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ピースオブケイク社CXO深津貴之が、普段語らない「資産形成」について徹底解説

はじめて資産形成を始める!となった時、あの人はどんなことをしているのか、どんな経験をして始めたのか・・・。そんな疑問に答えるべく、みなさんに代わって新人がいろんな人にインタビューして聞いていく本シリーズ。第2弾はnote運営会社のピースオブケイクCXO深津貴之さんに、資産形成について徹底的に語って頂きました!


深津貴之  インタラクション・デザイナー。株式会社thaを経て、Flashコミュニティで活躍。2009年の独立以降は活動の中心をスマートフォンアプリのUI設計に移し、株式会社Art&Mobile、クリエイティブユニットTHE GUILDを設立。 日経新聞電子版アプリの基礎設計監修や、日本最大のハンドメイドマーケットminneのスマホUI顧問などを務める。2017年10月よりピースオブケイクのCXO(Chief eXperience Officer)。執筆、講演などでも勢力的に活動。



取材日は梅雨真っ盛りでした

[ 資産形成、進んでる?進んでない? ]

_本日はよろしくお願いします。

深津:よろしくお願いします。

_まず、noteでどんなことをされているか教えてください。

noteでは、ユーザー体験の最高責任者(CXO)をしています。具体的にはサービスを使いやすくしたり、クリエイターさんをサクセスさせることなど、ユーザーに関わる面を幅広くお手伝いしています。

_noteに参画された経緯は?

代表の加藤さんにお声がけ頂いたというのが直接的な理由ですね。2002年ごろから約17年間ブログを書いているので、その経験の中でネットの言論コミュ二ティをもっとこうできるんじゃないか、と思うところが多々ありました。それができるなら是非ということで参加しました。

_ありがとうございます。今回はお金について語って頂こうと思いますが、お題募集「#お金について考える」は3600件以上の応募を頂き、ものすごい熱量を感じました。

全部見切れないくらい、たくさんの人が書いてましたね。私も勉強になる投稿が多かったです。単純に「儲ける」以外のコンテンツが多かったのが良かったですね。

_noteではこんなにたくさんの意見が集まりましたが、「日本では資産形成があまり進んでいない」という指摘がよく日経の記事でもあります。深津さんはどう思われますか?

進んでいない、というのはまさにその通りだと思っています。貯金は多いなんて言われますが世代間で違うと思いますし、投資やってる人はもっと少ないんじゃないでしょうか。

出典:QUICK資産運用研究所が2018年11月に実施した「個人の資産形成に関する意識調査」


[ 分かりやすいメリットがあれば、やる気が起きる ]

_深津さんはいつごろから投資を始められたんですか?

26歳ごろだったと思います。社会人にもなったし勉強をしようかなと、最初は日本株を買ってみたりしてました。

_株式投資だとハードル高い人もいると思うんですが、それ以外の商品でも資産形成が進まない理由はどんなところにあるんでしょうか。

仕組みの話だと、2つあると思っています。1つは、現状の推奨されるべきいろいろな制度が、非常に面倒で手間がかかるように設計されていること。そして、金融教育を受ける機会がほぼないということです。

_確かに、口座を開くにも面倒っていうのは前にインタビューで閑歳さん(家計簿アプリZaim代表)もおっしゃっていました。

もちろん、意図的に面倒にしているわけではないと思います。しかし、全国民にやらせたいのであれば、もっと簡単じゃないと人は動きません。また、わかりやすいご褒美やメリットが見えないと、みんなやる気が起きませんよね。そのあたりが課題だと思います。

_口座を開くところで離脱している人、結構いそうですよね。

これはあくまで案ですが、例えば最初からマイナンバーに紐づけて全国民に口座をあげちゃうとか、確定拠出年金を最初から加入するようにして任意で辞められるようにするとか、「やめたい人だけが意思を持って辞める」状況にすれば良いんじゃないかなとは思います。極論を言ってしまえば、そのくらいの強制力がないと、全員がやるっていうのは難しいですよね。

資産形成に取り組むためには・・・


[ 自分のゴールを決めることが大事 ]

_最初からそれだけ整備されていればやりやすいですね。

それぞれのリスク許容度に応じてという前提はありますが、国民全員に本気で資産形成をさせたいのであれば、「ただ生きているだけで投資できちゃう」くらいの手軽さが必要だと思います。先ほど「ご褒美が見えないとやる気が起きない」と言いましたが、長期的なインセンティブだけではなく、何か短期的に良いことがあると良いと思うんです。例えばですが口座開いたら学費が安くなるとか、ほんとに小さなところだと、クーポンがもらえたりとか。金融教育も、時期や形はどうであれ、どこかのタイミングでやったほうがいいと思います。

_私は初歩的ですが、貯金さえもできていません。

いろいろやりくりした後でお金を残すのってすごく難しいですよね。それよりも入金時に最初から給料の何パーセントかを別の口座に移すとか、仕組みで解決することが大事です。ただ個人的には、若いころは能力を上げることに注力するべきだと思います。

