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子育ては勇気をもって。命がけの時もある。

16歳のムスメ。仮免なので、私が同乗しないと運転できない身分である。車幅感覚が未熟なので、助手席に座る私は道路沿いに並ぶ郵便受けや電柱や歩道の乗り上げにぶつかるんじゃないかと、身を固くする。存在しない架空のブレーキを踏みしめる私。窓の上の手すりを握りしめる。ちょと身を硬くすると、そのわずかな気配に気づき「何?!」と怒られる。(泣)

こっち側に寄りすぎている、と何度注意したことだろう。その度に素直な"OK"ではなく”It's FINE! I can see it in the mirror!(大丈夫だってば!鏡で見えてる!)"と言い返したムスメ。彼女が運転するたびにケンカするわけにもいかないので、命をかけて、我慢することにした。何かにぶつかったとしても、車をカスる程度で修理するほどじゃないだろうし、私が怪我をすることにはなるまい。

ある日、インターンシップの帰り道、とりわけ狭い道路を走った。あまりの 怖さに内心半泣き。何度注意しようと思ったか。それをこらえた。

....ガガガッ!

歩道の乗り上げにぶつけた。

「ほら!だから言ったでしょう、近すぎるって!!」

子育てには、この"I TOLD YOU SO!!!!”を言いたくなる瞬間が無数にある。どうして経験ある親のいうことを素直に聞けないのか、と言葉もない。独立心があるのはいい。ちゃんとできるという自信があるのはいい。確かに親が余計なこと言い、余計な心配をすることはよくある。それをうっとおしく思う子供の気持ちもわかる。でも、運転だよ?仮免取ったばかりの子供の運転に、何十年もの運転経験のある母親が、歩道に近すぎると注意しているのに、なんでそれを独立心への侵害と捉えるのか、そこがわからない。

ぶつけてからのムスメの態度は、変わった。

「そっち側、大丈夫?」
「ママ、わかったよ。車の真ん中は私の足の位置じゃなくて、ダッシュボードのスクリーンだった」

私は文字通りこの命をかけて、この大切なレッスンをムスメに施した。

子供が大怪我をしないように、何らかの事故で死なないように育てる。独立心を損なわないように励ましながら、でも大怪我したり死んだりしないように注意しながら育てる。その時々の子供の年齢によって、どこまで介入するかを微調整しながら、大怪我したり死んだりしないように育てる。とにかく、大怪我したり死ぬようなことにならなければいいというのを最低ラインとして育てるのがいい。

そのために、親が命がけになる、ことがあっても。勇気を持って、子育てしよう。

ただただ好きで書いています。書いてお金をもらうようになったら、純粋に好きで書くのとは違ってくるのでしょうか。