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けんすうに聞く、20,30代の生存戦略

はじめて資産形成を始める!となった時、あの人はどんなことをしているのか、どんな経験をして始めたのか・・・。

そんな疑問に答えるべく、みなさんに代わって新人がいろんな人にインタビューして聞いていく本シリーズ。第4弾は漫画サービス「アル」代表取締役社長の古川健介(けんすう)様に聞いてきました!


けんすう(古川健介) 1981年6月2日生まれ。学生時代からインターネットメディアやコミュニティサイトを手掛ける。2009年にnanapiを創業。2018年にアル株式会社を創業。

※本記事では漫画のコマをいくつか引用していますが、すべて漫画サービス「アル」上に作者の許諾を得てアップロードされたものです。

新人(以下略)_今日はよろしくお願いします。

けんすう(以下略)よろしくお願いします。

_今回は「資産形成」という大きな話題の中で、noteを読んでいる20・30代のキャリアとお金について聞いていきたいと思います。

たぶん、資産形成とかキャリアっていうのは悩みの1つの面でしかないような気がしているんですよね。

むしろ、もう少し広く、「どうやって生きていけばいいのか」みたいなところで悩んでいる人が多いということではないかと思うんですが、どうでしょうか?

_多いんじゃないかなと思います。

そうですよね。で、ソフトウェア開発ではよく「銀の弾丸を求めるな」という言葉を比喩で使うのですが、これは「複雑な問題をすべて解決する特効薬はない」という考え方です。

「どうやって生きるべきか」という複雑な問題に対しては「この企業に入れば大丈夫!」があり得ないことは、今の若い人たちの間では常識だと思います。一方で「このスキルさえあれば40年安泰!」みたいな、最強の武器を求めてしまっているケースも多いと思います。

しかし当然、1つの解決方法で人生をうまくいかせようとするのは難易度が高いですね。

_では、私たちはどうやって生きていけばいいのでしょうか・・・?

まず、人生を一括りにせず年代で分けるのをおすすめしています。

キャリアの「VSOP」という論が好きなのですが、それを使うのがわかりやすいのではないかなぁ、と。

これは

・20代は「(V)バラエティ」
・30代は「(S)スペシャリティ」
・40代は「(O)オリジナリティ」
・50代は「(P)パーソナリティ」

と分けて、それぞれ働き方を変える戦略です。

この作戦をやる前提として言えることは、1番使えるスキルは「経験したことをほかの仕事に転用できること」だということです。つまり、「どんなことをやっても、他の仕事にもその経験を使えるようにする技術」ですね。

何か仕事をして、そこで得たことを抽象化して別のことでも活かせるようにする。キャリアの初期でそれをできるようにするためにも、20代は具現化と抽象化を繰り返す「バラエティ作戦」が大事な時期と言えます。

_20代はバラエティ作戦、ですか。すでに難しくなってきました。

前の記事で深津さん(note運営会社ピースオブケイクCXO)も言っていましたが、局地的なスキルは非常に陳腐化しやすいです。例えばあるプログラミング言語をマスターしたとしても、流行り廃れの多いネット業界では10年後に需要がなくなっているかもしれません。

そうではなく、プログラムとはこういうもので、このくらいの期間でこんなクオリティのもができるな、と想像できるくらい抽象化していると、違うプログラミング言語でも転用できます。優秀なエンジニアはだいたい「どの言語でも学習できる」という人が多いです。「この言語しかできません、他の言語は覚えられません」だと大変なわけです。

つまり、他に転用できるスキル高まっていけば、極論ですが一見何の関係もない「お皿洗いをする」という業務でもほかの仕事に役立てたりするんです。

若い人にありがちなんですが「失敗したくない」とか「将来に対して無駄なスキルを身に着けたくない」という思いが強くて、行動できずに時間がすぎてしまう、ということがあります。

むしろ、「20代のうちは何のスキルが身についたとか、成功したか失敗したかはどうでもいい。あくまで、行動の量だけが大事」くらいで考えて、行動しまくったほうが気持ちも楽だと思います。

_なんとなくわかるんですが、「なんとなく」すぎて言葉で表現できないですね。これを学びました!と言えなさそうな気がします。

たしかに「自分は抽象度高く学べるので、どんな仕事でもできます」って言っている人に、仕事を頼みたい!とはなりづらいですよね。イメージしづらいので。

そこで、30代では20代のうちにやてみて、向いてそう、ニーズがありそうなものに特化して、誰にでも分かる実績を作る必要があります。これが「スペシャリティ」です。

例えばスタートトゥデイの田端さんは30代くらいの時にメディアのマネタイズや広告領域の専門家、ということで認知を広めました。これは別に「ブランド人になりましょう」という意味ではなくて、どこかの分野で、わかりやすく「このプロフェッショナルです」と名乗れる状態になることが大事ということです。

_今時で言えば「プロのAIエンジニア」になればいいということですかね?

