◆リプレイ◆#4 & #5
ニンジャスレイヤーに全員殺されるTRPG、サンシタGOのリプレイです
ネオサイタマ、廃ビルの中、パラライサーはソウカイヤからのエージェントを待っていた。バイオサイバネティクス手術。それが、今回の彼への報酬だった。実験台に過ぎぬが、彼にはそれでも十分に過ぎた。蛇の毒、彼が一度死んだその原因に、その強さに彼は惹かれていた。より強いニンジャになるために。
やおら白い装束のニンジャが、現れてアイサツした。「ドーモ、パラライサー=サン。リフトエンドです」「ドーモ、リフトエンド=サン、パラライサーです」「リー先生に用があるのだろう?バイオ・サイバネティクス手術だったか…。奇特なヤツだ。耐えられぬかもしれぬのだぞ?」
「フン、貴様にはわからんだろうな」
以下沈黙。
GM「え?それ以上ないの?」
PL1「寡黙なニンジャだから!」
GM「(寡黙!?)」
PL1「侮蔑的な笑みを浮かべるよ」
GM「メンポでわからない」
PL1&PL2、笑う
PL1「じゃあ、メンポずらして」
PL2「わざわざ?アワレだわー。いいよアワレ振って」
PL1「で、足元に唾を吐くよ」
「まったく、ニンジャというのはどうしてこう…変態ばかりなのか」リフトエンドはぼやいた。
PL1「(リフトエンドに対し)カワイソウ…」
キセノンはつかの間の休息を楽しんでいた。いつものケモビールも格段に美味かった。大きなビズの後だ。ニィニィは休業していた。福利厚生、明日はバーベキューだ。後で手術を終えたパラライサー=サンも合流する。まったく最高の休暇だった。ビールが足りなくなったので、モリクボに買いに行かせた。
しかし、モリクボの戻りがあまりにも遅かった。そのうちに、IRC通信が来た。緊急IRC通信だった。「タスケテ」メッセージはそれだけだったが、位置情報はしっかりと発信されていた。モリクボからの発信に、キセノンは思案した。
コケシマート店内には十人ばかり強盗がひしめいていた。広い店舗であったが、頭数は十分に足りていた。目出し帽を被り、アサルトライフルを構えた強盗たちが威圧的にレジの金を回収している。強盗たちはみな血走った目をしていた。さながらデスペラードといった有様だった。
それもそのはずだった。彼らは、ニィニィがボスを確保し、壊滅させた組織のメンバーで構成されていた。彼らには後がなかった。明日を生きるすべも分からなかった。彼らは困惑と復讐と、飢えが入り混じった、濁った目をしていた。ブシェミじみたモリクボがその目に捉えられるのも時間の問題だった。
「ビールを買いに来ただけだったんだ!クソ!クソ!」モリクボは心のうちで毒づいた。IRCを使えるようなチャンスは、もう与えられまい。「こうなったのもキセノン=サンの責任だ!ファック!」
ニンジャの力を以ってすれば、コケシマート店内への潜入や、強盗たちの位置情報の把握など容易いことであった。情報は揃った。キセノンの、状況判断の時間だ。
PL2「どうしようかなあ。ブシェミはどこにいるの?」
GM「ブシェミはレジの近くでビールと一緒にいる」
PL1「森久保ブシェミ」
GM「もうブシェミでいいよ」
PL1「ブシェくぼ」
GM「むぅ~り~。び~あ~」
PL1「ヒデエ」
GM「で、キセノンどうする?」
PL2「だいたいアレでしょ?強盗からの攻撃って特に効かないんでしょ?」
GM「効かないというか何か面白い殺し方があったらやっていいよって」
PL2「殺し方かあ…」
PL1「お前は野球ニンジャだろ?それを活かせ」
PL2「俺もそれ考えてたんだよね」
PL2「十人でしょ、(自分を指さして)十一人じゃん?(十一人でやるのはサッカーだが、そこに思い至る人間はこの時この場にいなかった)」
PL1「また野球回か」
GM「野球の時間だ!」
PL2「じゃあ普通に店内まで歩いて行くわ」
(以下サイコニンジャと強盗のスカム悲喜劇)
「何だお前は!?」強盗が叫び、アサルトライフルの銃口がキセノンに向く。「俺はビールを買いに来た客だ」メンポを装着し、装束を着こみ、あからさまにニンジャな男が強盗たちの眼前に表れた。なおかつバットを持ちボールを握り、ミットをつけている。ポジションは何だ。
「お前はここの店員か。何故挨拶をしない?私は客だぞ」「テメエ馬鹿か!こっちは強盗だぞ!ラリってんじゃねーぞオラーッ!」「なんだ強盗か。客にも挨拶できない強盗か。ところでお前、野球」「ダッテッメオラーッ!これがアイサツだオラーッ!」強盗が銃を乱射!BRATATATATA!キセノンは華麗に回避!
