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西表島、アダナデの滝その②白浜港から仲良川を行く

  今日の相棒、カヤックたちと共に白浜に向かっている途中、浦内橋を通った時に、川の向こう側を見た。浦内(うらうち)川は沖縄で最長の川だ。ここから遊覧船に乗り浦内川の約8km上流の軍艦岩まで30分、それから3時間半歩いた先に秘境マヤグスクの滝がある。マヤグスクの滝は西表島のほぼ中央に位置する大きな滝で、「マヤ」とは猫、「グスク」は城という意味だ。行ったことのない場所に行くという候補にマヤグスクの滝も候補だったが、過酷な道すがら、夏は中止にしているショップが多い。次に来る時には最高にキラキラした夏を避け、過ごしやすい秋を狙ってマヤグスクに挑戦したい、ロマンの風を吹かせているうちに、白浜港が見えてきた。2年前に来たときには、ここから船で10分先の船浮集落にあるイダの浜でスノーケリングをする計画を立てていたが、台風8号が去った直後で船が欠航し、行くことが出来なかった。船浮集落には船でしか行くことが出来ない。しかも、ここから出港している船は1日5便しかない。人口は約40人だ。小中学校はあるが、郵便局や診療所はない。かつて、私が勤めていた病院は電車もバスも通っていなかったので「陸の孤島」と呼ばれていたが、本物はこっちです。白浜港から見る海はすこし入りくんだ形をしている。私の生まれた宮城県にある松島を思い出した。

 白浜港のそばの人工的に作られた様な海岸線にカヤックが下ろされた。なんとこのカヤック、しっぽの方に舵が付いている。そして足元にペダルが2つ。それぞれのペダルに足を乗せて、左足のペダルを踏むと左に、右のペダルを踏むと右に進む。パドルは推進力のみだ。

ほー、ほー、ほー。やってみよう。乗り込んでみよう。っん?っんーーっ?スムーズに進まない。

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あーーっ!ストレスっ!

このペダル式カヤック、操作がめっちゃムズいです!とにかく、ペダルの踏み加減が難しい。踏み込み過ぎると急カーブ仕様となり、直進したくても、左右のペダル、どちからに無意識に力が入っていると直進したくても力が入っている方に曲がってしまう。なんとも厄介。おかげでカヤックのスタートは、あっちフラフラ、こっちフラフラ、5分で汗だくだ。千鳥足の私は白浜の海で必死になって足踏みをした。

「ここから仲良川、あれが海と川の境い目です。」

千鳥足になってどのくらい経っただろうか、振り向くと出発した白浜の港はぼんやりしていた。西表島ティダカンカンのツアーガイドのKさんが教えてくれたそれは、植物と岩で海が少し狭くなった岸にひっそり立つ、海と川を分ける目印だった。雑な白っぽい墓石を、たて半分にした様な目印。Kさん曰く、そこには「二級河川 仲良川起点、(左岸)」と書いてあるらしい。見たいっ!ここが仲良川だという視覚的確認をしたい。しかし、私がいる所からその目印は遠すぎて字がよく見えない。極限まで目を細め、そして、ちょっとだけ近づいてみることにした。

「あっ、また左に曲がってますよ、足のクセですかねぇ」私とは真逆に余裕チャキチャキにカヌーを漕ぐKさんに、意志のある私の左向け、左の千鳥足をサラッと訂正された。

いやいや、よく見たいですよっ!!だって、ここが「なからた節」の「仲良川」なんですよねっ!言いたかったが、優雅な仲良川には似合わないセリフだから飲み込んだ。づづく