COCKTAIL : STARTING OVER
A1と同じ、常連のお客様が過去に飲んだカクテルであり、漫画由来のカクテル。
STARTING OVER。
知らなかったので調べてみる。
1. 漫画では「再出発」として出されたカクテル。"アメリカのサイトで見つけ、日本のどのカクテルブックにも載っていない一杯" と紹介されている。…らしい。Beefeater と Hennessy VSOP使用。
2. ジョン・レノンの曲に 「Starting Over」がある。
これだけでもA1カクテルのときのようにいろいろ疑問点がでてしまったのでさらに調べる。真夜中。寝て起きてからすればいいのに、は無し。
私が去年はじめてBARという場所を知ってお酒の勉強を始めたとき、
ジンではBeefeater、ブランデーではHennessy VSOPが入り口だったなーとかそんなことを試飲後に思い出しながらふと、
ビートルズやジョン・レノンが好きでというより Starting Overという曲そのものに思い入れのある人が作った、
もしくは既存カクテルをアレンジした可能性、
バーテンダー見習いもしくはバーテンダーではない人が作った可能性、
アメリカのサイトで見つけ日本のどのカクテルブックにも載っていないと書かれているけれど日本人が作った可能性、
とか実際本当なのかわからないのにそんな感じがしてしまいました。すみません…。
最後まで読む必要のある有益な記事でもなんでもないですが著者のある記事を読んで考えが変わり、わからないままでよくなりました。
宣伝になりますがA1カクテルに続きこのカクテルも調べるきっかけになった漫画「バーテンダー」。機会があれば読んでほしい。アニメも。
①
アレンジ元がもしある場合、
はじめに考えたのが、1930年代にハリーズ・ニューヨーク・バーのオーナー・ハリー・マッケルホーンが
考案したブランデーとラムとホワイトキュラソーとレモンジュースを使う、Between the Sheetsでしたが、
即時に違う気がした。なんかすごく違う気がした。
9/12追記。—————— ——- —- -
Louds speakerのほうがBetween the Sheetsより近いでした。すみません勉強なります…
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次にハリー・クラドック著「サヴォイ・カクテルブック」(1930年)で紹介された「Angel Face」というカクテル。
こちらもステアではなくシェイクですが、材料とその配分比が
Dry Gin 1/3
Calvados または applejack 1/3
Apricot Brandy liquieur1/3
シェイク。
9/12追記———————— ——- —- — - -
FRANCIS ALBERT
Tanqueray 1/2
Wild turkey 1/2
ステア。
ウイスキーをブランデーにすればStarting Over
最も近い。
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無知のため他に見落としていたらすみません。
アルコールも高ければ謝罪量も高い。
②
Starting Overという曲について
ビートルズのジョン・レノン生前ラストシングル。
1980年12月8日。ジョン・レノンがダコタ・ハウスで射殺された後、
Starting Overはその歌詞の内容もあいまってその後全英チャートNo.1。
愛する人のことを思い歌う内容。
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ここまでで、なんとなく、
漫画の著者について知りたくなった。
徹夜で調べるきっかけになったA1カクテルのことも、このStarting Over のこともある。
上記からなんとなく。著者にとって思い入れのあるカクテルなのではないかと思ったからでもある。
そこで著者についていろいろ検索してみた。
そのなかで、朝日新聞のある記事がヒットする。
(それぞれの最終楽章) 最愛の妻の死という記事。
2010年の春。末期がんで亡くなった最愛の妻のこと、著者自身の心情、思いの言葉ひとつひとつが大きくて、度数の高いお酒を飲み込むように読む。
読みながら、他人事とはけっして思えない気持ちになり、しかも徹夜後のメンタルも合わさり
電車で泣いた。
Starting Over 一切関係ないですが、
昔、大好きだった祖父が肺がんで自宅療養の末、幼い私の前で亡くなった。
立て続けに飼っていたポメラニアンも病気で助からず骨になった。
まだ私は幼すぎてそもそも死がわからず、
急にいなくなった祖父やポメラニアンに裏切られたとさえ思った。
思考レベル猫か。犬か。
どれだけ一緒にいても突然裏切られる。そういう思考ができてしまった。
家族相手も含め対人コミュニケーションがだめになり続けた。
今もだめで、時には本気で人生だめになる選択をしてしまうし、助かるたびに、逃げるたびに、謝るたびに、罪悪感からさらにだめになった気がしていく。
著者の記事を読んで共感する。同じじゃないけど、でも気持ちがわかる。
そのうえ
私の恩師である先生も今、カウンターに立ちながら、末期がんと闘っている。
余命宣告されても、通院しながら、痛み止めを飲みながら、お客様のために職場のために家族のために、有難いことに色々難のある私のためにも、しんどい顔懸命に隠して仕事をしている。尊敬という言葉さえちいさく思えるほどすごくて、
ただすごくて、
弟子と思うことが申し訳なくてしばらくは先生にも、お客様にも自分に対してもBAR手伝いと名乗っていた。
今は違う。
先生のすごいところはまだあって、
2年後はもう死んでるかもとか、
明日明後日生きてるかわからないとか、
そんなこと言いながら思いながらも先生は英語の勉強をはじめるし、
これだけでもすごいのに、
今では海外のお客様の前でお手上げしてる私を見ると、代わりに英語で喋って助けてくれる。
まだ勉強はじめて一年も経ってない。
余命宣告された末期がんの人でここまでできるバーテンダーはたとえ世界大会にでていなくても私はまちがいなく世界一だと思う。
最近はじめて、タンカレーを使った昔からの先生のジントニックを飲んだ。
飲んですぐに世界一だと思った。
著者の記事を読んで共感する。同じじゃないけど、でも気持ちがわかる。これしか本当に言えない。
〆
—徹夜明け、大好きな喫茶店行く途中で電車に乗って、常連のお客様のことや友達のことも思いながら、カクテルについて調べるためにだけに朝日新聞に会員登録し、城あらき先生の記事を読み、そして泣いた。
猫でも犬でもなく、私は電車に乗りながら記事を読んで泣く人間だったと知ったし、公共の場でスマホを見ながら泣いたあとは
喉がすこし渇き、お腹も少しすくことも知った。赤ちゃんか。
Starting Overが漫画でてきた回は、2011年9月。
調べる必要ももうなくなったと思った。
もしもさまざまな思いから再出発しようと思います、というお客様が今後目の前に現れたら、ちゃんと飲んだあとしっかり帰る事ができる方と判断できれば、このカクテルをお勧めすると思う。
徹夜二連続をむかえそうな深夜4時。A1の時のように徹夜から眠らず仕事へ行くことはしない。すこしでも、万全に。寝ます。
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