ここで「職業」のプロフェッショナルになることは難しいと思います。なぜなら、同じようなことを得意にしている人はたくさんいるからです。「AIエンジニアとして、いろいろなレベルの人がいるよね。その中で、どのくらいのレベルなの?」という感じになるからです。

そうではなく、ニッチな分野でいいから「これがすごく得意です」と言えることを作ったほうがいいです。私で言えば「インターネット上のコミュニケーションサービスを作るのが超得意です」といった風な感じです。狭い領域で尖ることを目指すべきです。

_それが40代ではどのように活かされていくのでしょうか?

40代は「オリジナリティ」を目指します。年齢的に、この段階までくると、他の30代若手も台頭してくるので、事業や仕事に「その人らしさ」があったほうがいいと思います。その人にしかできない仕事になっている、というのが理想ですね。

そして、50代はパーソナリティです。「よくわからないけど、この人と働きたいよね」という状態を目指すイメージです。

_確かに年齢別で作戦が全く違いますね。けんすうさんは以前からこういうこと考えてたんですか?

これは結構前から意識してました。20代のうちはいろんなサービスをやっていたんですが、とにかく何が向いているかも分からないし、経験を積まないといけないと思っていたからです。

そして30代になったあたりから、基本的には「インターネットでメディアとコミュニティをやる」という領域を攻めようと考えていました。そこだけに特化してやるイメージですね。

そして、40代が近付いてきているのでオリジナリティを意識しています。例えば、メディアとコミュニティの力を利用して、マンガのコミュニティアプリを作る、といった風です。

40代に向けて、今までは専門的なツイートやブログを書いていたところを、どちらかというとキャラが出るようなものを発信するようにし始めています。専門家ではなくて「古川健介さんってこういう能力だよね」としないといけないと思っています。

そして40歳以降になってくると、強くなる能力も変わってきます。例えば利害関係を調整する「調整力」とか、いろいろな会社の利益を調整してうまいところに落としていく「政治力」みたいなイメージです。

_政治力や調整力に苦手意識を持っている若手も多いと思うのですが、そういうスキルはみんな身につくものなんでしょうか。

あくまで個人的な意見ですが、その年齢まで生きればみんなある程度できると思っています。それぞれのスキルによって向いている能力は全然違うらしいんですよね。

みんななぜか「若い時が能力のピーク」と思いがちなんですが、スポーツ選手などを見すぎているからかもしれません。すべての能力が20代でピークが来るわけじゃない、と聞いたことがあります。

20代・30代で政治力や調整力がないと思ってしまい、それらを諦めてしまうのはもったいないと思います。10歳児にマラソンをやらせるようなものですね。身体ができていないのに「マラソンが苦手だ」と判断しているようなものかなぁ、と。

_なるほど。では20代が今すべきことは、目の前をことを全力で、しかもいろいろやることだと。

20代で可能性を絞るのはもったいないです。

前の会社のインターン生の話ですが、最初は記事を書く仕事をしていました。しかしよく聞いてみたら、趣味で映画とかを撮っていて動画制作が得意だったのです。なので、せっかくだから動画のプロに育てようと思って正社員として採用したんです。そんな矢先に管理部門の者が辞めてしまい、どうしよう、、と途方にくれていたんですが、「困っていると思うので、僕がやります」と言ってくれたんですね。

その人がやってくれることになったんですが、管理部などを統括する才能がすごくあったんです。頭がよく、人当たりもいい人なので、もしかしたら他の、営業や動画制作のプロとしても成功していたかもしれませんが、今は別の会社の管理部門で結構よいポジションについてるみたいです。

これも20代の時に、「自分は動画に向いている」など決めつけずに、目の前のことをとにかく頑張った結果だと思っています。

_いろいろやっておくことで、いずれ「資産」になるということですね。

選択肢を残すという意味でも、いろいろやっておくことは大事だと思います。インタビューの趣旨が「資産形成」なので、無理やり資産に結びつかないといけないな、と思っているのですが「20代の時のいろいろな経験が資産になる」というので、無理やり結びつけておいてください!!

