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歴代10番目の1202円安――スピード調整か?金利の行方が鍵に

26日(金)の日経平均株価は急反落。1202円26銭(3.99%)安の2万8966円01銭とこの日の安値で取引を終えた。下げ幅は英国のEU離脱の是非を問う国民投票で離脱派の勝利が伝わった2016年6月24日以来、およそ4年8カ月ぶりの大きさ。歴代の下落幅では過去10番目の大きさという急落だった。

市場関係者の間では「いずれ必要だったスピード調整の範囲内」(SMBC日興証券の太田千尋・投資情報部部長)との声が少なくない。コロナ禍での上昇基調に違和感がありながら、ありあまる流動性が支えとなって、押し目らしい押し目を作らない相場展開が続いていた。早過ぎる上昇ピッチに警戒感が高まると、値幅ではなく時間で調整する、いわゆる日柄調整をはさみながら強い基調が続いていた。その意味では久し振りの値幅調整だ。

今後の展開をどう読むか?大和証券の木野内栄治・チーフテクニカルアナリストは「きょう(26日)が週末と月末が重なったことも下げを加速した面がある」とみる。機関投資家などのリバランスが重なりやすいタイミングだが、このところの株高基調では週末・月末は売り圧力が高まりやすい。押し目を待っていた投資家は少なくないはずだが、久し振りの急落にやや足がすくんだか、今日は引けにかけて一段と下げる展開で終えた。週替わり、月替わりから雰囲気が変わってくるかどうかが最初の注目点だ。

さらに多くの市場関係者が注目するのが金利の動向。25日(木)の米国市場では、10年債利回りが一時1.61%まで上昇。昨年2月以来の水準で、コロナワクチン普及に伴う景気回復期待とバイデン政権の積極財政政策に伴う債券発行増加を急ピッチに織り込むような展開を見せている。26日の日本の債券市場でも10年物国債の利回りは朝方に一時0.175%と、日銀がマイナス金利政策の導入を決めた2016年1月29日以来、およそ5年1カ月ぶりの高水準を付けた。低金利、超金融緩和環境を謳歌していた格好の成長株を直撃している。25日には米セントルイス連銀総裁などが金利の上昇を容認するような姿勢を示しており、金利の居所はどのあたりが妥当なのか、市場には不安心理が強烈に広がっている。

木野内氏は「FRBは足元からの資金需給の大幅改善を株に向かわせたくなかったのではないか?」とみている。米国では2月下旬に10兆円もの大量の税還付が実施される時期を迎えている。さらにバイデン政権の積極財政政策を背景に追加の給付金も予想されている。ゲームストップ株の急騰に象徴的にみられるように、こうした資金の一部は足元の株高のひとつの背景となっているとみられるが、この現象は米政府、金融当局にも芳しいものではない。「公的な給付資金がマネーゲームに向かうことを警戒し、株式のモメンタムを冷やしておこうということではないか」(木野内氏)というわけだ。3月16日―17日に米FOMCを控え、市場と中央銀行の神経戦が続きそうだ。

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