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生き物を飼うこと①命の重さと儚さ

みなさんは生き物を飼った経験はありますか?

ペット、昆虫採集など、一度は飼った経験を持つ方が多いのではないでしょうか?

保育園、幼稚園、学校でも生き物を飼っていて、当番でお世話をすることで、生き物との触れ合いや生命の大切さを経験することも多いですね。

わたしも幼少期から生き物が大好きでした。社宅のマンションに住んでいたので、大きな生き物は飼うことができませんでしたが、近所でムシやサカナを捕まえては「飼う!」と言って家に持ち帰っていました。

サワガニ、ダンゴムシ、スズムシ、コオロギ、ボラの稚魚、セミ、カブトムシ…

「捕まえてカゴに入れる」事で飼ったつもりでほったらかし。実際お世話をしていたのは、母のいっこちゃんでした。

ある日社宅の片隅に、ネコの赤ちゃんが5匹生まれていました。生後何週間か程だったのではないかと思います。

ちょうどその頃私たち社宅の悪ガキ集団は、基地ごっこにハマっていました。あちこちの倉庫や空き地を秘密基地にしていて、生き物をそこで飼いたいという衝動に駆られていた時でした。

親ネコはその時私たちがいたからか姿が見えず。

「秘密基地のペットにして飼おう‼︎」ということになったのです。

仲間だけのペット。秘密の共有と、初めて動物を飼うワクワク感。それぞれ家からタオルや牛乳を持ってきて、子ネコにみんなで名前をつけました。

子ネコはかわいく、私たちは抱っこしたり撫でたりしばらく一緒に遊びました。

そして子ネコを新しく見つけた、それも自分たちの家の最も近い秘密基地に隠し帰りました。そこはコンクリートと、コンクリートブロック、鉄のドアできっちり密閉された倉庫でした。

少し肌寒い季節でした…

次の日、私たちは秘密基地に向かいました。子ネコと遊ぶ楽しみでいっぱいでした。

ですが、子ネコとは遊ぶことは出来なかったのです。

コンクリートの冷たい倉庫は、夜になると急激に気温が下がります。牛乳も生まれたばかりの子ネコは飲めるはずもなく、母ネコを探そうとも、固く閉ざされたドアから抜け出せることも出来ません。

5匹の子ネコは冷たくなって死んでいました。

その後の事は実はあまり記憶に残っていません。倉庫の暗くヒンヤリした空気と硬く冷たい子ネコの感触だけは今でも覚えています。

無言でお墓を作り、2度と子ネコの話はしませんでした。もちろんそれ以降、秘密基地で動物を飼うことはありませんでした。

今までも生き物の命は身近にあり、死を見てきたにも関わらず、こんなにもショックを受けたのは、暖かい体温や鼓動を感じられる、体を自分に寄り添ってくる動物だったからかもしれません。

あんなに愛くるしく躍動感に満ちていた存在が、あっけなく「死」という無機質な存在になることを初めて知りました。

保育や教育でも、命の大切さや重さ、儚さについて考える機会や体験をしますが、そんな綺麗な事ではなく、「死」を恐怖と罪悪感として私たちは体験したのです。

その後わたしはペットを飼うこともあったし、その「死」に対面することもありました。でも、生き物を飼う緊張感と大切に向き合う気持ちを持てたのはあの時の出来事があったからだと思います。

保育士として、母親として、命との向き合い方をいつも考えます。そして向き合う機会を大切にしています。

君の周りの人やムシや動物、植物は全て「命」があって、それは重たくて儚いものなんだ。もちろん君も同じ「命」がある。

みんな本当にかけがえのないものなんだよ。









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