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反省文

 2015年11月の日記です。
 
 先週木曜日に怪我をした件で、監視人殿(妻)から、
反省文を書きなさい、と指示されている。
世に男が妻に反省を促される原因の定番は、
女性問題かもしれないが、そういう話ではない。
 
 この数年、普段から平衡感覚が鈍くなり、
歩行中に、横を向いたり、振り返ったりすると、足元が怪しい。
以前は、白線の上をまっすぐ歩けたが、今はそんな芸当は出来ない。
駅のホームでは端をよけて中央よりを歩くようにしているし、
階段では極力手摺の近くを登り降りしている。
老人みたい(?)だが、安全第一だ。
 
 特にアルコールが入ると、不安定さは倍加される。
1年ほど前、夜の宴席からの帰宅時、
タクシーから降りてマンションに向かって歩き始めた時に、
道路の傾斜につまずいて転んだことがある。
この時は、ジャケットの右ひじが破れ、後でよく見ると
下のワイシャツも肘部分に穴が開いていた。
暫く右ひじが痛かったが、医者に行くほどではない。
ショックをジャケットとワイシャツが吸収してくれたようだ。
それ以降、外で飲むときは2合までと決め、暫くは厳守していた。
 
 ところが、良きにつけ、悪しきにつけ、
人間には、慣れる、諦める、忘れる、の三つの能力がある。
物的損害の印象は薄れ、ついつい2合を過ぎることもあり、
昨今、ワインは合の内には入らない等と、
密かに自己弁護に励んでいた。
 
 で、先週の木曜日、旧知、且つ遠来の友人2人と、
姫路の某料理店で旧交を温めつつ、ワインを飲んだ。
店主が選んだ白ワインは一口飲んでシャルドネと当て、
次の赤はカルベネ系と、これも当てた。
万人受けの白ワインならシャルドネかシャブリだろうし、
赤ならカルベネ系が無難だから、当てても不思議ではないが、
本当は、店主が合わせてくれただけなのかもしれない。
 
 しかしながら、ことの成り行き上、飲み切らねばならない。
気分よく、飲んで美味しい料理を食べ、
満足して一次会は終了、次はカラオケだと、
近くの店を予約して、外に出たところで、事件が起きた。
 
 10メートルほど歩いたところで、
突然、バランスが崩れて体が右に傾き、ものの見事に、転倒した。
右眼の上が歩道に直接あたり、メガネが飛んだ。
直ぐに、メガネを拾い、変形を直して目にかけて立ち上がったが、
血がぽたぽたと垂れている。
友人は突然のことに驚き顔を見て、
傷はかなり深く血が止まらないようだと言う。
 
 予約していたカラオケの店に行き、
お姉さんにバンドエイドを貼ってもらったが、血は止まらない。
今日はこれまでにした方がよさそうだと、タクシーで帰宅、
家に入り、黙って洗面所に直行し、バンドエイドをはがすと、
確かに傷はかなり深いし、出血が続いている。
これはまずい、仕方がない、と監視人殿に白状する。
彼女は、一目見て直ぐに119に電話して、
夜間診療をしている病院を教えてもらう。
病院に電話してこれから行くからと告げ、
タクシーを呼んで病院に向かった。
 
 結局右目の上を8針縫った。
目の上下が内出血して赤く腫れ、
額の大きな絆創膏が派手に目立つが、止むを得ない。
数年前、某農林大臣が頭に包帯を巻いた姿を思い出す。
医師から1週間の禁酒を言い渡された。
翌日、会社に行くと、顔を合わせる人が皆驚いて、
どうしたのか?と訊くが、
「できれば訊かないで欲しい。」と答えて質疑終了。
 
 1週間後の昨日抜糸して治療は完了。
腫れはかなり引き、絆創膏からは解放されたが、
傷あとはまだまだ生生しい。
あとは時が和らげてくれるのを待つのみ。
でも、まあ、今日の晩から、一杯だけ飲もうか・・・と思っている。

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