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【オランダ便り⑨ 英語の幻想と現実】

朝日新聞の本記事の通り、オランダの方は英語が老若男女問わず、本当に上手です。最近は小学校から学ぶようですが、同世代以上のオランダ人の同僚に聞くと、「英語をちゃんと勉強したのは中学校だけど、小国で吹き替えもないし、英語のコンテンツに昔から触れてるから普通に聴けるし、喋れるのかなー」とのこと。う、うらやましすぎます。

以下、自分の経験を踏まえた主観的な英語論。少しでも参考になる方がいれば&詳しい方や英語達者な方からさらなる改善に向けてアドバイスが頂けるかもという淡い期待も込めて、自分の英語経験についても詳述します。

中学から大学:典型的な受験英語と授業の英語のみ。科目としての英語は平均か足を引っ張る方。リスニングは特に苦手。

社会人1-4年目:仕事でたまに英語の資料を読む程度。2年目からフィリピンの方とのオンライン英会話(毎日25分)を開始。3-4年目はMBA留学に向け、TOEFL対策を平日、朝、昼、業後、週末勉強。

社会人5-6年目:海外案件を扱う仕事が増加。英文メールのやり取り、英文契約書読解と一部作成、テレカン、4半期に1回程度の海外出張。業務外では、会社行き帰りのBBCポッドキャスト+オンライン英会話(毎日25分)+Gabaへの通学(1回40分の個別レッスンを週2回程度)

社会人7年目ーオランダ着任前:業務でインド英語に少々触れる、笑。会社行き帰りのBBCポッドキャスト+オンライン英会話(毎日25分)+Gabaへの通学(1回40分の個別レッスンを週3-4回程度)

という状況でオランダに着任しました。

私はオランダ勤務前、留学も海外在住経験もなく、英語コンプレックス、苦手意識の塊でした。一方、性質が悪いことに、日本では社会人5-6年目の経験をもとに、ビジネスをどうにか英語で対応出来ていると勘違いするとともに、英語に関しても種々の幻想(英語がある程度話される環境にいれば、自然と上達する。ま、言うてもどうにかなるでしょう)を抱きながらいよいよオランダへ。

その結論は見るも無残で、特にリスニングとスピーキングに関する私の淡い期待とプライドはズタボロに、笑(えない)。あ、これはどうにもならない、本気でやばいヤツでした。。。。

思えば、日本にいた時に、ビジネスを英語で対応できていたという錯覚は、自分が相手にとって「お客様」であり、そういう前提で相手も優しく、丁寧に対応されていただけだったのだと痛感しました。

以下が恥ずかしながら、着任当初の状況です。正直、クビにされても文句言えませんでした。

リーディング:スピード見劣るも対応可(日本の英語教育の恩恵もあり)

ライティング:どうにか対応可能(グーグル先生を含むテクノロジーフル活用+社内のこなれた表現をコピペ、習得)

リスニング:聞き取れず、分かったふりをして、トラブルになるケース、か、何度も聞き返して、落胆されるパターンで、いずれも悪循環へ。ビジネスはまだしも、パブやパーティー等でのよりラフな時のスピードや表現は致命的なほど聞き取れない。

スピーキング:的確で簡潔or抽象さや複雑性をコミュニケーションするための、自然でこなれた表現にほど遠い。オランダ人特有の「お前、英語下手だな」、「まわりくどい」等ストレートな物言いで凹む(オランダ人の率直さ、素直さは心してましたが、さすがにくるものがあります、笑)。

正確性を期すためか、この期に及んで、自分を正当化する言い訳か、笑、の議論はありますが、これまで所属してきた部署は私以外全員オランダ人ということが期間のほとんどでしたので、触れる言語の割合は、オランダ語40%(周囲のオランダ人の会話)、英語40%(読み書き25%、会話15%)、日本語20%(家での会話)程度でしょうか。

英語、特に会話に触れたいけど、受身や自然に英会話に晒される機会は限定的。一方で、ミーティングやランチ、コーヒーなどいざという時はネイティブ同等の英語に対応が必要というジレンマを味わっていました。

そうは言っても、現在のオランダ企業も社内公用語は英語で、日本よりは英語に触れる機会は圧倒的に多いのですが、やはり受身や自然体では上達の度合いは極めて限定的という現実がそこにはありました。

よく、「3」の壁と言われ、3日、3週間、3ヶ月、3年でそれぞれ、苦しみながらもステップアップしていくと励まされましたが、自分の場合は、相当期間苦しみ続けたのが実情です。

もがき、苦しみ続けた中で、少しでもブレークスルーして、コミュニケーション出来るようになってきたのは以下の点があるかもしれません。

①英語に対する幻想を捨てる。

先ず、英語をある程度使う環境にいれば、受身、自然と上達するという甘い考えにようやく気付きました。英語圏への中期海外赴任や2年のMBA留学をしていてさえも(そういう人は英語ペラペラと自分は思い込んでいた)、英語に苦手意識がある方がいたり、聴き話すのに苦労されている方(もちろん、そうでない方もたくさんいます。)を見聞きしたことも影響しています。

