愛おしきナイト・ピープル
真夜中の自動販売機。
そして、その蒼い灯りに照らされた人を愛おしいく思う。
何故ゆえに愛おしいのか?
それは誰も居ない沈黙が隅々まで深々と浸った真夜中に
確固たる意思を持ってそこに立っているからである。
それが、どうしても欲しかった。大人も子供も。
そんな真剣な眼差しでただ一点を見つめ
欲求を満たそうと無言でそこに立つ。
蒼い灯りに照らされ少し上向きに映し出される横顔は
脂の抜けたマネキンのように無表情に映る。
純真無垢。
そんな言葉が似合う。
夜を潜り抜けてきた者達。
そして皆真夜中という名のプールの中へと泳いで帰っていくのだ。
私はそんな真夜中の人々が愛おしい。
文:エンスケドリックス
写真:原田ミカメラ
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