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【ガストロノミー】7/29江川亜蘭誕生日 記念Short Story:わがままMy Master

このお話は【ガストロノミー】のある日のサイドストーリー、ヒロイン目線のお話です。
※アプリゲーム内ミニシナリオをアレンジして再掲載です(アプリは現在サービス終了しています)。

<アプリシナリオ>


わがままMy Master


リビングで上機嫌の亜蘭さんから白い箱を手渡された。

あなた「……亜蘭さん、この紙袋は」

江川亜蘭「開けてごらん」

あなた「メイド服……どうして急に?」

江川亜蘭「友人が新しくカフェを始めるにあたり、
流行に敏感な私に従業員の制服を手配を頼んできた。
このメイド服はその試作だ。
ぜひ着てみてくれないか」

あなた「私がですか?」

江川亜蘭「ああ。お前に似合うと思って作らせたのだからね」

あなた「え……?」

江川亜蘭「おや? 他の女を思い浮かべて作らせた方がよかったのか?」

あなた「と、とんでもない」

江川亜蘭「そうだ、これからその店舗へ行く。
そこで実際にこの服を着て、立ってみてほしい」

あなた「えっ、今からですか」

江川亜蘭「私の仕事を手伝うと思って、頼む」

あなた(……そんなふうに言われると断りづらい)
「わかりました。私でお役に立てるのなら」

おずおずと承諾すると、彼はにっこりと微笑み、私の手の甲に口づけた。





件の店舗は英国のティールーム風に誂えられた小さなカフェだった。
改装途中らしく、他には誰もいない。
言いつけ通りメイド服で亜蘭さんの前に立つと、

江川亜蘭「紺地のワンピースに白いフリルのエプロン!
シンプルなメイドの制服だと言うのに、お前が着るとどうして
こんなにそそられるのだろうな。よく似合っている」

あなた「亜蘭さん……あの、このスカート、丈が短すぎでは」

江川亜蘭「そんなことはない。お前の美しい足が引き立って、
より魅力的に見えると思うが?」

あなた「そうでしょうか」

以前着たことのあるロング丈のエプロンよりも数段露出が多い。
亜蘭さんに見つめられていることが恥ずかしく、エプロンをぎゅっと掴む。

江川亜蘭「さて。ではさっそく給仕をしてもらおうか」

あなた「え?」

江川亜蘭「制服の機能性を見なくてはならないから、当然だろう。
この店ではスイーツにあうワイン、いやワインにあうスイーツを提供する。
今回はベイクドチーズケーキにピノ・ノワールをあわせてみた。
そこのワゴンに用意してあるから、持ってきてくれないか」

あなた「かしこまりました、亜蘭さん」

江川亜蘭「違うだろう。メイド服を着ているのだから、今はお前の主人だ」

あなた「かしこまりました、旦那様」

あなた「ふ。イイコだ」

亜蘭さんのひどく魅惑的な微笑に促され、
テーブルに赤ワインを運んだところで、大きな金属音がする。

江川亜蘭「ああ、スプーンを床に落としてしまった」

あなた「カトラリー、すぐお取りかえしますね。お待ちください」

テーブルの下に入ってしまったらしく、
私は跪いてテーブルクロスをめくる。
銀のスプーンを見つけて拾うと、頭上から含み笑いの声がした。

江川亜蘭「お前の言う通りかもしれない」

あなた「え」

江川亜蘭「少し動くとスカートの中身が見える。やはり丈が短すぎるな」

あなた「きゃぁっ」

慌てて立ち上がってスカートを抑える。
彼は意地悪そうに笑って、何事もなかったようにグラスを差し出した。

江川亜蘭「スプーンはもういいから、ワインをくれないか」

あなた「あっ、はい。ただいま」

江川亜蘭「ああ、注ぐのはそれくらいでいい。
これは、お前が飲むんだ」

あなた「え……」

江川亜蘭「それで零さず、私の口に運びなさい」

あなた(それって、つまり……口移し……)

頬が熱くなるのがわかって戸惑っていると、グラスを渡される。

江川亜蘭「メイドの仕事なのだから、出来ないとは言わせない。返事は?」

あなた「……はい……旦那様」

観念して、一口ワインを仰いだ。
目を閉じて、少しずつ液体を亜蘭さんの口内へ落としていく。

あなた「ん……」

江川亜蘭「やはり、この方が美味しく感じるな。
もう一口だ」

亜蘭さんが、愛おしそうに目を細め、柔らかな接吻をしてくれる。

あなた「……ん、う……」

江川亜蘭「よし。次は私の上に座りなさい」

あなた「え? 椅子ではなくて?」

江川亜蘭「ああ。言う通りに」

あなた「でも……」

ふたりの他に誰もいないが、さすがにそんなマナー違反は出来ない。
拒否しようとすると、立ち上がった亜蘭さんにひょいと抱き上げられた。

江川亜蘭「仕方の無いメイドだな。ここに座れと言っている」

あなた「きゃっ……」

江川亜蘭「はい、あーん」

その言葉に反射的に口を開くと、フォークの先にのったチーズケーキを
押し込まれた。

江川亜蘭「どうだ?
北海道産の牛乳を使用し、濃厚なクリームチーズの香りが引き立つ逸品だ」

あなた「おいしい……少し堅そうな見た目なのに
食べてみるとふわふわです。後味はまったりとしていますが、
ワインの風味によってしつこくなりません」

江川亜蘭「そうだろう、そうだろう!その感想が聞きたかった」

亜蘭さんはとても嬉しそうだった。





数週間後、亜蘭さんの友人のお店は無事に開店の日を迎えた。

あなた「あの、制服は本当にあのメイド服に?」

江川亜蘭「いいや?
実を言うと私がオーナーに依頼されたのはワインとチーズの仕入れだけ」

あなた「え?」

江川亜蘭「あのメイド服は単にお前に着せたかっただけだ」

あなた「えぇっ」

江川亜蘭「あんな短い丈のスカートを制服にするわけないだろう。
あんなあからさまな嘘に騙されるとは迂闊だな」

あなた「あ、あ、亜蘭さんっ」

江川亜蘭「はは。そんなに怒るな。
お前に似合うと思って作らせた、それは事実だ。
あのメイド服はスカートが短すぎて人前では着られない。
今後は夜だけ着てもらおう。私のベッドの上で」

悪びれずに微笑む亜蘭さんに、私は怒りと恥ずかしさで、
みるみるうちに顔を赤くしたのだった――。


END

シナリオ:NINOYA
(2016年配信ガチャ エクストラシナリオを改変)

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