そして、日本人にありがちな、とりわけ、思い込みや先入観を持ちやすい自分は特に、ネイティブのような英語を求めるマインドがありましたし、そう出来ると思い込んでいました。ただ、言語を吸収しやすい若い時にリアルな英語に触れた経験がない、後天的な学習者であることを認め、そのマインドを諦め、伝わる英語、ツールとしての英語を心がけ始めました。

ネイティブのような英語を求めることを否定する訳ではありません。私の場合、本来ツールであるはずの英語を目的化していたところに、息苦しさや勘違いがありました。

加えて、オランダにて語学学校の英語グループレッスン(後に、個別へ切替)に参加した際、生徒たちはオランダ人も含め、欧州、アジア、南アメリカ等多国籍なのですが、自己紹介で「自分は何カ国語喋れるか」という話題を1人ずつしたのですが、「私は5-6ヶ国語かな」、「自分は少なくて3ヶ国語だな」。え?。。。俺は「日本語+英語も苦労している状況だから、2ヶ国語と言えるかも怪しい。大学の第2外国語スペイン語は1カウントするのもはばかられる」。次に、スクリーニングを通過して同じレベルだと思っていた周りの生徒は確かに文法ミスはあるものの、はるかに、自分よりも聴けるし話せる=伝わるし、コミュニケーションを取れているという厳然とした言語運用能力の差を痛感したことも大いにあります。当初は認めたくなかったけど、認めざるを得ませんでした。

②効果的な方向に地道に努力を重ねる+時々、効果的か見直す

英語の環境にある程度いれば上達すると思い込み、止めてしまっていた英会話レッスンを再開&増量(毎日50分のオンライン英会話+週1回イギリス人の方、週1回アメリカ人の方と各2時間の個別レッスン)しました。そして、効果的なインプットが出来るよう、業務で接するイギリス人、アメリカ人、オーストラリア人+ネイティブ同等の方(とりわけ流暢なオランダ人の方を含む)との会話を録音し、リアルな英語でのフレーズ習得やリスニングを繰り返しました。楽しく学ぶという観点では、英語ネイティブYoutuberの動画視聴も私は効果的です。オランダもイギリス英語なので、イギリス英語×東北という観点から、Chris Broad氏は私の師匠です。

後は、アウトプットの機会を増大すべく、英会話独り言や家での会話を英語化(妻は日本語+時々英語、私は英語)を続けました(最近、家での英会話はサボり気味。。)。そして、ようやく死の谷を超えて、徐々に抵抗感は薄まり、どうにか生きていけるようになりました(ここまで半年ー1年)。1.5年たった現在、コミュニケーションはスムーズさが増し、少しは自信が出てくる場面も時にありますが、そうした時に良い具合で、課題や壁がニョキッと現れて、自信を再度喪失、実力不足を痛感させてくれます。そういった時は、インプット、アウトプット方法が今のままでよいか、見直す機会にしています。正直、偉そうなことを言える立場ではなく、まだまだ現在進行で改善中です。

最後に付記したいのは、様々な知人や友人にサポートし、助けてもらいました。そして、「幼少期に英語に触れた言語ボーナスだったり、帰国子女はうらやましい」と、私は思い込みや先入観、ねたみを持っていたことも正直あるのですが、彼ら彼女らもその当時に、想像を絶する苦労を経験し、痛みや傷を負いながら英語を体得出来ているケースを結果的に聞く事が多いです。なので、「帰国子女だから苦労なく自動的に英語喋れていいよねー」とかいう、過去の自分の認識、勘違いを改める必要性を痛感しました。今までごめんなさい。また、圧倒的に後天的な学習でも、さらっとマスター出来る方がいるのもそれはそれで事実なので、美化された努力や苦労アピールをしたい訳でもありません。

結論、個人的には、受身や自然体であれば、英語の環境にいようと、上達は限定的だと感じました。裏返せば、日本にいようとも、最新メソッドやテクノロジーの恩恵をフル活用して、伝わる英語は十分身に付けられるのだと信じています。そして、伝わる英語どころか、私の尊敬する日本時代の上司は、40歳付近でNOVAの駅前留学から始めて、組織内でグローバルな仕事を最も手掛ける人物の一人でしたし、はたまた、定年退職後、大学に通って、初めて英語を勉強して英語同時通訳、翻訳家になった方のエピソードも記事で読んだことがあります。人間の可能性は本当にすごいです!私も楽しむ要素を取り入れながら、地道に向上させていきたいと思いますし、英語はあくまで手段なので、その結果コミュニケーションが取れ、自分の世界を、貢献出来る幅を広げられたら嬉しいし、それらが目標です。

皆様の効果的な英語上達、メンテナンス法があれば、是非、ご共有ください!

引き続き、レターポットでコメント頂ける方がいれば、そちらも有難くお待ちしております!笑

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