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今日は元旦

自然薯トロロ家のお正月

自然薯トロロ:トロロの妖精

自然薯念子:トロロの妻で妖精

自然薯家のお正月。
念子ご自慢の手作りおせちが並ぶ。
トロロは正月早々、表情がさえない。それと言うのも、
結婚して早、300年。
毎年手作りおせちが食卓に並ぶも得体が知れない。

素直にこれはなんだい?と聞ければよいのだが、念子の
反応が恐ろしく、曖昧な表情で黙々と食べるしかない。
たまには、マグロなんかも食べたいな、山かけなんて言われて
相性いいよなと、思ってはいるも口には出せない。

念子が、
お父さん、初詣は?
と聞いてくるも今年も外はグレーな雰囲気だし、寒いし、
行きたくない。

初詣なんて、
と、つい口にしてしまう。

だからですよ。だから発毛が、なんでしょ。
髪の神様に嫌われているんですよ。
と訳の分からない事を言いだす始末で、
のろのろと出かける。
神社に来てみれば、甘酒の無料配布にいち早く
飛びつき、顔がほころぶトロロ。

ふと境内を見ると、赤いちゃんちゃんこを着た子供が
泣いている。
どうやら、近所の悪ガキたちが石を投げている様子。

トロロは、子供たちを追い払い、子供を助けた。
けれども子供からはえも言われぬ生臭い臭気がした。
が、トロロは子供にも強気にはなれない男。

鼻をつまみつつ、念子の
臭いったらありゃしない
の文句にも耐えて、この子を家に連れ帰り、
生姜風呂に入れて臭みを取った。

子どもは元気を取り戻し、家に帰ると言って、
飛び出して行ってしまった。

まったく、正月だって言うのに、なに、あの子、
親の顔が見たいわ…
と永遠と続くかと思われる念子の呪詛の言葉を聞いている所へ、
お隣のクリクリがやって来た。

彼は取材先でもらったマグロの赤身をおすそ分けです。
本年もよろしく。
と言って置いていった。

念子はあのロクデナシの持ってきたものなんか、腐ってんじゃないの?
捨てたほうがいいんじゃないのと言いつつ、皿に盛った。
そしてトロロが1切れのところを5切れ食べ、
大して美味しくないと言った。

これの様子を歳神様は見て笑った。
それはトロロの家に来た子供だった。
子どもはトロロ家の今年の年神様の赤身だった。
自然薯家は今年1年、あ、神に不自由しないだろう。

大変貧乏しております。よろしかったらいくらか下さい。新しい物語の主人公を購入します。最後まで美味しく頂きます!!