは、課題を設定して、クリアし続けてきたからこそ、試合に出続けているのだということがよく分かりました。ただ、タフなだけでは試合には出られません。

谷口はもう「自分を変える」ために、髪の毛を茶色に変え、金髪にする必要もないでしょう。フェルナンド・トーレス、金崎といった選手を苦もなく抑えられるようになってJリーグに敵がいなくなったとき、日本代表として活躍する谷口の姿を目にすることができるのかもしれません。

「可もなく、不可もなく」プレーできる不幸

一方で、谷口とは異なり、「可もなく、不可もなく」というプレーしかしていないと感じる選手もいます。それは、車屋です。

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