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独学で東京消防庁消防官になるためには?元東京消防庁職員が勉強法などについて解説します。

 住民の生命、身体、財産を守る仕事「消防官」は時代を問わず人気の高い職業です。ただし、採用試験に合格するために高倍率の競争を勝ち抜く必要があるため「消防官になりたい!」という気持ちだけでなれるわけではありません。

 今回は東京消防庁(以下、東消)という組織、東消消防官になるための勉強法を元職員の経験をもとにご説明します。

そもそも東京消防庁とは?

 まず初めに東消とは東京都の消防組織のことを指し、地方公務員に分類されます。「消防庁」というと国の機関を想像しますが、実際に存在する総務省の外局である消防庁とは全く機関が異なります。

 そして、実は東消は自治体の消防局として世界第一位の規模を誇ります。次いでニューヨーク市消防局となります。

東京消防庁の歴史

 東消の歴史は古く、1880年に設立された「内務省警視局消防本部」がその前身です。その後「警視庁消防本部」と改称しますが、敗戦後GHQの「消防と警察の職責はともに重要で、同等の関係であるべき」という考えに基づき、1948年3月7日に東京消防本部が発足、5月1日に東京消防庁と改称しました。戦前は警視庁の中の一つの部署であったわけです。当時の警察は自分たちの監督下にあった部署がいきなり同等の組織に格上げされ、不満だったようです。それが今日まで尾を引き、警察と消防が不仲だといわれる由縁だと言われています。また、警察と消防では組織の目的の違いから衝突することも少なくなく、現場で警察と消防が要救助者を奪いあったり、活動の順番でもめる事もありました…。それは別の機会に書きたいと思います。

東京消防庁消防官になるには

 長々と書いてきましたが、いよいよ、本題に入りたいと思います。東京消防庁消防官になるために必要なことはズバリ、「採用試験に合格すること」以上です!
 年齢の制限こそあれ、高校を卒業した人であれば、願書を書いて、受験し合格すれば誰でも消防官になれます!そして、採用試験で1番重要なことは第一次試験(筆記)の点数です。最近の公務員試験がいくら人物重視と言われていても筆記の点数が低い人は採用されません。(リセット方式は例外)第一次試験で全ての受験者の順位が決まり、採用予定者数分の枠が埋まります。枠外の人は面接試験で面接官に余程、好印象を与えない限り合格するのが難しくなります。しかも、受験者が1000人いて採用予定者が300人の場合、第一次試験の試験結果が1000位だった人が採用されることはまずありません。301位から350位までの人物だけしか逆転の可能性は無いのです。ちなみに、令和2年度の採用試験結果は全区分合わせて13974人、最終合格者は1343人です。

一次試験で8割取った勉強法

 まず初めにやるべきことは東消の試験内容を確認することです。孫子の言葉にもある、敵を知り己を知れば云々ってやつです。その後、各科目のインプット→試験本番の2ヶ月前くらいにアウトプット(模試)という流れになります。
 参考までに令和3年度の一類1回目の教養試験で出題された科目の内訳を見てみます。

◆合計45問
 ・文章理解(現代文)5問
 ・文章理解(英文)3問
 ・判断推理 6問
 ・数的推理 4問
 ・資料解釈 5問
 ・政治 3問
 ・経済 1問
 ・時事 3問
 ・世界史 1問
 ・日本史 1問
 ・地理 1問
 ・国語 2問
 ・数学 4問
 ・物理 2問
 ・化学 2問
 ・生物 2問

 経済、世界史など1問しかでない科目に勉強時間を費やすのは得策とは言えません。(私は一応問題集をサラッと流し読みくらいはしてここから出たらラッキーだなという程度で勉強しました。)そして、太文字になっている科目については東消に受かるために必須の科目になります。

数的・判断推理,文章理解,資料解釈の対策

 採用試験の概要を確認したら、次にする事は数的推理と判断推理の対策です。1つの参考書(問題集)を一ヶ月で終わらせられるようにプランニングし、空いた時間で文章理解、資料解釈の対策をしていきます。これらも数的推理、判断推理と同様、1ヶ月程度で一周できるようにしましょう。この時ははじめから問題を解こうとするのではなく、すぐに解答を確認し解法をマスターしていきます。次の日の朝に前日マスターした解法で問題を自分で解いていきます。そして、きちんと解法がわかるようになるまで何回でも問題を解くという事が重要です!
 文章理解は読む事に慣れるため、通勤や通学の空いた時間で本を読んだり、毎日欠かさず1問はやるようにしましょう。

数学,物理対策

 この2科目も数的・判断推理と勉強方法は大きく変わりません。問題集(参考書)を読了するための大まかな期間を設定したら、そこから逆算して1日に勉強するべき内容や量を決定し、後はこなすだけです。分からない問題はすぐに解答を見る、解法をマスターし、次の日に復習。というサイクルを回していきます。そして、数学も物理も一夜漬けでどうにかなるものではありません。早めの対策をお勧めします。

上記以外の科目の対策

 上記以外の科目はいわゆる暗記科目というやつです。過去問をベースに対策していきます。そして、この時のポイントは過去問に正答を書き足して自分なりの参考書にしていく事です。過去問を解くのではなく解答を書き込み、読み込んでいく。よく見かける5肢択一の問題は、正答以外の4肢の誤っている箇所に正しいものを書き込んでいきます。

まとめ

 今回は東京消防庁消防官になるための勉強方法をざっくりとまとめてみました。試験に合格するために必要な勉強時間や量は人それぞれですが、合格している人の勉強法は概ねこんな感じだと思います。機会があればおすすめの参考書、問題集なども解説できればしたいと思います。






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