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「スターシステム」の弊害が、顕在化したハリルホジッチ解任

(写真は今回の件と関係ない2012ロンドン五輪のもの)

元々、日本サッカーにおける「スターシステム」問題について、僕個人としては別に反対派ではなかった。

サッカーは個の力が試合を分けることがある、一方で1人の卓越した個の力だけで継続的に勝ち続けることは難しい。

個は重要だが、全てではない。

そのため各チームの個にフォーカスを当てて、さもそのチームにはそのスターしかいないかのような報道の仕方はすべきではないのだ。

という論調に対して、僕はどちらかというと反対派だった。

確かにサッカーの本質とは反する。ただそういう切り取り方をしたほうがわかりすいし、サッカーの歴史がまだ浅い日本においては仕方がないものだと思っていた。

あるいは、そういう風にわかりやすい方が日本人とは親和性が高く、訴求力が上がり、スポーツメーカーが広告宣伝費を多く出してくれるのなら、

サッカー村の住民が少し我慢すれば実害が起こらずサッカーにお金が入り発展に繋がるなら

別にそれでもいいんじゃないか。

と、ずっと思っていた。

イギリスに留学して、ヨーロッパのサポーター文化のいいところを存分に堪能した一方で、悪いところも見えてしまった僕にとって

日本は、多少ズレていたとしても、日本らしくいてもいいんじゃないかなと思っていた。

ただ、今回のハリルホジッチ解任でその認識も改めないといけないと感じた。

どうやら「スターシステム」はノーリスクではないようだ。

ハリルホジッチ監督が解任された理由は諸説ある。

選手の不満や協会内の権力争い。そして、スポンサーからの圧力。

外から見ていても、どれが解任にいたる理由としてのウェイトが大きいかはわからないが、

仮に本当にスポンサーからの圧力があった場合

やはり「スターシステム」には大きなリスクをはらんでいたことを意味する。

噂なので信憑性は定かではないが、スター選手のプレー時間が少ないことにスポンサーがお怒りになったという。

事実かどうかわからないが

僕が担当者なら、怒る。

そりゃそうだろう。自社製品の認知を広げるための、プロモーションチャネルの一つが機能していなければ、マーケティング担当者はそりゃ怒る。

膨大な広告宣伝費を投じているのだ。

それは営利企業として怒るのは当然の行為だ。

資金源を提供してくれているスポンサーがお怒るなら、公益財団法人は焦る。彼らスポンサーからもらったお金で、公益を目的とする事業を行なっているのだ。

それは代表としての活動だけではない。育成年代の整備をはじめ、サッカー協会管轄の事業は多い。

そうなれば、協会がスポンサーからの訴えを聞き入れる力学が働くのはしょうがないことだ。競技的な観点で一時的にマイナスであろうとも、もっと大きなマイナスが待ち構えていた可能性がある。

でだ。

スポンサーも悪くない、協会も悪くない。

何が悪いのか?

「スターシステム」が悪いのだ。

スターシステムのせいで、チームよりも個の存在が大きくなりすぎてしまった。するともしその個が監督に合わなければ、調子を落としてしまえば、当然監督を替えるという力学が働く。

監督としては思うようにやれない。

勝てない。

と、競技的に負の連鎖が始まる。

進歩がなく勝てないことが続くと、

今より国民からの関心が失われるかもしれない。

そうすると日本代表という広告の訴求力は、今より失われて、スポンサーは…

と負の連鎖は拡大しかねない。

一人二人の選手を焦点に当てて紹介するスターシステムは今のところ日本人にサッカー日本代表を訴求する上で効果的かもしれない。

ただ、今回のような事態

もしかすると今回は違う要因かもしれないが、未来に今想像した事態を起こさないためにも

日本は早急にスターシステムから脱却する必要がある。

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