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大学入学を機に一人暮らしを始める息子へ、「コンドーム」を手渡した、という話

そう言えば、わたしが初めてブラジャーを身につけたのは、中3だった。
体重に比例して胸もそれなりに膨らんでいたのに、肌着1枚の上に制服のブラウスを着ていた。夏は白いブラウスに白い肌着、当然透けて見える薄茶色の円がふたつ。男子にからかわれたのを覚えている。

言えなかった。母にブラジャーを買って欲しいとなかなか言えなかった。

先日、ブログで『娘の適切な時期にブラジャーを買い与えないのは毒母の特徴である』という文章をみた。

知らなかった。そうなのか、今に至る母への鬱屈した思いのひとつは、これだったんだと合点がいった。

毒母が娘にブラを買わない理由は、娘が大人の女性になっていくのを受け入れたくない女同士の変な敵対心らしいが、うちの場合は、たぶん違う。「無関心」だ。娘のわたしの成長に気付かなかったのだ。そう、
気付いてくれなかったのだ。

意を決して「ブラを買って」と頼んだ。その時の母は、「あっ、…」みたいな顔をしていた。「忘れてた、そういや、そうやな。」みたいな感じ。その母も、もう80歳。

おかげでわたしは我が娘に対して、同じ思いをさせないよう、小学4年生あたりから気を付けた。
運動会で白い体操服から透ける何人もの女児のブラを見ては、どんなんが流行っているのかなどをチェックした。

知らない人がそんなわたしを見たら女児の胸元を遠目に観察しまくるヘンタイのおばさん。通報もんだ。

そんなこんなで娘が恥ずかしくないよう、そして適切な時期にブラを買ってあげれた。と思う。

初潮の時も生理用品のつかい方を丁寧に説明した。

わたしには、この娘の上に3人の息子がいる。こんなわたしだから、その息子達にもそれぞれ…手渡した。

大学入学を機に一人暮らしを始める時、
「コンドーム」
を手渡したのだ。

けして行為を推奨してるわけではない。

・性感染症などの病気から相手と自分を守るため。

・望まない妊娠で失われる将来の夢から相手と自分を守るため。

…との思いを手紙にして、一緒に入れ、カラフルな小箱に入ったソレを手渡した。

最初は、長男が18歳の時の約10年ほど前だ。
さすがのわたしもドラッグストアや薬局でソレを手に取り、レジに並ぶってのは抵抗がある。なので夫に頼んで買って来てもらった。

赤や黄色のカラフルな色の小箱だった。夫はレジ袋に何気にソレを入れたまま「買ってきたぞ」とテーブルに置いた。

長男とは8歳はなれた当時10歳の三男は、とにかく食いしん坊で、カラフルな小箱のソレをチョコレートかキャンディかと勘違いした。
「ちょうだい」と言ったかと思うと、もう手が伸びていてその小箱を掴んでいた。

ったく、薬局の店員さんもちょっと気を使って「なんとか薬局」とか印刷された、いかにもただの薬です的な紙袋に入れてカモフラージュしてくれりゃぁいいものを、そのままレジ袋にポンだから、その時はこんなわたしでも焦った。

どんなふうにその場をおさめたかは、記憶にない。

あと半年で現在、高3の娘も
高校を卒業する。将来の夢は「お笑界のマネージメント」らしい。

女性である彼女にも「コンドーム」を手渡す予定だ。

けして行為を推奨してるわけではない。

「つけて」と言えないような相手は愛ではない。

先日、ちょっとそんな話に触れてみた。

わたしが「あなたにもコンドームあげるからね。」
と言ったら、
娘は、わざとおどけて

「やったー!ありがと。
うれぴー」
と笑い、親指を立てた。

…あんたなら、お笑い界は安泰だわ…。

わたしも笑った。


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