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働き盛りの生きづらさ(結婚観編)

「働き盛り」をWikipediaで調べると「現代では世界的に35歳から64歳にかけてを指すことが多い」とあったので、自分まだやん、と思ったのだけど、23歳で独立して仕事中心の生き方をしてきた筆者にとって、当然ながら「働き盛り」との自覚がある。

周囲を見渡しても20代後半から30代前半でも十分に責任ある仕事をやっている人は多いので、便宜的にこの年齢層を本稿での「働き盛り」と定義したい。

さて、先日、サイゼリヤで一人PC作業をしていたところ、隣から聞こえてきた大学の同窓と思しき男女の会話が興味深く、考えるきっかけになったのでまずはそこから共有したいと思う。

双方とも20代後半で、会話から察するに男性は金融系、女性は建設系の会社に勤めているようだ。身なりや立ち居振る舞い、頻出する固有名詞から察するに収入は悪くない日系の中堅・大手企業勤務といったところだろう。

会話の主役は女性で、日頃の不満を男性にぶつけている。

「会社の同僚はみんな結婚していて、女友達と会っても誰々が結婚した、今付き合ってる人といついつに結婚する、最近子供が生まれて、とかそんな話題ばかりで...。」

ああ、結婚関係のよくある話だな、とヘッドホンに手を伸ばしかけたところ、続く言葉を聞いてその手が止まった。

「私は結婚には興味がないのに、年頃の女性というだけで結婚するのが普通という同調圧力が辛い。」

なるほど、そういう悩みを持つ女性も多いと聞くし、同世代の女性同士だとそういう会話もあるだろうな、と思ったのだが、その後の話を聞いて驚いた。

「一番嫌なのは、会社の上司が社内の独身女性を集めて、取引先の独身男性との飲み会を強要してくること。私はコンパニオンかよ。日中もセクハラモラハラは茶飯事で、何のために働いているのかわからなくなる...。」

会話の全体像から、女性には人生の目標のようなものがあるようで、そのために結婚という選択肢を脇に置いているようだ。

筆者の感覚だと、そんな村の娘を領主に差し出すようなやり方で仕事をする封建的な会社にはさっさと見切りをつけて転職なり起業なりすればいいと思ってしまうが、仕事そのものにはやりがいを感じているようで、そう簡単にはいかないらしい。勤務先の社名も出たのだが誰もが知っているであろう大きな会社で余計に驚いた。

ここからは想像だが、上司の立場からすると、結婚できない女性に機会を与えて、取引先との関係も深められる一石二鳥の取り組みとでも思っているのだろう。その女性からの評価は最低でも、会社では出世するのかもしれないし、その飲み会がきっかけで結婚するカップルも生まれるかもしれない。もしかすると日本の少子化を危惧してのことかもしれない。

しかし、何やら大きな違和感がある。

男女問わず、日本社会全般に「結婚して一人前」という空気が存在しているのは筆者も感じるし、田舎に帰れば「既婚者か独身か」で人間の価値を測るモノサシが暗黙的に共有されている事を痛感する(そして、往々にしてそういう人たちとは、半径数mのトピックかテレビの話題しか共有できないことが多い)。

誤解を恐れずに言えば、そのモノサシは「動物的指標」であって、それのみに価値観を支配されることは非人間的とさえ言えるのではないか。

やや自虐的に「社畜」という言葉がよく使われるが、人間としての価値観すらも「動物的指標」に支配されてしまうことは非常に悲しいことだと思う。

もちろん、恋愛や結婚などは人生を豊かにするものであることには異論はない。

しかし、テクノロジーの発展により、地理的な制限が無くなった現代において「自由に使える時間」と「自由に使えるお金」の両方を増やすことが行動範囲を拡げ、理想的な出会いを生み出す事に繋がるわけで、しかもどちらがより貴重な資源かと言えば間違いなく「自由に使える時間」である。

社畜化するということは、「自由に使えるお金」のために「自由に使える時間」を犠牲にし、さらに「動物的指標」に価値観を支配されてしまうことなのだと思う。

ここまで考えた時に、以前、とあるイベントで登壇者が言っていた話を思い出した。

「最良の少子化対策は20代〜30代前半の所得税全廃。これは約2兆円で可能。地方公務員の給与総額は約20兆円、1割の行政改革で実現可能。手元にお金を残すことが大切。」

昨今の少子化対策の政策は「行政の仕事」によって成果を出そうとしているが、逆に「行政の仕事」を1割無くすだけで、「働き盛り」の世代の「自由に使えるお金」が増える事になる。

公務員にとっては仕事を減らし、余計な残業がなくなれば「自由に使える時間」も増えるだろう。

やや脱線したが、これから先の未来は、「動物的指標」に支配された同調圧力を廃し、封建的な価値観による不毛な仕事をなくし、人間として自由に生きる事の価値を共有できる社会にしていきたいものだと思う。

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「未来世代」と「現在世代」の架け橋になりたい。未来志向の人たちのインターフェースになる政治を創りたい。やっている事はユースデモクラシー推進機構代表理事・デジタルハリウッド大学院メディアサイエンス研究所研究員・早稲田大学公共政策研究所招聘研究員・NPO法人全世代理事など。