_能力アップですか。それはどうしてでしょう。

初期の段階ではまず、年収を上げることに注力したほうがいいと思うからです。年収のゴールをある程度決めて、そこに達するまでは自分の能力アップや社会的な関係性・影響力を上げることを優先する。そして、年収が上がるにつれて、積み立てていく金額を増やしていく。資産を取り崩す年齢になってきたら、例えば少しリスクをとっていたものを低リスクのものにシフトさせていくとか。そのためにもまず、自分がどこまでお金が必要なのかのゴールを考えて、そこに着地させていくイメージを持つべきだと思います。

自分がどこまでお金が必要なのかイメージすることが大事


_最初に自分のゴールを決める、ということですね。

現実的な期待値をきちんと自覚しましょう、ということです。「今持っているお金を数年後、投資で何倍にも増やしたい!」という考えは、推奨できないかなと思います。基本的にそれが保証されている金融商品はないはずです。金融商品で大儲けをしようとすると一種の「ギャンブル」になってしまいます。生活のための資金を、「ギャンブル」に使ってしまうのは資産形成ではリスクが高いと思います。


[ 深津さんが考える投資の大前提 ]

_私はそこまで期待値高くないのですが、積み立てているお金がなくなっちゃうことになったら・・・なんて思ってしまいます。

自分の場合ですが、人類史上、という非常に大きな話をすると、一時的・局所的に低成長、もしくはマイナス成長したり、戦争や災害があったりしても、世界全体でみれば経済は成長し続けるというのが、資本主義が始まって以来の大前提です。その前提に立てば、ノーロードで世界全体の成長に連動するような、インデックス系の金融商品に積み立て続けていれば、それが完全になくなってしまうことは可能性は非常に低いと考えています。

_なるほど。私と同じように、将来に不安のある20代にアドバイスするとすればどんなことがあるでしょうか。

抽象化スキルに優先して投資していきましょう、ということですね。例えば分析力だったりプレゼンテーション力だったり、職業や業界を問わず求められる能力をつけていくことが必要だと思います。局所的なスキルだと陳腐化するリスクが高いからです。

局所的なスキルだと陳腐化しやすい


_ありがとうございます。これは今回以降も続けようと思うんですが、深津さんにとって「資産形成」とはなんでしょうか。

これ1番難しい質問ですよね。個人的には、資産形成ってどこまで含むのだろうかって思うんです。金融資産が全資産、ということではないと思うんです。例えば友情とか愛とかも資産ですが、お金では買えないですよね。今までは資産形成をするときにアセットロケーションを考えてリスク分散していきましょうみたいな、専門的に言えばそんな話でしたがそもそも資産はお金だけじゃない、っていうことも大事なポイントだと思います。


[ 人間が持つ「5つの資産」 ]

_先ほど言われてた能力とか関係性も含めて資産だということですね。

そうです。私の場合、人間の資産は5つあると思っていて、「お金」「能力」「関係性」「時間」「幸福」です。この5種類を資産だとみなして、ポートフォリオ管理していくのがいいと思います。元々は作家の橘玲(たちばな あきら)さんが「金融資産」「人的資産」「社会的資産」の3つに分けているんですが、私はこれに時間と幸福を足して5つにしているイメージです。

出典:深津さんのtwitter

橘玲(2017)『幸福の資本論』ダイヤモンド社


_その資産をいかにグロースさせていくか、ということですね。

時間は基本的に増えずに、減る一方ですよね。タクシーに乗ったり、家事代行とか、お金で時間の減る幅を少なくすることはできますが。なので、お金と能力と関係性の3つを鍛えて、時間の減りをなるべく少なくしていくのが基本戦略です。そこでできた時間を使って、どれを伸ばすのに使うかを決めていくのがいいんじゃないでしょうか。

_時間ってすごく価値があるものなんですね。

時間をいきなりお金に変換すると、変換効率がよくありません。まず「お金リソース」と「時間リソース」を使って「能力リソース」を上げて、時間の換金能力を上げていくことが大事だと思います。大学に行ったり技能習得をしたり、能力リソースを高めるにつれて、会社で出世したり、業界での影響力を上げると「関係性リソース」も上がってきて、いろんなチャンスもきます。そうすることが、時間や能力の換金効率を高めていくことにつながります。

_時間の換金効率を高めるために、若い頃は能力を伸ばすことが大事ということでしょうか。

時間と能力を使って関係性を強化して、時間の換金性が高まればお金にも余裕が出てくると思うので、ここからようやく先ほどの金融商品の話、お金のアセットロケーションを考える段階ですね。この段階では最低限生きるお金もあって、労働にかける時間も減らせると思うので、ここで初めてお金でお金を増やす「投資」ができるんです。そうすれば今まで出てこなかった最後の資産である「幸福」を余裕をもって増やしていくことができると思います。お金と時間に余裕があれば、大事な人との時間を作ったり、余暇を楽しんだりすることができるわけですね。

_お金でお金を増やすことばかり考えがちなので、結構驚きの考え方です。

金融資産だけ見ていてもあまり意味がないんです。noteを成長させるときにもよく言ってたんですが、お金だけ持っていても「ガソリンをたくさん持っているだけ」の状態なので、意味がないんです。お金は目的地に到達するためのツールです。先ほど言った5つの資産をチェーンで結んでエコシステムをつくる。それが真の意味で資産形成で大事なことだと思います。

_ありがとうございます。勉強になりました。





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