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“働き方”はどう変わるのか?――アフターコビッドを考える

ざわざわした雰囲気の中で年度末を迎えました。日経平均株価は前日に比べて167円(0.9%)安の1万8917円。年度ベースでは2017年3月以来となる1万9000円割れ。18年度末(3月29日、2万1205円)との比較では10.8%と、厳しい年度あったことは間違いありませんが、2月中下旬以降の新型コロナウイルスショックに伴う世界的な株価の暴落の中では、むしろ何とか年度末を乗り切ったくらいな感覚です。

COVID19および経済の行く末は正直見通せないのですが、色々なことを考えさせられます。これから思いつくたびに「アフターコビッド」についてnoteします。まずは“働き方”について。

3月27日付の日本経済新聞に掲載されたサイボウズ・青野慶久社長のインタビューが印象的でした。新型コロナウイルスの影響について様々なインタビューを掲載するシリーズです。青野さんにインタビューしたテーマは働き方、在宅勤務。詳しくは記事をご覧いただいた方がいいと思いますが、青野さんが強調する在宅勤務が機能するポイントは2つ。ひとつは普段から誰が何の仕事をしているか可視化すること。そして嘘をつかない、隠さないという組織風土にしていくこと――。

ちょっとドキッとしました。どちらも日本企業は一般的にかなり苦手なのではないでしょうか?自分自身が属している会社、取材先やゲストでお迎えしている先の会社、知り合いや友だちの関係の会社。いろいろな会社の状況が伝わってきます。在宅勤務(Work from Home)がすでに当たり前のようになっている会社もありますが(外資系、ある種のベンチャー系に多い印象)、多くの会社は慌てて試験的にやってみたらいろいろと問題があってワタワタしているのではないでしょうか?

繰り返しになりますが青野さんが指摘する①仕事の可視化(概ねジョブ・ディスクリプションか)と②嘘をつかない文化――は本質をついていると感じます。コロナウイルス的なものの厄介なところですが、見えないウイルスがじわじわと、あるいは爆発的に広がっていく怖さと同時に、人々の、私たちの心を疲れさせていると感じます。例えばデマだったり中傷だったり、あるいは差別的な言動につながったり。。。誰かが嘘をついているのかもしれない、誰かが謀略を企てているのかもしれない――といった雰囲気が社会に広がるのは、僕たちの心の中に猜疑心というウイルスが入り込んでいる状態のようにも思えます。だからこの2つは本当にカギ。

これから働き方をどう変えていくのか。どのように変わっていかざるを得ないのか――。短期的には日本では、米国のように急激に失業率が悪化することはないのかもしれません。しかし平成の30年間で日本の雇用は大きく変わっています。非正規雇用が広がり、働くお母さんに対する支援は不十分。そうした中で“大企業のおじさん”の雇用だけは守られるというのでは、社会の不安定化は避けられないでしょう。

BNPパリバ証券のチーフエコノミスト河野龍太郎さんは「まずは(コロナによって打撃を受ける)企業への支援は欠かせないが、本来助けるべきは企業そのものではなく労働者であるべき」と指摘します。多くの企業がこれからさらに甚大な影響を受けることになるのは避けられないと思いますが、企業支援が、結果的に本来淘汰される企業を延命させるだけのことになってしまっては意味がありません。厳しいものいいだと自分でも感じますが、そうしたことを繰り返してきたのが平成だったようにも思えます。

労働者、働く人たちを資金面でサポートし、さらには転職やスキルアップが可能な職業訓練、職業教育へと進めていくことが必要だと思います。在宅勤務騒動であらわになっている日本のホワイトカラーのITリテラシーの低さ(まったくもって他人ごとではないけど!)や、日本企業のIT投資、生産性を高めるための投資などが、活性化していくのであれば、アフターコビッドの社会は悪くないものになりそうです。

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