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小説のシーンに大切なこと〜担当編集さんにいつも注意されること

崖っぷち作家のニジマルカです。

プロになって何年か経ちますが、いまだに担当さんに注意されることがあります。

なかなか直らないんですよねえ…

今回は「シーンに大切なこと」です。


シーンを書くときに忘れがちな大切なこと

ご存じのとおり、小説は複数のシーンで構成されています。

ある章で消化したい展開があり、作者はその展開をシーンに分け、次にそれぞれのシーンの中身を書いていくわけです。

慣れてくればシーンの設計は普通にできるようになりますし、シーンを書くこともそれほど難しくはありません。

ですが、慣れている人ほど、話を進めることに注意を向けすぎて、大切なことを忘れがちです。

その大切なこととは、「そのシーンで読者に何を感じさせたいか」です。


シーンは話を進ませるだけのものではない

シーンを書くことは、もちろん話を進ませることではあるのですが、話を進めることだけ考えているようではプロとは言えません。

話を進めるのは当然として、それ以外に「このシーンで読者にこう感じさせたい」という明確な意図が必要なのです。

シーンにおける作者の意図というのは、たとえば、

「ここは読者を焦らして心底ハラハラさせたい」
「このシーンは主人公のかっこよさを全力で伝えたい」
「ここでヒロインの健気さにぐっと来てほしい」

といったことですね。

シーンを書くときは、こういった「読者に感じさせたいこと」を最大化するように書かなければなりません。

小説は、シーンごとに読者がドキドキさせたり、ワクワクしたり、怒ったり、悲しんだりしながら進むものです。

逆に言えば、読者に何も感じさせない、またはぼんやりした感じしか与えないシーンは不要なのです。

「話を進めればいいんでしょ?」みたいな気持ちで書いていると、ついついこのことを忘れてしまいます。

作者の都合でシーンを書いてしまうのですね。

すると話が進むだけで、読者に何の感情も引き起こさないのです。

私もよく注意されて「確かにそうだなあ」といつも反省しています。


簡単なチェック方法

とはいえ、これはちょっと高度なことではあるので(私もできていないことがしばしばです)、簡単なシーンのチェック方法を考えました。

おおざっぱに、

良いシーン  :読者に感情が湧く
良くないシーン:読者に感情が湧かない

と考えればいいです。

ですから、あるシーンを読んだときの読者の感情(感想)を一言でいえるなら、そのシーンは良いシーンです。

たとえば、あるシーンを読んで、

「主人公かっけー!」
「ヒロインいじめられてかわいそう…」
「この悪者ほんとうぜ〜」
「おいおい主人公めちゃピンチじゃん!」
「早くヒロインを助けてやってくれ!」
「ヤバイやつ出てきた!」

といったシンプルな感想が出るなら、そのシーンは良いシーンということになります。

こういった一言が出ないシーンは、おそらく話を進めているだけで、感情に訴えるものがありません。

ですので、そのシーンは修正が必要だとわかるのです。


このくらいなら簡単にチェックできると思います。

初稿を上げたあと、ざーっとシーンを見直して、「このシーンを読んで、読者が一言いうとしたら?」「読者はどう感じる?」と自問してみましょう。

なにも出ない、ぼんやりしている、感想が複雑、といったシーンは出来の悪いシーンです。

そのシーンで何を感じさせたいのかはっきりさせましょう。

不出来なシーンを修正していけば、すべてのシーンが感情の湧く良いシーンになるはずです。


今回のまとめ

担当さんによく注意される「シーンに大切なこと」でした。

1.シーンは話を進めるためだけにあるのではない
2.良いシーンには「読者に何を感じさせたいか」という作者の意図がある
3.良いシーンは感情が湧く。良くないシーンは感情が湧かない
4.あるシーンを読んでシンプルな感情(感想)が出るなら良いシーン
5.感情の湧かないシーンは修正する

「作者が読者に感じさせたい感情」と「読者が感じたい感情」はズレている場合がありますが、まずはそのことは考えず、「シーンを読んで感情が湧くかどうか」から考えるのがいいと思います。

それではまたべあー。

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