風化する昨日の私
曇り空の下に私はただ一人たたずむ。
風がどこからか吹いた。懐かしい記憶と共に砂埃が視界を霞ませた。
昨日の私が私を見ている。今の私の目には陳腐で無価値に思えた。
風化していく私が明日の私に遺したものは砂のビル群だけだ。それらを掻き消したくなる手をどうにか抑えて、抑えて、守れるのは私くらいなのだと言い聞かせて、大切にしまう。
それでも私はいつか掻き消してしまうのだ。
今日の私はいつだって満足しているのに、明日の私はきっと今日の私を冷たい目で見ているのだろう。
それでも私は曇り空に太陽を探す。
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