「アイエ!?」強盗はより狼狽える。あからさまにニンジャな身体能力なのだ!「お前は野球をやったことはあるか?」「……あるともさ」強盗が答えた。「だが、関係ねえんだよ!」再びアサルトライフルを乱射!キセノンは華麗に回避!「テメエー!何しに来た!」「ビールの回収と、あとは野球だ」
「ビール!?ビールだと!?こっちは金の回収だオラーッ!強盗ナメんなオラーッ!」「そうか強盗は別に構わない。だがな、ビールの回収と野球をさせてくれないか?」「ビールは好きなだけ持ってけオラーッ!とっとと出てけオラーッ!」強盗は正常な判断力を失っている!「あと人を回収しに来たんだ」
「まったく使えない人材で困るよ」キセノンはひとりごちる。「大事な人質渡すかオラーッ!」「何故だね?ビールと同じ扱いで構わないんだが?」
PL1「ブシェミはビールだった…?」
GM「スカム過ぎるヨォ…」
銃声を聞きつけて他の強盗たちが駆けつける。集中火線だ!BRATATATATATATA!!キセノンは華麗に回避!なんたるニンジャ好き勝手か!そしてキセノンはおもむろに人数を数え始めた。「ひい、ふう、みい…うむ、十人か。よし、じゃあお前がピッチャーをやれ」ひとりにボールをよこす!
「俺がバッターをやる。そしてお前らは取る。わかるな、これが?」ボールを拾いもせず、強盗たちは再びアサルトライフルを連射した!もうヤバレカバレなのだ!「そうか、銃弾でやりたいのか!」キセノンが目に喜色を浮かべる。タツジン!銃弾が一斉に跳ね返る!「アバーッ!」強盗たちが倒れる。
強盗たちはもはや壊滅の状態にあった。それからキセノンは思い至った「おっとそうだ、肉も買い足さなきゃな。明日はバーベキューだ」強盗たちはもはや希望を失くしていたが、しかし銃のトリガーを引き続けた!引き続けるしかなかった!BRATATATA!「こっちは人生かかってんだオラーッ!」
キセノンは華麗に回避!意に介さない!モータルの悲しき物語がそこにはあった。が、明日はバーベキューだ。
PL1「アッ!人生…人生とは…」
PL2「やあ、ごめんね、いい手を思いつかなかったんだ」
PL1「ヒドォイ…」
GM「もののついでにキセノンは強盗たちを殺してまわった。肉を買うついでだ」
PL2「アッ、殺しちゃうんだ」
GM「殺さない?」
PL2「アレだわ、野球ボール渡すぐらいで良いと思うんだ。お前野球を好きになれよって」
PL1「アイエ狂人!?アワレ」
GM「アワレ。ニンジャの残虐さと狂気を評価して3d与えます」
PL2「そんでブシェミとビールを回収して、集めた金を強盗に、これが欲しかったんだろ?って渡すわ」
PL1「こいつオカシイよ…」
脚が潰れた強盗にはもはや無意味なものであった。なんたるニンジャ残虐性か!
PL1「脚のない子供にサッカーボールを渡すようなサンタみたいなもんだよそれ」
GM「アワレどうぞ」
強盗は殆ど制圧されたことになった。しかし違和感がある。九人?ハッと気づいたキセノンは振り向いた。しかし遅かった。ウカツであった。アサルトライフルが、至近距離で、今まさに放たれようとしていた。その時である!「カメーッ!」シャウトが響き、パラライサーがエントリーした!両腕にはハブ!
PL1「じゃあトンファーを持ったハブが現れてねえー…」
GM、ニューロンにダメージ
PL1「それで銃弾を全部弾くよ」
トンファーを咥えたハブが、恐るべき速さでトンファーを振り回す!強盗の制圧は完了された。二人の邪悪なニンジャがここに揃った。パラライサーは、ハブの毒、ハブの俊敏性、ハブのしなやかさを備え、より強いニンジャに!
PL1「そしてハブのトンファー!」
PL2「待ってハブになったの!?」
PL1「腕がハブになった。ほら、ニンジャスレイヤーのアニメでもあったじゃん(コッカトリス=サン)」
PL2「あー、なるほどね」(ニュービー感)
PL2「じゃあ、パラライサーにこう言うわ」
GM「待ってまだキセノンの描写してない」
PL2「アッハイ」
キセノンは野球道具をあらかた強盗に渡した形にはなったが、やり遂げたような清々しい顔をしていた。無邪気にパラライサーに笑いかける。
PL1「ウワッー!サイコ野郎だ!」
PL2(キセノン)「みんなこれで野球ができるんだ。楽しそうだろ?」
GM「アワレどうぞ」
PL1(パラライサー)「”ああ、そうだ。ハブいな”って言っておくよ」
モリクボは未だ放置されながら泣いていた。
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