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石塀小道の宿

 2014年8月、京都石塀小道の宿に一泊しました。
 
 先週の土曜日、先ずは
久々に竜安寺の座敷から石庭を眺めて暫し瞑想、
心が洗われた・・・つもりで、
河原町のデパ地下で、お弁当とワインを仕入れて、
予約している石塀小道の宿に向かう。
 
 宿は目立たぬ古民家、玄関に個人の表札がかかり、
上に○○屋と小さな看板が掲げられているが、
余程注意しないと分からない。
最初は見逃して行き過ぎたが、引き返して見つけ、
戸を開けて、声をかけると、女将が出てきて、2階に案内される。
 
 部屋は8畳と4畳半の続き間、
築100年の旧い日本家屋を建具から取手に至るまで
そのまま丁寧に維持している。
床の間の掛け軸、慎ましげな一輪挿し、歴史ものの鏡台など、
調度品も歴史を感じさせ、大正時代にタイムスリップした気分。

床の間付
奥が4畳半


 8畳側の窓から下を覗くと木々の向こうに、
圓徳院石庭の白い砂が広がっている。
反対側、石塀小道側の4.5畳の窓から外を見ると、
隣も向かいも全て趣のある古民家だ。

窓から圓徳院石庭を望む

 
 女将は話好きで、宿の成り立ちなどを延々と語ってくれる。
東京で結婚した時は25歳、10年後に京都に来て、
この家で、初代女将の義母を手伝い始めた。
サラリーマンの夫は転勤族だったが、63歳で退社して、京都に戻り、
1年後、肝臓がんで亡くなった。
 
 義母は7年前に97歳で亡くなったが、
直前まで頭がクリアで体も動き、現役で働いていた。
自分は女将歴40年で75歳、お手伝いのパートさんは
80歳、娘は昼間デパートで働いているが、時間を見て手伝ってくれる。
将来は宿の女将を継承してもいいと言っている。
等々・・・
 
 女将が布団を引いて階下に降りた後、
風呂に入り、ワインを飲みながら夕食をとり、
持参の文庫本を読むが、他に(?)することもなく、布団に入る。
 
 翌朝、朝食を食べに階下の座敷に行くと、
客がもう一組いることが判明。
女将手つくりの朝食はおばんざいが8皿、
それぞれ美味しく、少々食べ過ぎた。

支払いを終えて玄関から出る

 
 支払いを終えて玄関から出ると、
女将が同じ石塀小道にもう一軒あるので、見てくれとのこと。
案内されるままに、行くと、単に表札だけで宿の表示はない。
外見は変わらぬ古民家だが、中に入ってびっくり、
キッチン、風呂、など、水回りは現代風に改装され、和洋折衷、
宿と言うより、貸家であり、現に長期滞在のお客もいるとか。
 
 玄関前で女将を入れて記念写真を撮り、今回の片泊りは終了。


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