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2019年夏、浜通り取材 解体される町

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次のミッションは、浪江から避難されてる知人の家が間も無く解体になるということで、解体前に自宅を撮影してきてほしいというもの。僕は写真家ではないので、特にいい写真を撮ることはできないが、記録として撮影し、伝えることはできる。

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この眼科はそのまま。パッと見た限り、解体する旨の張り紙はない。6国も近い場所で、国は東京五輪までにサッサと解体を進めたいだろうが、そうは問屋が卸さない。次々と更地は増えて行くが、簡単に“なかったこと”には出来ない。

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住宅地の方は更地が目立つが…固定資産税の減免措置が続いているうちはいい。減免措置が終了した時、更地にした土地が一体いくらで売れるのか。売れるにしても二束三文では誰も納得しないだろう。理不尽なことは溢れている。

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あの土手の向こうは請戸川。

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緑に覆われてゆく民家。

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歩いていると、Facebook経由で飯舘村のSさんよりコンタクトがあった。

車で浜通りを案内してくれるという。これまでにも何度かお誘いをいただいていたが、タイミングがなかなか合わなかった。今回は酷暑にかなり参っていたこともあって、お言葉に甘えることにした。ミッションを2つこなしたあと、浪江駅前で待ち合わせることにする。

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住むことのない更地に税金を払い続ける。売ったところで買い手もなく、借りる人もいない。やむなく帰還を選択する人もいる。国は期限を設け被災者に選択を迫り、あの手この手で追い込んで自分らの意のままに操ろうとする。

被災者同士が手を組んで国と対峙していかなければいけないときに、様々な線引きで分断を図り弱体化させ、結局は国のいいようにされてしまう。足尾の頃から、水俣の頃から、やってることは同じだ。全ての根本は民のためではなく、いかにお上が損をしないか。カネの亡者、エコノミックアニマル日本人の本領発揮というべきだろう。

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寂しい姿だ。

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公園も寂しく佇む。

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キャラクターが可愛ければ可愛いほど悲しく写るもの。

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子供いない公園は本当に寂しい。

福島の子供は元気に公園で遊べます…勘違いした芸人が知ったかぶってそんな話をしていたが、さて、ここで遊べるだろうか。連中にとって、ここは福島ではないのか。何度思い出しても腹が立つ。

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「ヤルキー学院」一瞬笑いそうになったが、ここが浪江で廃墟だと思うと笑えなかった。

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このエリアの空間線量は0.2〜0.6μSv/hほど。場所によっては放射線管理区域だ。子供が遊んでいい場所ではない。専門家でない人間が、専門家ぶって安全宣言など、もはやデマの域だ。「誰も知らねえじゃねえかよ!」とイキった本を出版したどこかの芸人は、この場所の空間線量など知らないだろう。この場所の土壌がどれだけ汚染されてるか、知りもしないだろう。請戸川と高瀬川の位置も知らないだろう。大堀小学校も幼稚園も、浪江小学校も浪江中学も浪江高校も、苅野小学校も幼稚園も、どこにあるかさえ知らないだろう。最近出来たイオン浪江の裏に、廃墟となったアスナロ幼稚園があることも知らないだろう。なみえ創成小中学校が、元は浪江北中学だったことも知らないだろう。

福島のことを何も知らないのは「カンニング竹山」の方だ。

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依頼されていた家に着き、ミッションを済ます。玄関は開いてるので中に入っていいと言われていたが、ちょうど目の前の家で解体工事が始まっており、作業員がいたので入るのはやめた。通報されると困るw

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駅前の待ち合わせ場所に向かいながら、撮影をして行く。

スナック街。初めて訪れた時と変わってない。いずれ解体されるのか。

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駅前の中華料理屋。裏にはフレコンバッグ。

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中が片付けられている…掃除機。

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浪江駅前に建つこの中華料理屋も、ついに解体が始まっていた。入口が全開になっていて中に入ることが可能。しかし割れたガラスなどもあり、やめておいた。

この中華屋もなくなるのか…かつてここで飲食した人たちはどう感じているだろう。浪江から避難している友人たちは、行きつけだったスナックが解体されたと聞いて落胆していた。ここに行きつけだった人たちも、同じような感情を抱くのだろう。震災後にこの場所を知った僕でさえ、解体は悲しい。

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この工場はまだ残っている。

この後、駅に向かい、Sさんと待ち合わせた。

<続く>

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