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個人でもできるインパクト投資

“インパクト投資”あるいは“社会的インパクト投資”という言葉を聞いたことがありますか?投資に対して、金銭面のリターンだけでなく、社会的課題の解決というリターンを同時に生み出すことを狙う投資のことです。2月19日(水)の日経CNBC朝エクスプレスでは、インパクト投資に特化した「ネクストシフトファンド」を運営するネクストシフト代表取締役社長CEOの伊藤慎佐仁(いとう・まさひと)さんをゲストにお迎えしました。伊藤さんのお話しを中心に、僕なりにインパクト投資について学んだこと、考えたことなどnoteします。

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上の、3軸グラフがインパクト投資の概念を表す一つの形です。通常の投資であればリスクとリターンの2軸なわけですが、加えて社会や環境面などでの社会的インパクト、効果を評価する3つ目の軸が加わっています。このところ、かなり広まってきた感のあるESG投資(環境、社会、ガバナンスを重視する投資)との関係性を示したのが次の図。広い意味ではESG投資の中に含まれますし、投資対象が上場企業でない場合も多いこともあり、ガバナンスの要素は後退、もしくはある意味で考慮外。社会や環境面の効果を評価します。

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さて、ネクストシフト創業者の伊藤さんの略歴です。三菱銀行(現三菱UFJ銀行)入行後、ソフトバンクに転職。財務部門を経てSBIホールディングスでいくつかの企業のスタートアップなどの仕事に携わります。ヤフー傘下金融会社ワイジェイFXの代表取締役も務めました。金融の幅広いバックグラウンドとスタートアップの豊富な経験が持ち味です。伊藤さんは、金融にかかわる仕事をする中で、次第に、そして特にリーマンショックなどを契機に「金融が本来果たすべき役割を果たしているのか」という疑問を抱くようになった――と言います。僕自身は金融機関に勤めた経験はありませんが、証券・金融市場をある程度長く取材する中で、同じような疑問を持つようになりました。

ネクストシフトの会社概要はこんな感じです。伊藤さんの故郷である鳥取県八頭郡八頭町に置き、廃校を利用したイノベーション拠点運営、地方創生といった活動もしています。クラウドファンディング事業者としては日本で初めてPRI(国連の責任投資原則)に署名をしています。

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さてネクストシフトファンドですが、例えばカンボジアの農家を応援するとか、モンゴルの農家を応援するとか――。日本の投資家から集めた資金はファンドを通じて海外のマイクロファイナンス機関を通じて現地の農家などに届けられます。従来の金融ではなかなか届かなかった海外の零細事業者、農家など資金が回るようになります。新興国ならでは成長性があることもあり、従来では行き届かなかったお金の流れを通じて社会問題の解決にもつながりつつ、リターンを得るのがマイクロファイナンスの真骨頂です。

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株式投資信託のように激しい価格の値動きがない、インカムゲインを狙う投資です。もちろん投融資先の貸し倒れリスク、為替リスク、あるいはカントリーリスクもあります。中途解約ができない、いわゆる流動性のリスクにも注意が必要です。

最後に、番組では時間が足りなくなってしまって、ご紹介できなかったグラフがこれです。

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そもそも投資経験がある人とない人を比べると、投資経験がある人の方がインパクト投資の認知度は高いのですが、その上に年齢による認知度の違いが鮮明なのです。20代、30代の認知度が高いのに比べ、我らが50代などではぐっと認知度が落ちるのです。確かに僕の実感としてもソーシャルなもの、環境に関連する話題に関して若い層の意識が違う(高い)ことを感じる場面には日々遭遇します。これは何を意味するのでしょう。どうして僕らおじさん世代は関心が薄いのか、今後は変わる可能性があるのか――。いろいろなことを考えたくなりますが、確かに言えそうなことが一つはあります。この流れが続くのであれば、若い世代の成長(シニア世代の引退)とともに、インパクト投資的な世界観、市場は広がっていくのではないかということです。

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