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新型コロナ感染症ワクチン接種とIT化、そして若者・・・

医療従事者から始まった

2021年4月19日のこのブログで「~新型コロナ感染症対策の見えてきた光~」とふれ、「~精神科医、精神科医療従事者は感染症治療現場での役割はほとんど期待できない。だったらワクチン接種の現場要員が一番いい~」と私は語っている。
その後、3月上旬より、当院においても希望する職員の接種を開始した。そして、2回目接種を5月13日までに終え、その段階で次に5月中旬より、入院患者、デイケア通所者、定期的な外来通院患者(全ては拾えないが・・・)、回復施設の依存症当事者、そして、職員家族、通院患者に同伴の家族等へ接種をと計画、その準備に入った。それは、それまでの職員接種の体験から接種チームを組み、週に三日、2~3時間を接種時間に充てると7月末には2回目接種が終了するといったスケジュールである。

公平に行うなら、もっと知恵を!

病院職員への接種体験から、①:入院患者は病棟単位、②:外来通院患者、家族等は予約制をとらず、電話連絡で日時選択制とした。③:接種券に関しては、①・②とも所属がはっきりしていることから、到着次第持参可とした。非常にスムーズだった。入院患者200人弱の単科精神科病院だが、7月末までに1700回強、ほぼ900人の2回目接種が完了した。

ここで、ワクチン確保についてふれておこう。その前に長崎市の85歳以上の高齢者から接種についてふれておきたい。これ坂の多い長崎の地形からして効率が悪いうえに、2回の接種のため高齢者を移動させるとは行政としては不誠実極まりない。もし、こうした85歳以上から開始するのであるなら、同じような立地にある市町村(尾道、函館等々)が全国市長会をとおして、「アストラゼネカ社製ワクチン」使用を要望するくらいの知恵を働かせてほしかった。何となれば、各社のワクチンのメリット・デメリットを考えるにアストラゼネカ社はデメリットとして稀に「血栓形成」があるが、高齢者には影響がないそうだ。メリットは「冷蔵管理可、その分保存、移動が容易」と。ここまで言えばお分かりいただけるだろう。
在宅訪問での多くの接種が可能。日頃展望のいい老人施設で過ごす高齢者への集団接種においてもワクチン管理に関する気配りが非常に軽減できる。また、英国の現状だが、国産アストラゼネカ社製ワクチンの高い接種率の中、7月19日、感染者が再増加にも関わらず市民生活の規制が概ね解除、だがその後、2週間経過した8月1日現在、感染者の減少が続いている。そして、国内ではもっと速やかにmRNAワクチンを広く世代に接種できたのではなかろうか。

匿名でいいなら、実名なら必ず大丈夫

では、当院で行ったワクチン接種作戦のその後の経過に戻ろう。
長崎市の非効率な接種方針と裏腹に、当時、国の担当大臣は「効率より・・・平等を重んじる・・・非常時には弱い・・・」と述べておられた。
加えて、2011年5月16日長崎県行政当局は、日ごろ懇意にしている反社会的団体*より一通のメール(内容は当院の医療安全管理の問題)を受け取った。日ごろ懇意にしてることもあってだろう精査することなく所轄である長崎市保健所に送り、異例の速さで5月17日、医療法第25条第1項に基づく抜き打ちの立入調査が行われた(公的裁量権によって法が行使された)。もちろん、その団体、差出人は匿名である。結果は「NG」、単なる脅し・・・。なら、今回は正々堂々と実名でお願いすることにした。市当局からのワクチン配送は、7月末予定の2回目接種終了まで実にスムーズであった。次回ワクチン接種計画時もよろしくお願いしたい。

接種現場より集計作業が大変だろう

ただ、問診票にクーポン券を貼りつける手作業も結構大変だった。だが、その山のようなクーポン券を張った問診票を受け取った各自治体の担当部署はV‐SYSへの入力作業が待っている。そうそう、その前にスタートはクーポン券の発送が行われたのだ。これでは、ワクチンの在庫数と接種者、それも1回目と2回目終了者の数合わせは、とてもではない。これでは「ワクチンの在庫がない」、いや「予約が取れない」ってのは当たり前。いやこんな中でよくやってるいるよ・・・。
実は、こんな事態になっても対応できるIT化(SS-MIX)*の作業は2006年から進められていたのだが・・・。2007年には保健医療情報標準化会議が発足している。そこでの作業は順調にすすむものと判断、当院では、すでに2012年その標準化に対応可能な電子化カルテを導入し、運用している。
そして、総務省は、クラウド化することで病院間の電子カルテ一元管理を2020年度目途に図りたいとしている。~2017年(平成29年)8月10日 日本經濟新聞~
また、医療版マイナンバー導入(いわゆる紐付け)も報じられている。~2018年(平成30年)7月27日 朝日新聞~
このIT化が遅々として進まなかったのは、各自治体単位で〇〇〇〇ネット等といった地域限定の医療情報システムに各行政も地元の医療機関もご執心であったためである。さらに、革新派とか多くのメディアも「個人情報保護」とやらで消極的だった気がする。

若者たちのワクチン接種控え?

若者といっても幅がある。一極を五輪のアスリート、彼らは感染対策に気を使うぐらい使っているはずだ。もう一極がコンビニの前等でのいわゆる外飲みだ。メディアはその両極は取り上げる。だが、両極とも少数派だ。多くの若者、そして働き手の40代から50代は、マスク着用等できる感染症対策を行い、欧米のようにデモもしないで日々彼らなりの自粛に努めている。ただ、彼(彼女)らのワクチン接種に対する拒否的な言動が問題となっている。確かに、アンケート調査で若者のワクチン接種に消極的理由は、副反応が気がかりとの回答が最も多いようだ。さらにその中でも多くが「しばらく様子をみたい」と回答している。
確かに、医療従事者、職域接種者と違い非正規、フリーターの若者の多くはかかり付け医にもかかってない、となると大規模接種場だ。予約しても並んで待つ。ここで1日潰れる。そして、発熱、倦怠感などの些か厄介な副反応が出たら、その不安も含め、1日ないしは2日間は仕事が出来ない。あるいは育児も不安だ、といったことが発生する。せめて接種当日は予約なしで速やかにいきたいものだ。だが、現状では困難。だから「~しばらく様子をみる」なのか。要するに3日間無収入、あるいは生活に支障をきたす若者が少なくとも存在する。それは、40代、50代でも有りえる。だったら、そのための補償(3日間給付金等)を国は検討してはどうだろう。そして、メディアも若者バッシングはホドホドに・・・。

*反社会的団体:「保育所落ちた。日本死ね」のメールに当時の安倍首相は、「匿名には反応しない」と明言。
「桜をみる会」に反社会的団体が出席とのメディアの質問に当時の菅官房長官は「反社会的団体の定義付けは困難」と。(よって「反社会的団体と長崎県当局の癒着」との判断、私の自由裁量に委ねられても問題なし)
*SS-MIX:2006年度、厚生労働省は、さまざまなインフラから配信される情報を蓄積するとともに標準的な診療情報提供書が編集できる「標準化ストレージ」という概念に着目し、すべての医療機関を対象とした医療情報の交換・共有による医療の質の向上を目的とした「厚生労働省電子的診療情報交換推進事業」(SS-MIX:Standardized Structured Medical Information eXchange)を開始・・・。(SS-MIX普及推進コンソーシアムより)

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