日本はハードランディングの国かもしれない

ふと家を建ててみようと思い立ったのだが、そのとき住宅ローンのことを調べてみた。すると驚いた。うっすら知ってはいたものの、ここまで金利が低いとは思わなかったのだ。

例えば5000万円を30年で返しても、金利はわずか500万円ほどにしかならない。今5000万円を借りたら、30年かけて500万円余計に払えばいいだけなのだ。これは物価の上昇などを鑑みると借りない方が損である。住宅ローンを借りていない人はそれだけで損している状況なのだ。

それにもかかわらず、多くの人が住宅ローンを借りていない。それはそもそも多くの人がそういう状況にないからだ。だから住宅ローンは借りた人だけが得するようになっている。そうして皮肉な格差が広がっている。条件は平等に与えられているのに、それを取得する環境のあるかいなかで格差が生まれてしまっているのだ。

そのことを考えるとトリクルダウンは確かに存在する。経済の仕組み上それは存在せざるを得ないのだ。例えば今の日本は国土の大幅な書き換えを必要としている。だから建設業にはお金が落ちざるを得ない仕組みになっている。

反面、製造業にはお金が落ちない仕組みになっている。今後は下落の一途を辿るだろう。人はもう物を必要としなくなっている。衣食住など最低限のものさえあれば生活が十分豊かになったからだ。

そのため衣食住メーカーは今後も生き残れるだろうが、それ以外のメーカーが厳しい。それらはほとんどがグローバル社会の中で競争に負け、日本は焦土と化すだろう。

ところで、日本はこれまで偉大なイノベーションを二度成し遂げた国だとドラッカーは評価していた。その「二度」とは明治維新と敗戦後の経済復興だ。しかしこの二つのイノベーションとも夥しい量の血が流れて初めて実現した。ともにイノベーションを為す前に日本が焦土と化した。

そう考えると、日本は焦土と化さないとイノベーションできない国なのだろう。しかし焦土と化したら他のどこの国よりも劇的なイノベーションを果たせる。明治維新が1868年で敗戦が1945年だ。間はだいたい70年くらいだから、敗戦から70年が経過して始まったアベノミクスも日本を三度目の焦土へと導く道のりと理解するといろいろ腑に落ちる。それを経ないと日本社会は変わらないのだ。

おそらくアベノミクスがなければ日本はダメなまま不必要に延命してしまって、状況はもっとひどいものになるだろう。その意味で、ソフトランディングが苦手な国なのだ。ハードランディングの国なのである。

だから、アベノミクスによって日本が焦土と化した方がイノベーションはいち早く実現する。その意味でぼくはアベノミクスを熱烈に支持している。

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