しかし、「お金の資産」みたいな話も、みなさん興味あるものなんですかね。

_今日はまだ一切していませんが、お金の資産みたいな話はみなさん興味あるんじゃないでしょうか。人生100年という話もあり、将来のお金について不安に思う人も多いと思います。

僕ら世代ではそれよりももっと生きるかもしれないという話もありますしね。

例えば、25歳で就職したとして、65歳で引退して、そこから100歳まで生きるとすると、40年働いて、35年そのあと働かない、という働いた期間と同じくらい労働せずに生き延びるプランになるので、そりゃ大変だよねぇ、、と思っています。

_お金が減り続けるのは精神的にも辛いと思います。

お金をいくら持っているかより、減り続けるほうが大変だと思いますね。なので、老後に2000万円貯金があったとしても、それが1500万・・・1000万・・・と減り続けると、結構しんどいと思います。何歳まで生きるかわからないので。

なので、2000万円貯めないと、と不安に思うタイプの人は、2000万円貯めてから老後が始まっても不安が消えないと思うので、むしろ今あるお金を使って、ひたすら生活コストを下げてでも楽しく生きられる方法を学んだほうがいいのかもですね。

_けんすうさんの思う、お金ってどういうものですか?

お金って、お金を増やす手段としては有効なんですが、ただ持っているだけでは武器として使うことができません。お金自体にパワーはあるんですが、使うとパワーが減るので、実は使い勝手が悪いのかなぁ、と。

なんかゲームとかで、攻撃力は高いけど、攻撃するごとにHP(ヒットポイント)が減る武器みたいな感じです。

_ただ持っているだけというのも贅沢な気がしますけどね。

そうですね。ただ、現金を現金のまま持っていても「使い方がわかっていない」ことになるので、使い方をわかっておいたほうが幸せになるんじゃないかなと個人的には思います。

というか、現金を現金として持っておくとか、貯金しておく、とかは「日本円に投資している」ということになるので、「日本の社会が、あらゆる選択肢の中でもっとも成長していく!」予測として、「日本円にすべての資産を投資するのが1番合理的だ」と信じている人以外にはそんなにおすすめできないのかなと。

じゃぁどこに投資をするか・・・。が資産運用なんだと思います。

株とか債権とかの金融資産とか、スキルとかの労働資産、信用などの社会資産など、いろいろあります。

_今日初めて株という言葉が出てきましたが、けんすうさんは何かやられてるんですか?

昔、やったほうがいいのかなぁと思って調べたんですが、私個人の結論としてはETFとかを分散して持っておいて、世界経済全体の成長にかけるっていうのが最適解だと思います。

あと、いま円を持っていなくても、日本で働いてて円を給料としてもらっている場合、労働資産が円に偏るので、現金を持つのであったら、他の通貨だったりに分散して替えて持っておくことでリスクを回避するとかですかね。

_なるほど。この話はあまりときめかない感じですかね。笑

というより個人的に興味がわかないですね・・・。

それよりは、例えば20代の人がやっている会社に投資して、いろんな知見に基づいてアドバイスすることで会社の価値がすごく伸びることを応援するほうが、お金の使い方としてはいいなと思いました。自分の投資先がすごく頑張って価値を伸ばしている姿を見るのはやっぱりうれしいです。

_いろいろ経てそういう考えに至った訳ですね。では、毎回聞いてるんですが、けんすうさんにとって資産形成とはなんでしょう?

難しいですね・・・。

基本的に私は幸福度が最大になることを目指したほうがいいと思っていて、資産形成をすることで幸福度が下がっているなら意味がないと思うんです。

で、今思うのは、「その時代に流行っているものをリアルタイムでやる」ということって価値があると思っていて。

例えば今がんばってお金を貯めて70歳になった時にゲームを買って遊んでも面白くないかもしれないじゃないですか。

そういう意味で、資産形成とは「幸福度を最大化する戦略」だと思います。

頑張ってお金を貯めて、それが将来病気にとかになった時に助けてくれた、とかも幸福を最大化することの1つですね。完全に別の切り口だと、旅行の思い出とかは、資産として幸福をもたらすことが多いんじゃないかと、個人的に思います。

『進撃の巨人』で海にたどりついたシーン

_経験、とかが良いってことですかね。

そうですね。誰かと行った旅行とかを思い出すと楽しいじゃないですか。

_私は当時の恋人といった海外旅行が時を経て別れた後、思い出すのもつらくなってしまったことがあります。

かわいそう・・・。

_今日はありがとうございました!!



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日本経済新聞社イベント・企画ユニットが運営する資産形成応援プロジェクト(https://ps.nikkei.co.jp/shisankeisei/)です。はじめての資産形成に役立つ情報を発信していきます!※投稿する内容は必ずしも会社の見解と限りません。
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