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“トランプ相場”終焉か?――GPIFの孤軍奮闘&「どこのファンドが逝ったのやら……」

18日(水)の急落(6.3%)でNYダウの終値は1万9898ドル。2017年1月20日のトランプ大統領就任した日の終値(1万9827ドル)を辛うじて上回る水準。取引時間中には1万9000ドルを割り込む場面もありました。これは2016年11月以来。ある意味では“トランプ相場”的なものを否定にかかっているようにも見えます。

さて、そうしたグローバル金融パニック、“キャッシュ・イズ・キング”的な売りが広がる中で、日本の株式市場は相対的にはかなり、ある意味では不自然なまでに底堅い動きと言ってよいでしょう。特に今週(16-19日)は、連日東証一部で4兆円規模の大商いをこなしていますから、強烈な売りと買いのぶつかり合いがあったことが想像できます。。

日本株が相対的に底堅い背景として、1つの有力な説はGPIFなど年金資金の買いです。例えば、SMBC日興証券のクオンツアナリスト、伊藤桂一さんのリポート(3月13日付)が市場関係者の間で話題です。それによると、このところの株式相場の急落によって「国内株式の構成比は21.3%程度と、基本ポートフォリオの25%を大きく下回った模様」です。そして基本ポートフォリオを維持するためには「日本株には5兆円超の買いが必要となる」と試算しています。巨額の買いが発生している可能性があります。最近、東証株価指数(TOPIX)が日経平均株価をアウトパフォームする動きが目立っていることも、こうした試算を見ると腹落ちします。加えて、16日に前倒しした日銀金融政策決定会合では、ETF買いについて倍増ペースとすることを決めています。日銀のETF買いもTOPIXにかなり傾斜していますから、流動性があまり高くない銘柄(例えば今週の動きでいうと電鉄株、地銀株などなど)の極端な値動きにつながっている可能性があります。

個別銘柄の乱高下については別の説もあります。瀬川投資研究所の瀬川剛さんは「どこのファンドが逝ったのやら」と見ます。リーマンショックなどの時もこうした現象は見られたのですが、日本株を対象にしているロング・ショート・ファンドなどが顧客からの換金要請に応じざるを得なくなった場合、もしくは運用成績が悪化して閉じざるを得なくなった場合には、それまでの買い・売りポジションとは逆の動き、アンワインドが生じます。短期間に、強烈に。そうとでも理解しないと説明が付かないような不可思議な動きが、株式市場のあちこちで見られます。感覚的にはここまでの暴力的な動きがみられると、いわゆる“セリングクライマックス”の時間帯には入っていると感じています。

真相は一つではないのだと思いますが、いずれにしても世界市場の混乱、キャッシュを求める強い動きが、市場に暴力的な動きをもたらしていることは間違いないですね。世界の中央銀行は、こうした動きがさらなる危機につながることを警戒し、今週に入って矢継ぎ早に対策を打ち出しています。根本的にはコロナウイルス鎮静化が必要とはいえ、暴力的な市場の動きはいずれ収まります。どんな投資行動を取れるのか、売る必要があるのか、とりあえず静観するのか――。それぞれのみなさんの懐事情によるわけですが、こうした市場の混乱状況だからこそ、心の安定を大事にしたいと思います。

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